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怪しの話

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You Tubeのの星野しづくさんのチャンネル「不思議の館」と、ツイキャス(You Tube)の「怖い図書館」に投稿した、不思議な話や怖い話をほぼ週1回のペースで掲載しています。
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2023年2月の記事一覧

いびき

とある酒宴の席で60代くらいの男性が、周囲に自慢するようにこんな話をしていました。 彼(仮にYさんとしておきます)が20代のはじめ、就職して間もないころの話です。 当時Yさんの会社では宿直勤務というものがありました。 海外との取引が多かったため、夜中でもすぐに対応できるようにと、営業職と技術職の人間がふたり一組となって、泊まり勤務をするのです。 オフィスに隣接する宿直室は8畳ほどの和室で、一方の壁には押入れと作り付けの洋服ダンスがあり、片隅に置かれた電話機とファックス、小

抱き人形始末

これは十年ほど前、バイクショップの店員をしていたFさんという40代の男性から聞いたお話です。 Fさんが30歳になった年のことです。 そのときはバイク仲間だった奥さんと結婚して2年目で、市内のアパートに二人で暮らしていました。 4月も20日を過ぎた頃、Fさんの実家の70歳を過ぎたお祖母さんから、突然電話がかかってきたのだそうです。 頼みたいことがあるから、今度のゴールデンウィークに戻ってきてくれないかという内容でした。 頼みたいこととは?と尋ねてみても、それは帰ってきてから

或る物売りの話

みなさんは小学生のころ、学校の門の外などで、怪しげな物を売るおじさんを見たことはありませんか? 私が小学生の時には、学校の裏門の脇で、下校時の子どもたちを目当てに、怪しいおじさんが店を広げていたことが時折ありました。 荷台に大きな箱をくくりつけた、オンボロな自転車を脇に停め、道端にペラリと黒い布を敷いて、手品グッズなどを口上と実演を交えながら売っているのです。 当然、学校の許可はもらっておらず、私たちは帰りの会などで「絶対に買わないように」と先生からよく注意を受けていま

鬼面の闇

今回は先日、Aさんという女性から聞いた彼女の友人のお話です。 Aさんは現在30歳で、友人K子さんさんとは高校の同級生でした。 高校卒業後はしばらく疎遠になっていましたが、 社会人になって一人暮らしをはじめたマンションが、偶然近所だったことで、休日に時々お茶やランチなどをいっしょにするようになった仲でした。 4年前の春頃、いっしょにランチを食べに行ったときのこと。 いつもはおとなしくて聞き役にまわることの多いK子さんが、めずらしく快活に話を聞いてほしいと言って、次のようなこ