【朗読・話し方Q&A】地の文を読むコツ

朗読・話し方Q&Aです。

Q.

私は舞台役者として活動しているのですが
朗読検定準二級を受けた感想として、舞台上での台詞とは違い
役でしゃべるのではなく話を語るというのが難しかったです。

朗読において何かコツなどがあったら教えて頂きたいです。

A.

私も舞台役者から朗読に入った口なので、
この質問はよく分かるなぁ、という感じです。
朗読では、舞台以上に、「誰が、誰に向けて喋っているか」という視点が重要になってくるように思います。

よく地の文は「神の視点」「作者の視点」といった言われ方をしますが、
要は、「語り手」役であると考えるとよいかもしれません。

物語の登場人物とは異なり、聴く人にアクセス出来る「語り手」役を、地の文では演じれば良い、
と考えれば、舞台役者をされているのであればしっくりくるでしょうか?

地の文の文体が、
「私は」なのか、
「彼は」なのかで、
即ち当人なのか第三者の視点なのかでも心持ちは変わってくると思います。

落語なども、人物を演じるパートと噺家が喋るパートが入り乱れる形態なので参考になるかもしれません。

地の文を読んでる私は一体何者なのか。
ここに気付けるかどうかが、地の文上達の秘訣かと思います。
私はよく「この面白い話を皆さんにお届けする自分」という心持ちで地の文を読むことがあります。
この文章のここが面白い、ここが見所、という気持ちを、
「私はこう思ってます」と聴く人にプレゼンするような気持ちを持ってみるといいかもしれません。

また、台詞に比べると地の文は平坦で退屈になりがちです。
地の文を読んでいる「私」にとって、
「プラスの情報かマイナスの情報か」という「価値の判断」をしっかり考えて表現していくと、面白くなってくるものかと思います。

あとは、情景描写であれば、物の位置関係。
「空の上」と「地の底」では、全く違う音が出てくると思います。
一般的なイメージの話ですが、
「空の上」ならば、明るめの音、
「地の底」ならば、暗めの音がしっくりこないでしょうか?
上を向いて声を出せば声は明るく、
下を向いて声を出せば声は暗くなってきます。

物の位置や、空気の温度、そういったものに敏感に価値判断をしていくと、
地の文がもっと楽しくなるかと思います。

ただ、あまりやり過ぎると
「コテコテで押し付けがましい」
なんて言われたりもしますから難しい所ですが(笑)
ちょうどいい匙加減を、探り続けてみて下さい。

質問はこちらの質問箱にお寄せいただければ、
答えられそうなものはがんばって答えます。

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