見出し画像

勝手に動画分析 #29「サウンド演出で感情を掴むダウンヒル動画」

こんにちは、BYNDのNATUです。

BYNDではナビゲーターやTAとしてセッションに参加しています。

noteでは「週末にゆっくり嗜む動画」というコンセプトで個人的に気になった動画を毎回一つ取り上げ、4つのベース項目と1つのエクストラ項目の計5つを軸にその動画の唸るポイントを分析したり解説したりしてみたいなと思ってます。

今回は久しぶりにサウンド面でグッときたMTBのダウンヒル動画です。なぜこのジャンルは音に拘る人が多いのか。すばらしい。


Jackson Goldstone — Solo

 (via vimeo|Scott Secco)


Producers: Seb Kemp & Daniel Gillooley
Director/Cinematographer/Editor: Scott Secco
Co-Cinematography: Liam Mullany
Cable Cam: Robin Munshaw
Sound Design: Keith White Audio
Composer: Jeremy Wallace Maclean
Production Assistant: Kelsey Toevs


今回の5項目チャートはこんな感じです。

今回のエクストラ項目は「BGM最強説」。


そしてそれぞれ5つの項目のショートコメントがこちら。



[LOOK:★★★★]


スポーツ動画っぽく色々な構図やレンズを使って撮っていて、ある種不揃いなフッテージをたくさん使いながら、それでもLOOKを白黒にすることで総じてスッと見てしまえる印象になっているのはとても面白いです。初見の際は「自然の色もっと見せてくれてもいいのに 勿体ないな」と思ってしまいましたが色がついてるとガチャつきが目につくかもと思いなおし、そう考えるとうまいLOOKチョイスだなあと。

マッチしにくいような構図も大胆に使っています。


[音:★★★★★]


エクストラ項目とかなり被りますが、あちらは主にBGMについて触れるのでここではSEまわりを。出だしの車の止まる音から、一転静寂をメインに変化して、ある程度間を取った後にダイナミックなフォーリー(動作音)を使ってシフトチェンジというのが綺麗すぎて格好良くて震えます。

葉を揺らす音をダイナミックに使い、
そこから徐々に力強いフォーリーが加わっていきます。


[編集:★★★]


編集自体はかなりシンプルですが、ディレクション/撮影/エディットを一人で担当してるということで、編集に無駄が全くない。撮影時も作品の最終形を頭の片隅に描いて進められるとやっぱり編集で二の足踏むことは減るので編集も自然と洗練されます。そこがまさに作品にも見て取れるというか、組み立てに迷いがない。一人で担当する良さってこういうところにあるなと再認識させてもらいました。

このへんの一見インサートっぽく見えるフッテージも
しっかり主役として意図して使われていて、
これは一人で担ってるからこそのチョイスだなあと感心。


[構成:★★★★]


絵と音の連携の勝利という感じです。短時間ですがしっかり場面(シーン)が分けられていて、ダウンヒルのありがちな画でありながらしっかりドラマティックな構成に仕上げているのは見事。視聴者の感情をばっちりコントロールしていて、ちゃんと見せ所でドキドキさせられてしまいます。これぞ構成の力。

ひとつひとつ分離していくと
本当によくあるダウンヒルものの構成パーツなんですよね。感嘆。


[BGM最強説:★★★★★★]


BGMって、こと短尺の動画においては1曲をバックに薄く敷くような使い方になりがちなんですが、いやそれってやっぱり勿体ないよなって、この作品を見てたら思いました。映画はもちろんそこは十二分に使われていてすごい魅力なんですが、短尺の中でたとえ十数秒だとしても数秒だとしてもBGMを使った雰囲気コントロールはしていいんだという、そのわかりやすい参考例でした。視聴者の気分をガラッと変えられるBGMはやっぱり強い。

一枚目は盛り上がってるシーン、二枚目は神秘的なシーン、
いや同じなんですよ基本。だってダウンヒルだから。
でも作品の中では明らかに違う。BGM強し。




さて、以上いかがでしたでしょうか。

動画の面白みに少しでも触れてもらえたなら嬉しいです。

それではまた次回。NATUでした。

(Writer:スタッフ NATU)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?