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まち全域で病院機能を(長野県茅野市)

この記事は「スマートシティの実践・実装」を、GSCA(*)加盟都市の取り組みからご紹介する連載の第一回目です。 

2022年3月23日に開催されたG20 Global Smart Cities Alliance (GSCA)日本支部の定例会にて、長野県茅野市からその取り組みの一部をご紹介いただきました。「(モデル地区をつくらず)まち全域で病院機能を担う」「ゼロベースから議論する公民協働」など、56,000人という住民規模ならではの実績と描かれた未来は、住民、医療関係者、交通事業者など、地元に根ざした地域ステークホルダーと共に歩む共創力を含めて注目されています。

(*) GSCA日本支部とは?↓

茅野市全域を病院に

茅野市では過去25年間にわたり、まちづくりの中核に「福祉」を掲げ、公民協働の取り組みを進めてきました。第2次総合戦略の策定を機に、市民とともに協議を重ね、これからのまちづくりの中核を「福祉・医療・健康」と定義。そして「入院せずとも、入院と同等の医療サービスを自宅で受けられるようにする」というコンセプトを策定し、タクシーによる医薬品の配送病院の予約にあわせたオンデマンド配車、在宅医療における看護師さんのタスクシフトなど、関連サービスが医療に結びつくための施策を打ち出しています。

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さらに地域DXの目的のひとつに「地域の生産性向上」を掲げ、その結果としてもたらされる時間的な余裕を住民の支えあいのシェアリングに繋げるためのデジタル・マッチング「未来型ゆい」も構想しています。こうした支え合い活動は、病院に行く前のフレイル対策の一環としても期待されています。

デジタル田園健康特区(仮称)として

茅野市のこうした取り組みは「デジタル田園健康特区(仮称)」に指定されました。今後、同じく特区に指定された石川県加賀市、岡山県吉備中央町とともに連携し、地域課題を解決するための先駆的事業を実施し、地方都市のモデルとして、地域のデジタル化と規制改革を強力に推進していきます。

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尚、世界経済フォーラム第四次産業革命日本センターでは、デジタル田園検討特区(仮称)との連携によるPHRとデータ利活用を支援しています。

推進力は、公民協働

茅野市企画部企画課長の田中裕之氏は、こうした取り組みの推進力として「公民協働を挙げました。過去25年間にわたって「パートナーシップのまちづくり」という公民協働による活動を行ってきた茅野市では、地域DXの推進にあたっても住民、医療関係者、交通事業者など、地元に根ざした地域ステークホルダーとゼロベースで議論する、つまり市による提案の可否を協議・検討するのではなく、起案段階からの共創を重視しています。

この「共創」はステークホルダーを巻き込んだ合意形成プロセスという側面でも多くの示唆があります。特に、医療・健康分野において重要なステークホルダーである医師会との連携において、地元医師・病院との共創関係は特筆すべき点です。そして外部の組織に頼ることなく、地元に根づいた幅広いステークホルダーで計画づくりを行っていることも特徴的だといえるでしょう。さらに「まち全域で病院機能を担う」という明確なコンセプトと市民にとってのメリットの具体的な提示が、地域住民の理解と合意につながり、地域全体を巻き込んだまちづくりを可能にしている点も忘れてはなりません。「小規模自治体で何ができるのかを検討した結果」(田中氏)という茅野市の取り組みに、引き続き注目していきたいと思います。

世界経済フォーラム第四次産業革命日本センター ティルグナー順子(広報)・原元由貴(フェロー)







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