読書会第123回 古井由吉『杳子・妻隠』

先日開催した読書会リポートです。

古井由吉ってどんな作家?

古井 由吉(ふるい よしきち、1937年11月19日[1] - 2020年2月18日)は、日本小説家ドイツ文学者。いわゆる「内向の世代」の代表的作家と言われている[2]。代表作は『杳子』、『聖』『栖』『親』の三部作、『槿』、『仮往生伝試文』、『白髪の唄』など。精神の深部に分け入る描写に特徴があり、特に既成の日本語文脈を破る独自な文体を試みている 
Wikipediaより引用

プロの作家や評論家から評価が高く、ファンが多い。
20年程前に読んだが難解すぎて挫折した。
私の読書会参加者の方が、大江健三郎、中上健次を読む方が多い。
古井さんの小説も気に入ってもらえると思い、芥川賞受賞作の『杳子』を選んだ。

今回の参加者

今年の大江健三郎読書会、中上健次読書会に参加の方。
元々大江好きの方に私が中上を薦めて読まれるようになった。

「杳子」について

使用したテキストは新潮文庫の『杳子・妻隠』。
前半は「杳子」後半は「妻隠」とその他の作品について話した。

「杳子」の冒頭の山のシーンについて参加者皆さん口を揃えて、絶賛されていた。このシーンだけで延々語れるくらい濃密な描写。
杳子のキャラクターについて、他作品で類似の人物がいるか?
杳子のキャラクターについてどう思うか?
男性の立場から杳子みたいな女性は魅力的か?
という質問がされた。

言及された他の作品

『コンビニ人間』村田沙耶香
『ノルウェイの森』『1Q84』村上春樹
『城』カフカ

「妻隠」について

主人公、礼子、ヒロシ、老婆というしっかりとしたキャラクター。
それぞれが絡むエピソード。わかりやすい筋。
にもかかわらず、明かされない秘密が多く、掴みどころのない小説というのが、私を含めた全員の印象。

言及された他の作品

『一人称単数』『ノルウェイの森』村上春樹
『仮往生伝試文』古井由吉

他に言及された作品

時間に余裕があったので、他の古井作品の紹介、今読んでいる作品、気になっている作家があれば紹介いただいた。

『文学の淵をわたる』大江健三郎 古井由吉
『聖・栖』古井由吉
『三四郎』夏目漱石
『太陽諸島』多和田葉子
『自由対談』中村文則

まとめ

古井作品は難解でとっつきにくいという印象がある。
私もそう思っている一人で、確かに慎重に丁寧に読まないと何の事が書かれているのか不明な作品(特に短篇)があったりする。
しかし、文章の美しさや描写の濃密さ、女性の描き方、色っぽさなど魅力に溢れた作家なので、今後も読んで読書会のテーマにしていきたい。

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