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【講座メモ】芥川龍之介『トロッコ』四回目

池袋コミュニティ・カレッジで講師を担当しております講座「西村俊彦の朗読トレーニング」講座メモ
芥川龍之介の『トロッコ』を読む・四回目。

この回では土工に「帰りな」と言われてからラストまでを見ていきました。これでいよいよ『トロッコ』も読み切り。
残りの二回は全編を声に出して読んでいく、発表会的な回になります。

講座を担当して一年半ほどになりますが、一つの作品を四回に分割して細かく見る→全体で二回読む、というのが今のところのスタイルになっています。

さて、細かく見る最終回の今回は…

・朗読譜を考える

朗読譜ってなんぞや、ですが、文字通り朗読の譜面、どう読むかを台本に記入したものが朗読譜です。
決まった書き方や記号があるわけではなく、自分に分かりやすければ大丈夫。
私なりの朗読譜を皆さんにお配りして、その場で私が声に出して読んでみる時間を作ってみました。

朗読譜例1
朗読譜例2

例えば最初の方に登場する3〜1の数字は、同じ価値の物、あるいはレベルアップしていく価値のものに対して私がよく振っている記号です。3、が目に入ると、これがあと3つ続く、と覚悟が決まります。

その後の「そう云う事が」は、これまでの三つの総合なので大事に読む、というようなニュアンス。

所々に振ってある波線は「何かしらのニュアンスをこめたい」所、クレッシェンドなどは、「速さや強さ、気持ちの量」などを徐々に変化させたい時に振っています。音楽記号は見慣れている方も多いと思うのでオススメです。

また、文章を切りたい部分にはブレスみたいなマークを入れています。

実際の文章には「、」がない位置でも、区切りを入れると音として分かりやすくなったり意味が際立ったりする部分があります。
どこで区切るかは、読み手の個性が一番現れやすい部分と言えるでしょう。

こんな感じで朗読譜を作っていくと、読む際のガイドになるのはもちろんですが、
自分がその文章を「どう読みたいか」が形として明確になってきます。どんな意図でそうしたいのか、なぜそこに印をつけるのか。
考えていくと「自分はこう感じていたのか」と新しい発見があることもあります。

「読みたい」の見える化を、積極的にやっていくとなかなか楽しいものです。

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