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「ラブライブ!スーパースター!!」2期までの感想と3期の展望(次の舞台は〇〇か!?)

はじめに

「ラブライブ!スーパースター!!」の2期の放送が終わってしまいました。
最初から最後まで、気持ちを揺さぶられる刺激的な3ヶ月となりました。
追加メンバーの4人が4月に発表されて、Liella!はどうなるのかと心配しましたが、アニメ内でしっかりテーマを掘り下げたこともあり、
最後は「Liella!はこの9人!」と信じられるようになったのですから、
新メンバーの加入は成功だったと言って良いと思います。

この雑文では、1期から2期までの感想と、
まだ気が早いですが3期の個人的な展望を共有したいと思います。

1期の感想

2021年に放送された1期の感想を下に残します。
これは自分が某配信サイトに投稿した時のものです。

ラブライブ!スーパースター!!いいですよね。
後発のシリーズ物ですが新鮮さがあり、全12話があっという間に感じる作品でした。

個人的に良かった点は以下の3点です。
・大きな物語に頼らず、個人の内面に踏み込んだ物語
・多彩な面が描かれるキャラクター
・物語や心情に沿ったライブ演出と楽曲

本作はこれまでのラブライブシリーズと同様に学校でアイドル活動を行います。最初の2作が廃校の危機を救うことが物語のキッカケでしたが、本作は個人的な理由から物語が始まります。(後々、廃校の危機が本作でも同様にあるのですが、それもあくまで恋ちゃんが中心の個人的な物語に集約されました。) 例えば、主人公である かのんちゃんがスクールアイドルを始めるキッカケは可可ちゃんに誘われたからで、歌うことが好きだったからでした。他のメンバーも個人的な理由を持って活動に参加します。結果として本作はグループとしての活動よりも、特定の個人に焦点を当てたエピソードが何度も描かれます。主に過去のトラウマや躓きを克服していくことが物語の中心になっています。個人的に本作の好きなポイントがこの部分の描かれ方です。それはキャラクターの内面を救済するのに劇的な展開を用意するのではなく、対話を基本として誠実に問題に向き合っていることです。本作は誰でもある身近な心の問題を物語の力で強引に解決することはせず、キャラクターの力で丁寧に描写しています。ここでは他のメンバーとの関わりが、自分の本当の気持ちを理解し受け止めることに繋がっていきます。それも1対1で終わらず、複数の関係性に渡ることは特筆したいです。かのんちゃんは歌を再開するキッカケは可可ちゃんの熱い思いからでしたが、幼い自分に向き合えたのは千砂都ちゃんの思いやりがあったからです。すみれちゃんもグループに参加にする際はかのんちゃんの言葉がありましたが、過去の自分を乗り越えることができたのは可可ちゃんの言葉です。個々のエピソードに焦点を当てる構成でありながらも、個人の内面に閉じこまらずに各メンバーとの関係が強く描かれます。これにより個々のエピソードはどれも魅力的になり、どのキャラクターにも親しみが持てました。また最終回では個人的な思いだけで終わらず、協力してくれた周りの人にも思いを向けます。この個人の内面と他者との関わりの往復を丁寧に描いていることが、ラブライブ!スーパースター!!の大きな魅力だと思います。

本作のスクールアイドル「Liella!」は5人です。今までのメンバー数から見ると半減していますが、その分一人一人が多彩な顔を持っています。どのメンバーも基本的に良い子なのですが、主張や口調が強かったりして、表面的ではない奥行くのある人物として描かれています。主人公の かのんちゃんは明るくて友達思いの子としての面だけでなく、時には口調を強くして自分の主張を通す子でもあります。可可ちゃんもスクールアイドルが大好きな純粋な子ですが、毒気のある面も持ち合わせています。物語が進むにつれて、キャラクターの新たな一面を発見できることも本作の楽しみの一つでした。メンバーを5人に絞ったことは、このようなメリットに繋がったと思います。それと忘れてはいけないのが、キャストの好演技です。メンバー間の会話が多い本作では、高い演技力が求められますが、若いキャストはそれに見事に応えていたと思います。彼女達はコントのようなリアクション芸からシリアスな展開まで、幅広い演技を披露して物語を大きく盛り上げてくれました。歌唱力だけでなく、各キャラクターのイメージにぴったりあったキャストを選んだ結果だと思われます。
 歌われる楽曲も物語や心情に寄り添ったものになっており、ただ合間にMVが挿入されるといった意味合いではないことも良かったです。歌う理由の一つ一つが物語の中に組み込まれており、歌詞や振り付けもキャラクターの心情を丁寧に描写していました。ライブシーンの情報量が多いので、何回見ても飽きずに楽しめるものになっていたと思います。

本作は後発のシリーズ物で不利な立場にある中、驚くほど成功していると思います。探している本当の自分は、本気でぶつかった仲間との関わりの中でこそ見つかる。個人の内面と仲間の関係性を同時に描いたラブライブ!スーパースター!!は素晴らしい作品だと思います。

1期を見た時まず感じていたのは、メンバーが5人であることの利点が生かされていたことです。
これまでのシリーズのメンバーが9人(虹はのちに12人)であったのに対して、Liella!はよりコンパクトな5人のメンバーから始まりました。
これによって、一人一人の出番が増えることにつながり、キャラクターの掘り下げも従来より可能になって、メンバー全員に愛着を持てる、誰一人欠くことのできない対等な関係を築くことに成功しました。
また新設校という設定を導入したことで、先輩と後輩が存在しない部活動になることで、メンバー間の距離が縮まりやすい環境だったことも大きかったです。

そして大事なのは各メンバーの内面的な葛藤を、一人ではなく協力して乗り越えていた点です。
5人にメンバーを絞ったことで、よりその部分が強調できました。
Liella!の大きなテーマの一つである「結ぶ」をキャラクター間の交流を描くことによって、上手く描くことができていたと思います。

1期はラブライブに勝つことよりも、メンバーがスクールアイドルを始める話がメインでした。
つまり、自分の夢(私を叶える)をスクールアイドル(みんなで叶える)によって叶える物語だということです。
しかし、東京都大会で敗れたことで、かのんは自分が満足するだけではいけないと気づきます。
「私を叶える物語」と「みんなで叶える物語」。
このバランスの取り方も、1期を面白くしたポイントだと思います。

2期の放送前

しかし、2期の放送前の4月に新メンバーの加入が電撃的に発表されました。
1期生の5人に愛着がある人の中からは、新メンバーの加入に否定的な声も上がりました。
自分も放送前には、新メンバーの加入には大変驚きました。
1期の成功の要因はメンバーを5人に絞ったことにあり、メンバーの数が増えることは、その良さを自ら消してしまうことになるのではないかと、至極当たり前に考えていたからです。
またこれまで描いてきた1期生のキャラクターの濃さと比べてしまい、この時点では露出の少なかった2期生の印象を少し弱く感じていたました。

1期の最終回を受けて、2期はLiella!が本気でラブライブ優勝を目指す物語であることが予想できます。
この話のラインに2期生がどう絡んでいくのかが当時は不透明でしたので、
自分の中には楽しみ気持ちと同じぐらい、不安な気持ちもありました。
9人が全員集合した生放送とPVが公開されて、次第にワクワクする気持ちを抱えながら、本放送の時を静かに待ちました。

放送開始による変化

いよいよ、第1話「ようこそLiella!へ!」が始まりましたが、
自分はこのカットが画面に出てきて、それまでの不安が吹き飛びました。


Liella!の練習を見つめるメイちゃん

いや、かわいいなおい!
なんだよ、そのふにゃふにゃした顔!

スクールアイドルが好きとは事前に自己紹介文でありましたが、実際にアニメで描かれると、その好き具合が予想以上でした。
そのギャップから生まれる、イキイキとした表情や仕草が、当初の一抹の不安を期待へと、一気に逆転させました。
もちろんメイだけでなく、きな子、四季、夏美も表情豊かで魅力的に描かれていて、1年生の全員に好感が持てるように工夫されていました。
2年生のキャラクターの濃さに2期生が負けていないことを、
序盤で示すことができたのは、大きな意味があったと思います。

そして注目したいのは1期生の立ち位置です。
Liella!は優勝候補として周囲から見られていて、その5人は新入生にとって、憧れの存在となっていました。
こうすることで、1年生が加入したとしても、2年生の存在感は保たれることができ、新入生が加入する展開に対して、心理的なハードルを下げることに繋がったと思います。
そして、この2年生と1年生の線引きが、12話の中で様々なドラマを生み出して、2期の物語のテンションや緊張感を最後まで持続できた大きな要因と言えます。
1年生がLiella!に加入を決断する展開だけでも感動的であり、1年生の努力する姿に説得力を与える結果になったと思います。

さらに、1期生が新入生を受け入れるかどうかを自問自答する展開を盛り込むことで、Liella!の目指すスクールアイドル像を鮮明にできた第1話だったと思います。
2期生が加入すること、それ自体が物語のテーマになっていました。

2期の主人公

放送前、自分はきな子が かのんに続く第2の主人公になるのかな?と漫然に考えていました。
1期では全員にスポットライトが当てられていましたが、それでも かのんが主人公として物語を牽引していました。
きな子は2期生の中では先頭に紹介されることが多いことから、2期生の中で主人公格となり、かのんに並び立つ存在になるのではと思っていました。
実際、1話から3話までは、きな子編と言える内容で、きな子がLiella!を1話で知り、2話で加入を決意して、3話でライブを披露するまでの過程が、他の1年生よりも丁寧に描かれていました。
その中で、きな子と かのんの友情は特別に描かれていました。
この時点では、きな子はもう一人の主人公と言っても良いと思います。

しかし、やはり本作の主人公は澁谷かのんでした。
物語の前半から1年生と2年生の関係を描いてきた本作でしたが、これに加えて、後半からは かのんの歌に対する想いや葛藤が、物語の中心となっていきました。
これにより、後半になるにつれて、物語の主軸からきな子はやや外れました。
それでも、1年生の中では誰よりも かのんを慕っており、2度も合宿する舞台を提供するなど、きな子の存在感自体は大きかったと思います。
それに対して、かのんに並ぶ人物として、ウィーン・マルガレーテの関係が次第に鮮明になっていきます。
澁谷かのんとウィーン・マルガレーテの対立によって、2期のテーマは明確に描かれていきます。

2期のテーマ

2期開始前までの かのん

かのんは幼い頃から、「歌でみんなを笑顔にする」という夢を抱いています。
しかしながら、幼い頃のトラウマが原因で大好きな歌を歌えなくなってしまいました。
1期では、スクールアイドル活動を通して、かのんはこのトラウマを克服します。
始めは可可のために歌う決心をしましたが、それでも不十分だと自覚し、最後には幼い自分に語りかけて、その気持ちを受け入れることで、自分の歌を取り戻しました。
ここで大事なのは、かのんが一人の力だけで成し得たのではなく、学校のみんなで作り上げるスクールアイドルだから成し得たことです。
楽しく歌うことに満足していた かのんでしたが、ラブライブの東京大会に敗退したことで、あることに気付かされます。
それは自分だけでなく、周りにも笑顔になって欲しいということです。
廃校も回避して最高のステージを作り上げても、みんなで笑顔にならなければ意味がないと思い、1期の最後で、かのんはラブライブ優勝を目標にしました。
ここではラブライブに「勝つ」ことで「みんなを笑顔にする」ことを誓っています。
ですから、2期のテーマはこの「勝つ」と「みんなを笑顔にする」をどう達成するかが焦点になっていきます。

序盤の展開

2期の序盤(1-3話)は特に優勝の文字がLiella!に重くのしかかっています。
1話では新入生が加入することを期待しますが、優勝を目指すことで新入生を逆に遠ざける結果になってしまいます。
それでも、目指すスクールアイドルのために、きな子に声をかけます。
2話では優勝の文字を取り下げて新入生にアピールを図りますが、きな子の強い思いで新入生と一緒に優勝を目指すことを決意します。
3話で強敵のマルガレーテが登場し、自分達が優勝候補であることに自信をなくしますが、結ヶ丘のアイドルであることそれ自体がスーパースターであるという、スクールアイドルの原点を見つめ直すことで、自分達のアイデンティティを取り戻します。
この3話以降、Liella!は優勝にこだわることを少し抑えて、
結ヶ丘の「みんなを笑顔にする」ことに重きを置くようになります。

きな子の笑顔の意味

3話の最後できな子と かのんが笑顔で抱き合うシーンは前半で最も重要なシーンです。
フェスの前、かのんは千砂都に「勝」たなければ「みんなを笑顔にする」ことはできないと語ります。
ここでの かのんは、「みんなを笑顔にする」ために絶対に「勝つ」しかないと思っていて、みんなの期待を裏切らないようにと1人気負ってしまい、どこか暗い影を持っています。
そして、マルガレーテにフェスの1位を取られ、そのことが学校のみんなに余計な心配をかけてしまったことに責任を感じ、自分達がラブライブの優勝を本当に目標にして良いのか疑問に思ってしまいます。
しかし、「勝」てなくても学校のみんなからの憧れや誇りであるという信頼を得て、学校のみんなに感謝を伝えるためにライブを行うことを決めます。
ここで、かのんはセンターを置かず(みんながセンター)、「みんなを笑顔にする」ようなライブを行います。
ライブが終わって、かのんがきな子の方を見ると、きな子は最高の笑顔をかのんに向けます。
ラブライブに「勝つ」ために大変な練習をこなしてきた、きな子が笑顔になれたことは、かのんにとって、ある種の救いであったと思います。
きな子をここまで笑顔にできたことは、かのんの中でとても大きい出来事であって、それまでの「勝つ」ことの重責から解放された瞬間でした。
かのんの中で、自分達がスクールアイドルとして歌う意味は決して、「勝つ」ことだけにあるのではないと身をもって実感したシーンだと思います。
そして、スクールアイドルを知らなかった、目の前の1人の女の子を自分達のライブで笑顔にすることができた経験は、かのんの目指すスクールアイドル像や歌の指針になったはずです。

きな子の笑顔は、かのんにとって大きかった。

中盤の展開

「勝つ」と「みんなを笑顔にする」、この2つのバランスはここから安定し、必然的に物語からこの2つの要素で葛藤する場面は減っていきました。
4-8話まで、メイと四季と夏美の加入のエピソードを挟みつつ、メンバー間の絆は徐々に深まっていきます。
ここで かのんは主人公らしく、エピソードの最後の場面で必ずと言って良いほど登場し、1年生をLiella!に勧誘する役割を積極的に果たします。
かのんにとってのスクールアイドルは、1人(マルガレーテ)や決められた人(1期生)だけが歌うものではなく、誰でも可能性が開かれていて、みんなで楽しく歌うものだからです。
3話におけるきな子の笑顔を経験したことで、かのんはこの考えに自信を深めていったと思います。
ですから、Liella!に1年生を積極的に勧誘することは、Liella!のためだけではなく、自分の信条でもあるはずです。
文化祭のライブを1年生と一緒に行うことや、1年生だけの合宿を心配していたことから、Liella!のみんなで歌うことを かのんがとても大切にしていることが分かります。
4-8話の間は、かのんが優勝のプレッシャーから少し離れて、自分の目指すスクールアイドルを作り上げていける理想的な環境だったと言えます。



9話の衝撃

しかし、この安定は9話で崩れます。
ここでもきっかけはマルガレーテです。
彼女が前回優勝のSunny Passionを破ったことで、2年生の間に、このままでは「勝つ」ことが難しいと不安な気持ちが生まれます。
ここにきて、3話以来に「勝つ」ことへのプレッシャーがLiella!に襲いかかります。
そして、注目したいのは かのんとマルガレーテの対話シーンです。
マルガレーテはラブライブのステージを見下して、かのんを挑発しますが、かのんは「ラブライブは最高の場所」と第3話と違って強く言い返します。
ラブライブのステージを守る かのんと、それを攻撃するマルガレーテ。
ラブライブをめぐって、歌に対する2人の価値観の相違が明白となったシーンであり、ここから物語は、かのんVSマルガレーテの模様を呈してきます。
その渦中で、すみれは東京大会は2年生だけで出場することを提案します。
すみれは可可への本心を隠して、自分のためにラブライブを勝ちたいと言ってしまいますが、かのんは、この言葉を決して受け入れることができません。
なぜなら、かのんは「みんなを笑顔にする」ために「勝つ」ことを目指しているのであり、個人的な動機だけで「勝つ」ことは、かのんの理想とするLiella!ではないからです。
また「みんなを笑顔にする」の中には1年生のことも含まれており、Liella!全員で優勝しなければ意味がないのです。
ここから、かのんにとって、優勝はあくまで手段であり、最終的な目標は「みんなを笑顔にする」ことであると、当初からの変化が読み取れます。
すみれと可可の友情を確認した後、改めてLiella!全員で出場することを決めますが、背反するこの2つの要素をどうやって両立させるのかは9話では明かされず、次の10話に持ち込まれます。

Sunny Passion敗退の意味

ここで、Sunny Passionが敗退した意味を考えてみたいです。
1期のLiella!を破ったSunny Passionにマルガレーテが勝利したということは、
1期のLiella!では、マルガレーテに勝てないということです。
Sunny Passionは1期の段階で、Liella!の対になるライバルというよりは、
Liella!の憧れである先輩グループであり、1期のLiella!の上位バージョンとも言える存在です。
もし、仮に2期でこのままSunny Passionを理想として、Liella!が1期生の5人のまま成長したとしても、それではSunny Passionと同じようにマルガレーテには及ばなかったことでしょう。
もちろん、Sunny Passionも1期の頃より2期の方が成長していることは間違いないでしょう。
しかし、彼女らが「油断していたのかもしれない」と口にしていたように、Sunny Passionと同じ1期の延長線上のままでは、マルガレーテという2期の壁は超えられないのです。
Sunny Passionが敗退したということ、それはつまり、彼女らがかつて かのんに教えた、「みんなの期待を背負って勝たなければならない」気持ち(3話までのかのん)のままでは、マルガレーテに勝てないということです。
Sunny Passionの敗退で、2期のLiella!は1期のLiella!とSunny Passionを超える、新たな価値観を提示する必要に迫られたことが明確になったのです。
ですが、そのヒントとなるものはこれまでの物語で断片的に描かれています。

Sunny Passionの敗退はLiella!に動揺を与えた。

本当の歌

10話でかのんはインタビューで「みんなを笑顔にできるライブをしたい」と語ります。
「叶うことなら優勝を目指して」とも語っており、両者のバランスを取ろうとする、かのんの姿勢がここでも見て取れます。
それに対して、マルガレーテはスクールアイドル達に「本当の歌」を教えると語ります。
マルガレーテの言う「本当の歌」は圧倒的なパフォーマンスを見せますが、勝つ気持ちだけが胸に刺さると、かのんは感じてしまい、そのことに疑問を持ちます。
またマルガレーテに触発されて、1年生は練習に熱を入れますが、それを見たかのんは明日の練習を休みにすることを決めます。
1年生の頑張りは頼もしいことですが、その勝ちたい気持ちを一度忘れてでも、大切なことがあると考えているからです。
休みの日にみんなで楽しく遊ぶことで自分達を見つめ直し、Liella!にとって「本当の歌」がなんなのかを見つけます。
ここでの火を囲んでの会話は、Liella!のテーマについて直接話している大事なシーンなのですが、やや抽象的な言葉を紡いでいるので、「本当の歌」が具体的にどのようなものなのかは、はっきりとは示されません。
Liella!が思う「本当の歌」は次のライブシーンによって明確に描かれます。


マルガレーテが先に披露した「エーデルシュタイン」は、力強いパフォーマンスで完成度が高く、観客やLiella!も圧倒しました。
しかし、勝ったのは9人全員で歌ったLiella!でした。
なぜなら、Liella!の方が「みんなを笑顔にする」ことができたからです。
マルガレーテのライブは終わっても拍手と歓声が上げる前に、観客が圧倒されているカットが連続して出てきます。
このことから、彼女のライブは観客の鳥肌を立たせることは出来ても、観客を心から楽しい気持ちにさせて笑顔にすることができなかったことが分かります。
実際にはマルガレーテの方がパフォーマンスのレベルは高かったのかもしれません。
しかし、ラブライブで勝つにはそれだけでは足りなかったということです。
対して、Liella!は9人が笑顔で歌う「Sing!Shine!Smile!」を披露しました。
マルガレーテとは違って、会場と一体になれるような振り付けや歌い方となっており、Liella!が誰のために、何のために歌うのかが強く主張されていました。
そして観客の胸に届き高く評価されたは、周りを圧倒するマルガレーテのワンマンライブではなく、見ている人みんなで作り上げて笑顔になれるLiella!のライブでした。
Liella!が目指した「本当の歌」とは自分達も含めた「みんなを笑顔にする」歌のことだったのです。
このことはステージ上での表現だけではなく、その作り方にも反映されています。
集中合宿では、曲や振り付けなどを1年生と2年生が共同して作り上げました。
ここで かのんは練習を切り上げてでも、みんなで楽しむことを優先させていました。
はじめは2年生との差を感じて、及び腰であった1年生でしたが、かのんの作る新しい曲の完成を目指すことで、前向きに協力できるようになります。
そして、みんなで一つのものを作り上げていく中で、Liella!はより一層の一体感を得ることに成功しました。
このことは全て、ステージで見せたパフォーマンスに直接繋がっていきました。

つまり、かのんは自分の歌に対する想いをLiella!に体現したことで、Liella!を決勝に導き、マルガレーテとの直接対決に勝利することできたのです。

スクールアイドルが抱えるテーマ

ここで、それぞれのスクールアイドルが抱えるテーマは以下のように整理できます。
「ラブライブ!スーパースター!!」の世界観では、上から下に行くほど大会で勝ち上がっています。

  • Liella!(1期):感謝の気持ちを持って、自分達のライブを表現する。

  • Sunny Passion:学校の期待を背負って、勝つことを目指す。

  • マルガレーテ:自分の目的のために、最高のパフォーマンスをする。

  • Liella!(2期):自分達も含めた、みんなが笑顔になれるライブを行う。

Sunny Passionとマルガレーテは共にLiella!よりも勝つことにこだわっていますが、前者が2人のグループで、島のみんなのためにライブを行うというスクールアイドル要素を残しているの対して、後者はソロライブで、自分のためにライブを行うことでスクールアイドル要素を極限までしぼって、パフォーマンスレベルを最大に高めています。
マルガレーテにとって、Liella!よりもSunny Passionの方が自分の立ち位置に近い分、純粋なパフォーマンスの勝負に持ち込みやすく、戦いやすい相手だったことが分かります。
一方で、Liella!(1期)のパフォーマンスの完成度はSunny Passionに劣ってしまっていますが、Liella!(2期)では他2つのスクールアイドルとは違う、グループとしての良さを突き詰めることで、マルガレーテに勝利しています。
Liella!が2期でSunny Passionと同じ方向を目指していたら、Sunny Passionに並ぶことはできても、おそらくマルガレーテには勝てなかったでしょう。
Liella!(2期)で新メンバーを加入させて、Liella!(1期)を超える新たな価値観を目指したからこそ、マルガレーテに勝利することができたのです。
ここまでくると、マルガレーテとLiella!(2期)は同じ土俵で戦っておらず、
それぞれ別の方向を目指していることは明白であり、勝敗を簡単に決めることはできません。
しかし、それでもマルガレーテに勝つことができたのは、最終的にはLiella!の方が、ラブライブシリーズが大切にしているテーマにより近かったからと結論づけます。


Liella!が辿り着いた答え

マルガレーテに勝つことができたのは、「みんなを笑顔にする」ことができたから。
ここから2期のテーマである「勝つ」と「みんなを笑顔にする」を両立させるということは、「勝つことでみんなを笑顔にする」のではなく、それらを反転させた、「みんなを笑顔にすることで勝つ」ということが分かります。
これは、1期の最後(2期の当初)から考えを180度転回させた、ダイナミックで見事な展開だと思います。
(むしろ360度回って辿り着いた答えと言えるかも知れません。)
3話で一度Liella!はマルガレーテに敗れています。
Liella!のライブの方が盛り上がったらしいですが、それでもマルガレーテには勝てませんでした。
つまり、この時点では1期のLiella!を超えることは、まだできていなかったということです。
しかし、そこからLiella!は新たなメンバーを受け入れて、その絆を深めることに成功しました。
2期はこの2期生を加えることで、テーマにも説得力を持たせることができ、
「マルガレーテに勝利すること」=「1期の5人のLiella!を乗り越えること」を描くのに、相応しい展開であったと思います。

渋谷の街を笑顔にすることで、2期のLiella!は1期を超えることができた。

物語の結末

しかし、ここで終わらないのが「ラブライブ!スーパースター!!」2期。
物語に一区切りついたと思いきや、かのんが留学する話が出てきます。
実は「みんなを笑顔にする」という かのんの夢には含みがあって、正しくは「“世界中の”みんなを笑顔にする」ということだったのです。
幼い頃の夢が留学によって近づくことは かのんにとって好ましいはずですが、結ヶ丘とLiella!を離れることはできず、初めは留学を断ってしまいます。
かのんにとって、結ヶ丘とLiella!は自分の夢を叶えてくれた、それだけ大切な場所なのです。
スクールアイドルになることで、自分の歌を取り戻し、ラブライブを通じて、「みんなを笑顔にする」夢を叶えた かのんでしたが、今度はスクールアイドルという枠が、「世界に歌を響かせる」という夢を引っ張ってしまいます。
1期の最終回と同じように、「私を叶える物語」と「みんなで叶える物語」のバランスをどう取るのか。
「ラブライブ!スーパースター!!」とは、この難しい問題に向き合い続ける物語であるということが、改めて実感されます。

結局12話では、自分が留学することは結ヶ丘のためにもなることや、みんなの後押しも受けて、最終回のタイトル(「私を叶える物語」)通り、自分の気持ちに正直に従って留学を決意します。
しかし、ラブライブを優勝して、後は旅立つだけというタイミングになって、突然マルガレーテが結ヶ丘の制服で かのんの前に表れ、留学が中止になったことが伝えられます。

なんだこのジェットコースターみたいな展開はと思って、TVの前で叫んだのは自分だけじゃないはず・・・。
そして、シリーズ初のTVアニメ3期が発表されました。

3期の展望

ここからは考察です。
普通に考えれば、留学が中止になったということは、かのんの夢が破れたということです。
しかし、3期では何かしらの形でフォローがあることは容易に想像できます。
そもそもμ’sでは卒業で解散を決意しても、劇場版で再度ライブを行ったことで、最高のエンディングを迎えたという例があります。
Liella!でも同様に、結末で一旦否定しておいて、次のシリーズでよりテーマを深化させるという方法を取ってくるのではと思います。
つまり、かのんが留学できなくても、歌で「”世界中の”みんなを笑顔にする」夢は違う形で叶うということです。
そして、気になるのは最後に登場したウィーン国立音楽学校と、
そこに通っているであろうマルガレーテ姉の存在。

ここから導き出される答えはひとつ・・・

ラブライブの世界大会に、新たなLiella!が挑戦するという展開!!

次の舞台が世界であれば、Liella!の歌を世界に届けることができ、直接的にかのんの夢も叶って、ウィーン国立音楽学校も無理なく登場させることができると思います。
それに、日本で優勝したLiella!がもう一度日本で優勝することは物語のクライマックスとしては弱く、それを超えるスケールの大きい舞台を用意することは妥当だと思います。

あくまで個人の妄想の域を出ないですが、あれこれ予想して楽しむのはファンの特権ですよね。
世界の舞台で輝くLiella!が見てみたいです!

「みんなで はじめての星空へ!」

最後に

自分にとって、「ラブライブ!スーパースター!!」は特別な作品です。
1期でどハマりして、2期でも同じ熱量で追い続けることができました。
アニメだけではなくて、キャストも含めて色んな角度から楽しんでいます。
素晴らしい作品なので、ぜひ色んな人に見てもらいたいですね。

まだ見ぬ3期生に会えることをを楽しみにしながら、TVアニメ3期を待っていようと思います。

最後までありがとうございました!


最後に このちぃちゃんの髪型みれて良かった


・・・・・・



ここで終わっておけば、どんなに良かったのかと思うのですが、
「ラブライブ!スーパースター!!」を探求する自分の旅は、まだ続きました。


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