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【講座メモ】小川未明『野ばら』四回目

池袋コミュニティ・カレッジで講師を担当しております朗読講座「西村俊彦の朗読トレーニング」
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講座メモ四回目。
物語を細かく区切って読んでいく回はここまで、残りの二回は発表準備と発表会!
・立場を想像する

・立場を想像する

物語最終場、老人が旅人に向かって「戦争はどうなったか」を訪ねる場面。
旅人は「小さな国が負けて、その国の兵士はみなごろしになって、戦争は終わった」と答えます。
ここで、老人・旅人の立場や気持ちを考え、もしこの場面がセリフだったら、と想定して言葉を交わしました。
老人は青年の死を予感しているか否か、
旅人はどちらの国に肩入れしているのか/中立か
を想像してみることで言葉の発し方が変わってくることを楽しみました。
また、セリフの内容に「積極的なのか消極的なのか」を考え、身体を前のめりに/後ろに引いてセリフを発してみました。身体のあり方で音は大分変わりますね。

・間に漂う行動

うとうとと居眠りをしました(間)かなたから、おおぜいの人のくるけはいがしました(間)見ると、一列の軍隊でありました。

(間)の箇所に間をとり、その間に行われている行動に注目。気配を感じる/起きてその方向を見る、などですが、実際その行動の長さの間を取り文章を読んでみました。間が行動を意識させるものになっていると、結構長めの間でも「活きた」間になってくるものです。間には行動や時間の経過を漂わせることを大切に。

・臨場感/幻想的

老人が見ると、青年が物言わぬ軍隊を率いてくる姿を目にします。
この部分を読む際に、臨場感を漂わせるか、幻想的な雰囲気を醸し出すか、どちらが良いでしょうか。
どちらが正解ということもないので、両パターンで同じ箇所を読んでみました。
実際通して読む際に、どちらの方向で攻めるのか。あるいはどちらでもない別の読み方にするのか。演出家はあなたです。あなたが感じた『野ばら』に最適な表現を探りましょう。
臨場感を持たせるには地の文の「行動や出来事」に注目して、スピード感やその出来事に対する感情を意識して読むと良いです。逆に幻想的な雰囲気を狙うなら、そういった箇所を無理に強調せず、全体を「幻想的な音色」で包むと良いです。何が起きているかは言葉が説明してくれます。

こうして『野ばら』も最後まで読み切りました。
講座では一つの作品を何回かに分割して読解を進め、その中で使えそうな朗読のコツを、講師がその都度紹介していく、というスタイルで進んでいます。
受講生は随時募集中、一日体験も可能です。
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