マガジンのカバー画像

怪しの話

88
You Tubeのの星野しづくさんのチャンネル「不思議の館」と、ツイキャス(You Tube)の「怖い図書館」に投稿した、不思議な話や怖い話をほぼ週1回のペースで掲載しています。
運営しているクリエイター

2023年6月の記事一覧

カグラ

今回は、私が30代前半、結婚して2軒目に住んだ家での思い出話です。 結婚した当初は賃貸マンションに住んでいたのですが、2年ほどたったある日、不動産情報好きだった元嫁が、「このまま家賃を払い続けるのはもったいない」と言い出しました。 そして、どこをどう探して来たのか、当時私が勤めていた会社の川を隔てた真向かいに、中古の二階建て一軒家を見つけてきたのです。 住宅ローンの支払い額も、マンションの家賃とほぼ同じで、会社にも歩いて通えるほどの近さだったので、私はその家を購入すること

呼出電話

これは、母の友人だった節子さんという女性が昔聞かせてくれたお話です。 時代は今から60年近く前、昭和39年頃のことです。 当時、節子さんは幼稚園の先生をしていました。 園の恒例行事だった、保護者同伴の遠足を翌日に控えたある日、節子さんは大事な伝達事項を一つ、受け持ちのクラスの保護者に伝え忘れていたことに気づきました。 気が付いたのは園児たちが帰宅したあとだったので、電話で直接保護者に連絡するしか手段はありませんでした。 節子さんはしかたなく、ひとり、夕暮れの迫る職員室に残

雨だれ

 これは、Kさんという関西在住の男性が経験したお話です。 Kさんが20代なかばのある年の6月、大学時代のサークルの同期会が開かれました。 男ばかり、あわせて10人あまりの飲み会でした。 二次会も終わり、まだ遊び足りない数人が、次はどこへ行こうかと相談していたときのことです。 話の流れで、どこかの心霊スポットに肝試しにでも行こうかということになりました。 しかし、その日は誰も車に乗って来ておらず、折悪しく小雨も降りはじめました。 どうしようかと迷っていると、その日少し遅れて

傘屋敷

知り合いのアキコさんという40代の女性から、最近こんな話を聞きました。 アキコさんが20代のころ、関西の某会社に勤めていた時のことです。 同じ部署にサトミさんというアキコさんと同年代の女性がいました。 好みや話題も相通じるものがあって、昼休みにはよくいっしょにランチに行く、仲の良い同僚でした。 ある日の昼休み、「ちょっと聞いてくれる?」と、サトミさんはこんなことを話し始めたのです。 当時、彼女は郊外のマンションに住んでおり、最寄り駅までは歩いて15分ほどの距離でした。 し