#15 斜めの尊敬

ようこそ。クラブマゼンダへ。

今日は私の尊敬する人の話をするわね。

私の尊敬する人はズバリ、母よ。

私は少々(?)複雑な家庭で育ってきて、15歳の秋まで本当の父親を知らなかったし、義父はすぐに暴力を振るう、人として知能の低い人だったわ。

私や姉はもちろん、母にも平気で手を出して、それが大義の元なされているかのような立ち振る舞いをする、それはそれは小さい男だったの。

そんな義父と母は、私が15歳の頃離婚して、それから、私達を女手ひとつで育ててくれたわ。

最初はスーパーのパン屋で働いて、その後、高齢者の福祉施設で、長年夜勤もしながら働いて、私達を養ってくれていた。

働きながら、ヘルパー2級から介護福祉士、そして、ケアマネジャーの資格を取って、今年ついに通信制の大学を卒業し、社会福祉士の試験を一発で合格したの。

私もこの歳になってやっとわかることだけど、本当に本当に苦労しただろうなと感じるわ。と同時に相当の努力を子ども達のためにと思ってしてきてくれたんだと思う。

そして、心から尊敬できる。私の母親がこの人で良かったって素直に言えるわ。

そんな母も60を過ぎて、老後の話をし始めたある日、私もついにカミングアウトをしたわ。

私はゲイだから、これからどうなるか検討もつかないこと。そして、今の私に取っては都会の方が生きやすく、母と暮らす事は難しい事なんかを話したわね。

その時の母は、何も言わずに(むしろ感動的な一言でも欲しかったぐらいあっさりと)その事実を受け入れてくれたの。

素直に嬉しかったわ。

そして、今、私は、人生の中でもなかなかに辛い状況にあるわ。
正直こんな事なら消えてしまいたい。と思うことだって、何度もある。

けど、その時にいつも頭に浮かぶのは、「母を悲しませたくない」という事。

私には、奥さんや子どもと言った守るべきものは無いけれど、「尊敬する母」と言う大切な存在が確かにいて、私を今も生かしてくれている。

感謝ね。

いつか、そう、いつか、母に恩返しをしたい。
それが今の私の夢の一つだわ。

って、なんだかしんみりしちゃったわね。
てことで、今日はこの辺で閉店にしましょうか。
また来てね。大好きよ💖

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