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激闘!S-1開発秘話!編集後記

どうも。病院薬剤師メガネです。
記念すべき(?)Podcast第1話、激闘!S-1開発秘話!について編集後記を書いていきます。

なぜこのテーマ?

がん薬物療法に携わる薬剤師たるもの、お気に入りの抗がん剤の一つや二つあるのが常でございます。
私、メガネの好きな(いつもお世話になっている)抗がん剤は5-FU系抗がん剤!本当にいつもありがとう5-FU。
安くて、比較的安全で、そして今でも最前線で頑張ってくれている。
あんた、すごいやつやで。
そんな5-FUに敬意を払いつつ、折角なので日本人が開発した抗がん剤の話がしたいなぁ…と思って、過去の記憶を掘り返してみると、
「そういえば!S-1の本があったな!」と思い出しました。
それが今回の種本、【S-1誕生 国産初の世界レベル抗癌剤開発秘話】です。

S-1誕生、単純に面白くて読めちゃう本です

S-1の開発者、白坂先生が書かれた本。
とってもユーモアのある文体で、一般の人でも分かりやすく書かれているのではないかと思います。
「がん」という、大きな敵に抗がん剤開発で立ち向かう。
でも開発までには一山も二山もあって…
かっこえぇ……詳しくはPodcast聞いてみてね。
https://podcasters.spotify.com/pod/show/hb97caei0r8/episodes/1-1-S-1S-1UFT-e2bjq0t
S-1の調剤、服薬指導をするたび、がんばってくれよ!S-1!と思います。

実は私メガネ、白坂先生とお写真を撮らせていただいたこともあります!
今回のサイン本と合わせて、大切にしていきます。

臨床薬剤師的にS-1はどんな印象?

良い点(個人の意見、エビデンスレベル低い)

  • 後発品もあって比較的安い

  • 内服抗がん剤なので、副作用が出ても服用STOPできる
    (患者さんが無理して飲まないように指導する必要あり)
    (ご飯食べられない、下痢してる、でもS-1は飲まなきゃ!と思ってしまう患者さんも多い)
    (特に、独居など社会的な繋がりが弱い患者さんは注意が必要かなと思います。できれば初期は保険調剤薬局の先生のTELフォローアップがあると嬉しいが…)

  • 口腔内崩壊錠もある。確かイチゴ味。

  • 4週間内服2週間休薬は難しいかもしれないが、2週間内服1週間休薬であればほぼ問題なく飲める人が多い

  • 内服期間、治療強度が重要。
    胃がんの補助化学療法であれば、1年間、強度80%が望ましい。

悪い点(注意すべき点)

  • 腎機能に注意!要添付文書確認!
    未だに腎機能不良患者で過量投与が発生する…

  • 処方忘れ注意!
    医師が注射の抗がん剤レジメンに気を取られ、内服のS-1を処方し忘れることが時折…注意です。
    レジメンの話も今後Podcastでしたいですね。

  • ワルファリンと注意!
    後でPT-INRが伸びる!若い医師は知らない先生も?

  • 日本でしかほぼ使用されていない(と思う)
    FLAGS試験 進行胃がん
    TS-1+CDDPは世界共通レジメンにはなりえなかった。かなしい。
    北米のデータが極めて良好で、南米のデータが逆に極めて悪かった。
    施設クオリティの確認がどこまでなされていたのか不明。

薬剤師業務に役立ちそうな論文

  • 胃がん術後補助化学療法 S-1半年ではだめだった論文
    Lancet Gastroenterol Hepatol 2019; 4: 208-216.

  • 治療強度維持したい論文
    Am J Cancer Res 2021, 11, 2312-2318.

  • こまめに投与量などを調節する腫瘍内科医の方が治療継続率が高い論文
    Surg Today 2020, 50, 1197-1205.

  • 薬剤師が介入するとS-1関連の処方が適正化、緊急受診等の回数減少
    癌と化学療法, 2016, 43, 1091-1095.

    この辺、薬剤師の処方提案などにも使えそうな知識ですよね。
    薬剤師の積極的な介入が大事です。患者さんのアドヒアランス・理解度確認、副作用確認、支持療法の提案…それらで有効性・安全性が上げられる!薬剤師の腕の見せ所です。

最後に

S-1、日本生まれのとっても心強い薬です。
ただし!手放しで安全かというと、そうではないのが抗がん剤。
薬剤師、医師、看護師…チーム医療でS-1を上手に使い、安全にしっかり服用できるようにしていきたいですね。


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