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怪しの話

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You Tubeのの星野しづくさんのチャンネル「不思議の館」と、ツイキャス(You Tube)の「怖い図書館」に投稿した、不思議な話や怖い話をほぼ週1回のペースで掲載しています。
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2023年5月の記事一覧

廃墟内見

これはカメラと廃墟探索を趣味とするJさんという30代の男性から聞いたお話です。 今から数年前の初夏のこと、まだ20代だったJさんは先輩のKさんといっしょに、とある廃墟へ探索と撮影旅行にでかけたそうです。 そこは山間(やまあい)にある廃旅館で、Kさんが仕入れてきた情報によると、周囲に民家や監視カメラはなく、侵入しても警備会社が来ることもないらしいという、廃墟マニアにとっては近年珍しい、理想的な物件でした。 しかも、心霊スポットなどの噂もまだないことから、知る人も少なく、まだあ

万博異聞

今回は私が高校生の時に、同級生だった木村君から聞いた話です。 木村君と私はそれぞれ別の中学校出身で、高校で初めて同じクラスになった仲でした。 木村君が中学1年生になって間もない5月半ば頃、学校の遠足行事として、当時開催されていた大阪万博(EXPO'70・エキスポ70)に行くことになりました。 私の学校も同様で、当時の市内の中学校ではほとんどの所が万博見学に行ったようです。 1970年3月15日から9月13日までの183日間にわたって開催された大阪万博は、1964年の東京オ

二段ベッド

これは私が小学校5年生のときに、同級生だったユキオ君が話していたお話です。 ユキオ君は両親と3つ違いの弟との4人家族でした。 彼が小学校に上がるのを期に、市営団地から一軒家へと引っ越して家が広くなり、二階の六畳間を子供部屋として使えることになりました。 彼はこのときとばかりに両親にねだって、憧れだった二段ベッドを買ってもらったのだそうです。 弟はまだ両親といっしょに寝ていたので、しばらくの間は彼専用のベッドです。 当然のようにユキオ君は、ベッドの上段で寝ることにしました。

聞いた話

まずは、Aさんという20代の女性から聞いた話。 以前、彼女が通っていた料理教室で、よくいっしょに調理実習をしていたY子さん。 ある日、警察に逮捕された。 夜中に包丁を持って近所をうろついていたところを、パトロールしていた警察官が発見したのだという。 聞くところによると、自宅で料理をしていて急にむしゃくしゃして、誰でもいいから人を刺したくなったと供述したらしい。 Aさんが料理教室でいっしょだった、その日の夜のことだった。          * 次に、これはBさんという中年の

待合室にて

これは人怖なのか、私の妄想なのか、もしかしたらとても良い光景ではなかったのかと、今でも判然としないお話です。 6年ほど前から約3年間、私は月1回のペースで大学病院に通院していました。 長い待ち時間というのはどこの大病院でも同じだと思いますが、私の場合も毎回朝一番に行って採血と採尿を終えると、あとは検査の結果がでて診察の順番がくるまで3時間ほど、ひたすら待っているというのがルーティンのようになっていました。 そんなある日の待合室で、ちょっと目を引く老夫婦がいました。 ご主人