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特例法に関する三つの派閥

話の整理をしたくて。


まず、私は「特例法を改正し、厳格化した運用を前提にした維持」を求める立場です。それを「連絡会支持派」と呼ぶことにします。穏健派と自分たちで言っていることも多いです。または、ターフ、トランスヘイターとも呼ばれています。


三つの大きな派閥

まず、女性スペースを守る諸団体と有志の連絡会があります。私はこの会に賛同しています。

そのほかに、
特例法廃止を主張している集団が二種類います。
・セルフIDの議論の上で、「誰でもが性別を変更できる世の中が素晴らしい」
→誰でも性別変更できる世の中へ
こちらは「トランス活動家」「アライ」と呼ばれていることが多いです。

・そもそも「特例法があるから、こんなややこしいことになった。ガタガタ言わずに廃止したら元に戻る。特例法は諸悪の根源」
→性別変更を禁止へ
こちらの自称はまだ知らないのですが「こむぎさん一派」「定義を守る会支持派」「特例法廃止派」と呼ばれることが多いのではないかと思います。

自分たちを穏健派だと思っている人たちからは、過激派とも呼ばれています。アライの人たちからは、やはりターフ、トランスヘイターと言われています。

この二種類です。どちらも「特例法を廃止したい」ということで一致しているので、混乱している皆さんもいるのではないでしょうか。
両方とも「性同一性障害を否定しているつもりはない」と言います。

そこまで関心のない人たちの意見

一般的には、両者とも性同一性障害を否定しているように見えます。一般というのは、金八先生で上戸彩さんの主役のシリーズを見ていた人、ネットフリックスで興味を持った人、上野樹里さんのドラマや、草薙くん主演の映画を好きな人たちみたいなイメージで言っています。これが大多数ではないかと思います。

そういう人たちは「性同一性障害で性のことに苦しんでる人は助けてあげたい、それ以外で女装してる人は好きにしていいけど、世の中の基本的なルールを守って、社会を混乱させず、自分たちのコミュニティとのけじめはつけてほしい。
男装のことはよくわからない。レズビアンとゲイもバイも好きな人と幸せに」くらいの感覚ではないかと推測しています。

そういう人たちからすると、「せっかく性別を変えられるようになったのに、やめちゃったら、その人たち困るでしょう?」となります。

特例法廃止派の主張

セルフID側

セルフID側は「特例法を廃止することで、トランスジェンダー当事者が、治療の段階や、タイミング、本人の意思に合わせて柔軟な運用が可能になる。焦って、体に不可逆な治療を施すことを防ぐことができる」という意味で、特例法を廃止したいと言っているように見えます。

「それがリベラルで自由で先進的だから人権感覚をアップデートしましょう」みたいな感覚だと思います。
医療モデルから人権モデルへ、という表現もあります。

GC側(女性の定義を守る会、こむぎさんを中心とした人たち)

逆に、こむぎさんを中心とした、いわゆるGC(GCとはジェンダークリティカルのこと)の一部の特例法廃止を唱えている人たちは、
「そもそも性別は変えられない!手術をしても性別は変わらない。男は男、女は女。法律の穴を作ったからこんな世の中になってしまったのだから、その穴をふさいで、元に戻す。最初からやり直すべきだ」という主張に見えます。この人たちは・セルフID反対派・女性の定義を守る会支持派です。


連絡会支持者からは、「過激派」と言われることもあります。こむぎさんたちからは、連絡会支持者(自称穏健派)は逆に「特例法維持派」と呼ばれています。

この人たちは、露悪的な当事者、ペド告白、レイプや性犯罪を行ったと告白する当事者をさんざんみてきた結果、失望して、特例法を廃止すべきだと思うに至った人が多いと思います。

それぞれを支持するトランス当事者

ややこしいのは、どの派閥にも、当事者が賛同しているということです。

セルフIDは言うに及ばず、こむぎさん支持の当事者も


確かにどんなに努力しても治療しても、元の体は絶対に変えられない。それは事実。性別は変えられない。性別を逆にすることはできなかった。それは一番自分が痛いほどわかっている。


だから、「性別は詐称できない」「性別は変えられない」ことに賛同する。


という文脈で、こむぎさんたちを支持しているように見えます。

他に、GID(性同一性障害)は病気じゃない!と言っている人たちもいます。これは、事実として、DSMからGIDは削除され、性別不合とされました。世界的な趨勢で言えば、もはや精神障害ではないとされたのは事実です。


だから、「性同一性障害は病気ではない!」というのは、トランスジェンダリズム推進派も、性別変更はそもそもできないんだ!というのもどちら側からでも主張できます。

定義を守る会支持者は、性同一性障害が詐病だとは言っていないと主張している人もいます。

この大きく分けた三つの派閥にも、それに賛同している当事者がいます。セルフIDに賛同している当事者は、自分も変えられるようになる、と思っているでしょうし、連絡会支持なら、今まで通りの方がいいと思っているでしょうし、定義を守る会支持なら、事実を言われても今更だから、それよりも女性たちが安全を守るために廃止が必要と言っているならそれを応援したい、と考えているように見えます。

どの人たちも基本的には善意です。推進の中心になっている人はともかくとして、それを支える人たちは、それぞれ少しでもみんなが幸せに暮らせる世の中を願っているのは確かにそうだと思います。

自分の考え

ただ、私は

セルフIDへの反論

・セルフID(トランスジェンダリズム、トランスジェンダーの権利を拡張する)に対しては、
「セルフIDになれば、それを悪用する性犯罪者を防ぐことができなくなる。よって、性犯罪は増え、治安が悪化する。特に女性や子供は、安全で安心な感覚を持って、健康に暮らすことが難しくなるであろう。実際に犠牲は増える。

海外では、男性の性犯罪者が、刑確定後に性別変更を行い女性刑務所に入所して、レイプをした事例すら存在する。日本もそうなっていくかもしれない。そうならないとしても、すでに、女子トイレがなくなってジェンダーレストイレに置き換えられている実態がある。それは共同便所の時代にさかのぼることである。そうなれば、行動範囲が家のトイレのある範囲になってしまうことになりかねず、就学、就労でハンデとなる。共同便所の時代、小学校で子供がレイプされ殺された時代に戻ってしまう」と思っています。

GC側の特例法廃止論への反論

GCの一部の特例法廃止論者がいう
「特例法を廃止すると同時に、性別変更禁止法を立法すればいい。そうすればシンプルに問題を解決できる」の主張に対しては、

特例法の手術要件に対して、それが違憲であり性別変更は個々の法益だと認められているので、性別変更禁止法は立法できない。理論上は、立法することは可能性はごくごくわずかだけどないとは言えない。

だけれど、立法したあと国賠訴訟の対象になるのは明らかで、それをわかったうえで立法されることはあり得ない。また、世論が巻き起こればというけれど、特例法廃止と同時に性別変更禁止法が成立しなかったら、多大な犠牲を生む。そのタイムラグが何年かかるかわからない。国賠を回避するには、憲法を改正するしか道がない。

違憲判決が出た以上、その判決に関連するあらゆることは、憲法違反になったので、判決が出た段階で無効となってしまった。やる気があるとか諦めれるとかじゃなく、法の手続きの問題として、ほぼ不可能だ。

と思っています。

GC側の特例法廃止派は「Xやデモなどで主張しても、即時廃止を求めていない」と言いますが、そんな風に自分たちの都合のいいタイミングで、法律が廃止されたり、立法されたりということはあり得ません。なにしろ、セルフID推進派が特例法を廃止したがっているのだから、彼らの望むタイミングで廃止されるのが現実的です。

何年でもあきらめない、声を上げていくというけれど、Xというプラットホームがなくなったらどうでしょう?どうやっていくのか。ラインやスラックや別のSNSでつながっていく手立てがないとは言えないけれど、実際の問題で、性別変更禁止法を作るとするなら、何十年もかかることを覚悟しなくてはいけません。その間、ずっとSNSという概念自体があるか未知数です。

結論

私は、時間を稼ぐという意味でも、外観要件に関する違憲判決が出る前に、特例法を改正し、性犯罪者や不届き者を排除できるような厳格性を備えた運用を目指していくのが現実的だと思い、そのため連絡会に賛同しています。


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