離婚しても旧姓に戻さなかったその理由。無意識がつなげる本音と、本当の再スタート。

 離婚したのは一年半前のこと。

その時わたしは苗字を旧姓に戻さず、そのまま元夫の姓を名乗ることに決めました。

人並みに憎しみ合い、精神を病み、子供たち友人たちに心配をかけながらした、離婚。

当然、元夫のことは大嫌いになっていたし、シングルになることへの光すら見え、わたしは新しい生活に胸弾ませていました。

もちろんお金のことや、一人で背負う責任の重さは不安だったけど、どちらかというとワクワクの方が多くて、離婚してからは「毎日なんでこんなにいい天気なんだろう」と思うほど、すがすがしい毎日を過ごしていました。

だけど苗字は変わりません。

3人の子どもたちの親権は私がもらいました。代わりに、戸籍は元夫の方に入れたままにしています。

なのでもちろん子どもたちの苗字はそのまま。

そしてわたしは元夫の戸籍からは抜けたので、一人で戸籍を作り元夫の苗字を名乗る、というちょっと不思議な状態で独身生活がスタートしたのでした。

苗字をレンタルしたまま、独立した感じ。

暖簾分け、のような感じでしょうか。

フランチャイズ的な?

とにかく、一人で元夫の苗字を名乗ることになった私。

苗字を変更すると、役所や銀行、保険などの変更手続きが本当に大変!と先輩離婚者から何度も聞かされていたので、手続きする手間も省けてラッキーという軽い気持ちでした。

旧姓もあまり好きではなかったし。


それから、一年半。

自分のリズムで生活できるようになって、自由が増えました。

自由だけど、やることも増えました。

でも、ストレスは減りました。

そして自分について、考える時間もたっぷりと増えました。

自分はどうしたいのか。

自分は自分のことをどう思っているのか。

知りたかったのです。

悩んだり、楽観視したり、全世界が敵に見えたり、全人類に愛されていると感じたり、一人で本当に忙しい。

一番大切な親友の本音を引き出すように、一つづつ、自分を拾いにいくイメージを繰り返します。

そして、一つの答えにたどりつきました。


それは「わたしはきっと元夫の母と父が大好きだった」ということ。

彼の両親は、世話焼きで、口出しばっかりしてきて、自分たちの経験を押し付けてくる古い、ちょっと面倒くさい人たちでした。

しかし同時に、孫たちの面倒もよくみてくれ、おかずを持って来てくれたり、嫁のわたしのこともとても大切にしてくれました。

意見が合わず、喧嘩をしたこともあったし、分かり合えないことにがっかりしたことも何度もあります。

最後に義理母に電話した時は、驚くほどひどい言葉を言われ、死ねばいいのにと思いました。

最悪の最後。夢に何度も出てきて、わたしは言えなかった不満をぶちまけては目覚めの悪い朝を迎えました。

今でも謝ってもらいことがあるし、謝ってくれと言いたい。

怒りの感情が大きすぎて、膨らみすぎて、

傷つけられたわたしが当然という顔をして、怒りを全面に出してアピールしていたから気づかなかった。

本当は

本当は大好きだったってことを。

義母は「こんな息子のことろに嫁に来てくれてありがとう」と言ってくれました。

たしかに、大切にされていました。

もちろん息子ありきの嫁だけれど。

私の両親は放任主義で自由にさせてもらっていたけど、小さい頃のわたしはそれが寂しかったのかもしれません。本当にわたしのこと見てるの?と。

ああ、わたし、本当は彼のお父さんお母さんが大好きだったんだ。

だから苗字を旧姓に戻そうと思わなかったんだ。

苗字ってその「家」を背負ってるものだから。

そう気づいた時、驚くほど腑に落ちて、心が軽くなりました。

気づけてよかった。

もう大丈夫。

わたしは、苗字を旧姓に戻そうと思います。

ある意味、わたしの再スタートはここから始まるのかもしれません。



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