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怪しの話

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You Tubeのの星野しづくさんのチャンネル「不思議の館」と、ツイキャス(You Tube)の「怖い図書館」に投稿した、不思議な話や怖い話をほぼ週1回のペースで掲載しています。
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2023年3月の記事一覧

人魂釣り

私が小学4年生の夏に、母方の祖父がこんな話をしてくれました。 祖父が15、6歳の頃と言いますから、明治の終わり頃のことだと思います。 祖父の名前は多吉といい、農家の次男坊として生まれ、高等小学校卒業後は、家の畑仕事の手伝いをして暮らしていました。 当時、多吉少年には3人の遊び仲間がいたそうです。 仮に彼らの名前を甲太、乙次、丙三としておきます。 甲太は多吉より一つ年上、乙次は甲太の二つ下の弟、丙三は多吉と同い年でした。 4人は家の仕事の手伝いをサボっては、よくいっしょに

スターコーポ2020号室

今回はI(アイ)さんという20代の看護師の女性から聞いたお話です。 Iさんは現在、眼科医院の看護師として勤務していますが、数年前、今の病院に就職が決まって、初めて一人暮らしをすることになりました。 ネットで検索してみると、病院の近くに運良く手頃なアパートを見つけました。 名前は〈スターコーポ〉、築4年、2DK、家賃4万円(共益費込)という物件です。 Iさんは、さっそく不動産屋に連絡して、部屋を見せてもらうことにしました。 スターコーポは軽量鉄骨2階建て、各階3部屋ずつの小

手触り

これは私がよく行く猫カフェの店員、カヨさんという女性が体験したお話です。 カヨさんは現在20代なかば、両親と妹と2匹の猫とで、市内の一軒家に暮らしています。 その日はカフェの店休日で、カヨさんはお店の同僚とドライブに出かけました。 あちらこちらの観光スポットを回って、帰宅したのは夜の9時過ぎだったそうです。 食事は済ませて来たので、ゆっくりとお風呂に浸かり、疲れていたためいつもより早く、11時過ぎには床に付きました。 カヨさんがベッドに横になると、この夜も黒猫のクロ美が枕

一人雛

これはMさんという20代の女性が教えてくれた、彼女のお母さんと雛人形にまつわるお話です。 Mさんの家は江戸時代から続く老舗の呉服問屋で、典型的な女系家族でもありました。 Mさんが知る限りでも、曾祖母の代から、代々女性が婿をとって家業を継いでいます。 そのような家の一人娘であるMさんも、幼い頃からお茶やお花、着付けなどを習わせられ、特に着付けは家業に直結するものとして必須科目でした。 この着付け、Mさんのお母さんには天性の才能がありました。 10代の頃からひとに教えるほどの