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勝手に動画分析 #32「繋がって変化し続ける独特の浮遊感が面白い」

こんにちは、BYNDのNATUです。

BYNDではナビゲーターやTAとしてセッションに参加しています。

noteでは「週末にゆっくり嗜む動画」というコンセプトで個人的に気になった動画を毎回一つ取り上げ、4つのベース項目と1つのエクストラ項目の計5つを軸にその動画の唸るポイントを分析したり解説したりしてみたいなと思ってます。

今回は久しぶりにアート寄りなモーション作品。


The Garden

 (via vimeo|jono pui)


Design / Animation: Jonathan Pui
Sound design / Music : Pablo Geeraert


今回の5項目チャートはこんな感じです。

今回のエクストラ項目は「3Dくずし」。


そしてそれぞれ5つの項目のショートコメントがこちら。



[LOOK:★★★]


デザインされた画面と手書きの風合いが混ざるLOOKは異素材MIX感があって見応えあり。白黒&ザラザラテクスチャは旬は少し過ぎたかなと思いつつ、3Dや手書きを扱うモーショングラフィックス作品とやはり相性が良くて、世界観をさらに深いものにしています。


[音:★★★★★]


サウンドデザインはかなり秀逸。アート寄りで人工的なビジュアルのなかでもSEには自然音に近い音をチョイスしていたり有機的な生っぽさ入れてきていたりと仕掛けが深い。その「絵と音のチグハグ感」が作品全体に流れる魅力的な空気感を生み出していて、かなり味わい深い音作り。

植物に当てられたなんとも言えないミシミシといった有機的な音、
この使い方は個人的にはすごくかっこいいと思いました。


[編集:★★★★]


3Dと手書きを融合させるための「馴染ませ」には突出したセンスを感じます。3Dと手書きという完全に異なる表現を、どちらか側に寄せることもなく作品として「どちらでもない」という落とし所に持ってきてしまうのは驚きです。このクリエイターの他作品をみるとモーションデザインのスキルもすごく高いので3Dと手書きをモーションデザインという接着剤で見事に融合させてるんだなと思いました。

完成度の高い同じモーションデザイン上で動くことで異なった表現がうまく馴染む。


[構成:★★★★]


この表現を一作品としてまとめ上げる構成力にはかなりの技量を感じます。特にトランジション(画面の切り替え)とモーフィング(形の切り替え)が常に繋がりながらシームレスに作品が進んでいくさまは圧巻。

羽虫を捉えるこの出だしからしてキャッチー。
そしてここから止めどなく連続していくモーション。


[3Dくずし:★★★★★★]


3Dの得意どころである「立体空間での整ったキレイな動き」を一つの隠し味として使っているのがうまいです。縦横・奥へと自由に動かすモーションデザインを、一見して3Dに見えないLOOKや手書きのアナログ要素と掛け合わせることで生まれるこの唯一無二の浮遊感。3D表現をビジュアル面ではなく、動きの面で利用するアプローチはなかなか斬新でした。

3Dらしくないビジュアルだから3D的な動きが味として光る。
要所で見せる立体的な回転の連続シーンは非常に3Dらしい「味」。




さて、以上いかがでしたでしょうか。

動画の面白みに少しでも触れてもらえたなら嬉しいです。

それではまた次回。NATUでした。

(Writer:スタッフ NATU)


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