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デジマ中毒と天ぷら蕎麦

■マーケティングとプロモーション

よく使われる言葉なのに、いまひとつ意味が曖昧な言葉があります。

「マーケティング」もそのひとつと思います。

マーケティングを体系化し洗練させた第一人者であるフィリップ・コトラー博士は、

マーケティングとは、個人や集団が、製品および価値の創造と交換を通じて、そのニーズやウォンツを満たす社会的・管理的プロセスである。

フィリップ・コトラー『マーケティング・マネジメント』

と定義しています。でも、日常会話でマーケティングをこの意味で使っている人はあまりいないのではないでしょうか?

コトラー博士の定義は、正確なんだけれども、たぶんイメージしにくいのだと思います。

あとは、経営者のアイドル的存在であるピーター・ドラッカー博士の、

マーケティングの理想は販売を不要とすること

ピーター・ドラッカー『マネジメント』

という言葉も有名です。

売らなくても売れていくのがマーケティングの理想だと言うドラッカー博士の言葉は、コトラー博士の定義とも矛盾しないのですが、こちらは逆に簡潔過ぎるのか、偏った理解がされていたりします。

販売員がいなくても売れるように、バンバン宣伝するのがマーケティングだ

のように理解している人が結構多いのです。

かくして日本では、マーケティングを広告宣伝(プロモーション)の意味で使う人が結構います。

これは、売り手にとっては大変不幸なことです。

マーケティング=プロモーションと捉えてしまうと、ものを売るためにお金がいくらあっても足りなくなってしまうからです。

■デジマ中毒

デジマ(デジタルマーケティング=SNSや検索サイト、Webサイトなどのネットメディアを活用して行うマーケティング手法)も、マーケティング=プロモーションという思い込みがあると、ネット広告の露出の効率性の追求にばかり意識が行ってしまいます

デジマで得られる様々なデータをもとに、商品やサービス自体の改良や価格やチャネルの見直しなどなど様々なプロセスを進めることができるのですが、デジマで得られたデータを新たなデジマにしか使わないのは宝の持ち腐れというものです。

ただ、デジマを受託した方も、顧客第一ですから、お客様の意識に沿って頑張ります。そこで、まるでカジノのように、どんどん売り手のお金がネットに吸い取られていき、デジマ費用が高ければ売上が上がり、デジマ費用を抑えれば売上が下がってしまうという状況が出来上がります。

売り手であるお客様は、プロモーション以外のマーケティングがあるとは思っていませんから、これを仕方のないことと信じ切っています。自分をデジマ中毒と思っていないのです。デジマはある意味ゲーム性があるので、はまりやすい側面があると思うのですが、デジマのゲーム性についてはあまり話題にされないせいもあるかもしれません。

■天ぷらと天ぷら蕎麦

弊社は、比較的小規模な会社様に、マーケティング全般をサポートする業務を行っています。したがって、デジマの依頼も多く頂くのですが、デジマ中毒になりそうかもと思われるお客様には、きちんとしたマーケティング戦略に取り組むことをお薦めしています。

ただ、お客様にマーケティング=プロモーションという意識が強く出来上がっていらっしゃる場合には、プロモーション以外の話に進めていくことが大変難しかったりします。定義論争はお客様と最もやってはいけないことですからね。

そこで、最近は「マーケティング」の代わりに「マーケティング戦略」という言葉を使うようになりました。

「マーケティング戦略」と「マーケティング」は、天ぷら蕎麦と天ぷらみたいな関係ですと伝えています。うちは蕎麦も旨いんですよと。

調査→戦略→事業化→クリエイティブ&プロモーション(デジマを含む) までが「マーケティング戦略」ですが、戦略には秘伝のタレがあったりします。

ということで、どんな天ぷら蕎麦を出す会社なのか知っていただきたく、noteはじめます。秘伝のタレもお伝えします。よろしくお願い致します。

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