見出し画像

「第2回サツドラ・ナレッジ・シェアリング」2回目講義開催レポート

noteをご覧のみなさんこんにちは。
サツドラホールディングス アートディレクターの木村です。

先日投稿しました1回目の講義に引き続きまして、弊社主催のリカレント教育イベント、「サツドラ・ナレッジ・シェアリング」第2回目講義の開催レポートをお送り致します。

▼1回目のレポートはこちら

※サツドラ・ナレッジ・シェアリングとは…
リカレント教育を目的とするサツドラホールディングス主催の
完全オンライン公開講座。
多種多様な価値観や考え方、ものの見方をお伝えするため、
千差万別、あらゆるジャンルから講師の方をお招きし、
セミナーを行っていく予定。

2回目講義
「ロボットを知るためには人間を知らなければならない」

先月行われた1回目講義に引き続き、3月5日(土)に2回目の講義が行われました。

今回はいささか込み入った話になりますので、まずは講師の工藤さまよりセミナーで使用する言葉の説明と定義をしっかりとしていただき、そこから「知覚と認識の違い」を大前提に、人間が「生きる」ためにどのようなことをしているのか、の話からスタートしていきます。

人間が持つ「パターン認識」

まず人間は「パターン認識」というものをしています。
それは雑多な印象(知覚)から抽出された特徴であり、必要としているパターンに合わない要素を「省いて」得られる特徴(捨象)です。英語ではいずれもabstractとなります。

例えば世間話などで「丸顔、三角顔、四角顔」の様な話をした時には、この「丸、三角、四角」という抽象的な概念を、どのようなものであるのかをお互いに共有できているからこそ話が成り立つわけです。

それは人間社会の色々な場所に応用されており、例えば数学なんかは非常に顕著で「三角形がどの様なものであるのか」を理解しているために、三角形の一辺と角度から関数を使って例えばものの高さを計測できる訳です。
この人間がもつ能力を、より正確さを期すために、機械にやらせようという事は、例えば軍事的な領域においても、現代に於いてかなりの部分進んでいます。この事は動物(例えば猫など…)には不可能なことです。

これは対象物を見て知覚する(肉体的に処理する)ことと認識する(言語的に処理する)ことは全く違うことだ、ということを示しています。
この点が人間の「生き方」を人間的にしている決定的な要素なのです。

なおこのパターン認識ですが、人間が先天的に持っている機能でもありながら、生後周囲の人たちや環境から得られる情報を手懸りにして後天的に学習する部分も大きいようです。
後者を裏付けるものとしてAI技術の例でいえば、現在AIのディープラーニングによるガンの早期発見が盛んに行われていますが、人間が機械に学習させてパターン認識を可能にさせることにより、人間の目視では判別の難しい対象物を機械が発見することに成功しています。

ここまでの話を簡単に言うと、
人間は自分に関わる目標物(対象 object)を、

①知覚し 
②パターンで認識する 
③パターンの実質は「雑多な印象(impression)」ではなく
 「心に浮かぶ考え(ideaないしform)」

であるとまとめました。
つまり人間は、対象を単に知覚するだけではなく、認識、すなわち抽象化(パターン化)することによって、自分と世界との間に関係性を築いているのです。
人間のこの特徴が、人間は「対象物をただ獲得するのではなく、それを作り変えて利用することができる」、すなわち道具を製作する動物であるという所以ゆえんです。

ここまでの前置きを踏まえて、ここから講義は後半へ。今回の講義の重要なテーマ「身体の延長としての機械技術」へと続きます。

身体の延長としての機械技術

人間は生きるために身体を動かすだけではなく、道具を使いますが、身体の延長としてだけの道具ならば例えばチンパンジーでも使う事ができます。

それらの動物と比べ、人間が決定的に違うところは、そういった自分の体を使って動かす道具を使用するのみならず「機械(身体以外のエネルギーを利用して動くもの)」を使うところです。
またこの機械を作るためには、対象物についてその仕組を知る、すなわち抽象化(パターン化)=客観化(言語化)することが出来なければいけません。

その機械の事を考える前に、あらためて「人間が身体を動かそうとしているときに何がおきているか」を見ておきましょう。

まずは自分が目標とする対象を「知覚」するところから始まります。
これは神経系の刺激反応のプロセスを経て得られる感覚的で雑多な印象です。例えばりんごが「赤」として見えている場合、個体によって「赤」の感じ方がバラバラでも問題の無いレベルです。

それと同時に人間は対象を「認識」します。こちらは刺激反応プロセスとは違い、言語による思考プロセスです。知覚とは違い雑多な印象ではなくパターン化された思考内容です。
同じ様にりんごの例を出すと、「赤」はすべて同一なものとして「青」という同一なものとは明確に区別されなければいけません。

対象物に対して知覚と認識を行い、近づいて、何らかのアクションを行う。

これらのプロセスをコントロールしているのは他ならない人間ので、脳には極めて複雑、高度に組織化された身体系である神経系が備わっています。この一連のプロセスを司る人間の脳とその指令を受けて動く身体との仕組みについては、17世紀に既にデカルトによって原理的にはかなり現代に近いところまで説明を試みられているそうです。

人間のそうした一連の行為は「欲望」「意志」の2つに触発されて生じるものですが、このうち「意志」については前回の講義でもすこし話題に出ましたが、じつは何なのかがよくわかっていないのが実情です。

サイボーグとアンドロイド

さてこれまで「人間は生きるために道具/機械を使う」ということ、さらに「人間が身体を動かそうとしているときに何がおきているか」ということを見てきたわけですが、それを踏まえた上で今度は「身体の延長としての道具/機械」を生身の脳で直接コントロールできるようにしたもの、すなわちサイボーグについて考えて行きます。

サイボーグは身体の一部が機械でも、その動作や行為の指示自体は生命体としての脳が受け持つシステムで、人工身体は生身の身体に連結している場合が殆どですが、かならずしも「肉体的」に連結している必要はなく、遠隔操作で人工の身体を動かすということでも可能です。

またサイボーグそれ自体はSFを始めとする創作物(例えば攻殻機動隊など…)でもよく取り上げられるある意味馴染みのある存在ですが、現実的にもアメリカなどでは研究がだいぶ進められており、実際に両腕を欠損している人の腕をサイボーグ化している例なども存在するわけです。

また近い存在にアンドロイド(ロボット)がありますが、前述のサイボーグは厳密にいえば「改造人間」であってアンドロイドではなく、動作や行為の指令自体をAIではなく生身の脳に依存している限り、身体をいくら改造しても人間は人間のまま留まります。
逆に言えば動作や行為の指令そのものを人工の脳で受け持つ事ができる機械があればそれはアンドロイドであるということが出来ます。

ではアンドロイドを作ることは可能なのか。
これは今のところ実現には至っていません。
なぜならば動作や行為の指令、つまり「考える」ということがどの学問に於いてもよくわかっていないからです。特に人間の身体活動…食べることや寝ること、映画をみたり音楽を聞いたりすることなど、つまり「生きている」という現実との関係で「考える」という経験をどう理解したら良いのか、ということになるとはっきりしません。ただ一つだけはっきりしていることは、どんな場合でも人間は「考えている」ということ。

そこで出てくるのがデカルトの「我思う故に我あり」という言葉ですが、これは前述の「どんな場合でも人間は生きている以上考えている」ということを指し示しているわけです。

さらにデカルトはその考えは極力シンプルに、つまりパターン化されていなければならないと繰り返し主張します。
つまり、有益な考えというのは「シンプルなパターン」を「間違わないように」組み立てることで成立するものであり、この事を「意志 will」と言う場合があります。
アンドロイドに求められるのはまさにこの「意志」であるわけです。

以上のことから、人間の「考える」こと、「意志」、これらが解明されない限りアンドロイドは完成することが出来ません。

ですが、人間を知るためにロボットを作っているという立場のロボット研究者や、「人間の知能は原理的にすべてコンピュータで実現できるはずだ」という科学的な予想の元に研究をすすめるAI研究者などの努力によって、それ(単なる道具ではない機械)とのコミュニケーションの端緒は形成されつつあります。いずれにせよ「人間の解明」が今後のキーワードになりそうです…。
というあたりで今回の講義は終了しました。

人間を人間たらしめているもの

今回の講義で個人的に得られたものは、繰り返し語られた「パターン化」するという事、また後半のデカルトが言うように「シンプルなパターンを間違えないように組み立てる」事は日常生活でも、また日々の仕事でコミュニケーションを取る上でも応用のきくものだと感じました。

また普段何気なく行っている「考える」という行為がどのようなことなのか、がはっきりと分かっていないことは純粋な驚きであるとともに、人間を人間たらしめているものであり、これを指して「魂」と呼ぶのかも知れないな……などと考えました。

以上です。

次回講義 受講者受付中!

次回3回目講義で最終講義となります!
3回目講義「想像力って何?」3月19日(土)20時からです!

ご興味があるの方は下記URLよりフォームへ飛んでいただき、メールアドレスをご登録ください。視聴用URLを配信致します!

https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSdqLvbLkgoHaV0RBBNML4efuhtpZML8tMGemeET8kSBQU8WoA/viewform?usp=sf_link

みなさまのご参加をお待ちしております!
最後までお読みいただきありがとうございました!

 

 

 

 

 

 

 

 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?