【その①】H27過去問55分でエスキスしてみました。※1/400平面図あり

こんにちは、さよきすです。

今回は令和2年度の課題と共通する高齢者向け施設であるH27の過去問のエスキスをしてみました。尚、このnoteに載せるプランはフリーハンドの手書きのため、多少判別しにくいところもあるかと思いますが、ご了承ください。

それなりに、ボリュームがあります。そのため、2回に分けて解説していきます。本稿は基準階の検討までで、約6,000文字の内容となっています。

エスキスにおいて、一番悩むのは平面の部屋の配置かと思います。なぜ悩むのかといえば、何から組み立てるのか手順がはっきりしていないからです。そして課題文に書かれている組み立てに必要な条件が整理できずに翻弄され、時間がどんどん経過していきます。

エスキスのやり方は学校のテキストにも一応載ってますが、抽象的です。手順もそれっぽいものが掲載されていますが、はっきり言って解けるようにはなりません。

講師によっては流れを全く教えてくれず、提出された図面だけを採点するという方もいらっしゃいます。

また図面の表現ばかり指導されるというケースもあります。隣の受験者の方でも指摘できそうなこととかFBされても、はっきり言って全く役にたちません。

教えてほしい、知りたいのは再現可能な建物の組み立て方やプロセスかと思います。

エスキスをはっきり教えないのは、受験者それぞれエスキスのやり方があるからという理由のようですが、その割に授業料が高すぎですよね。。

はっきりとした組み立てる手順を理解し、身に付け、何度も繰り返し練習していけば、エスキスの時間はどんどん短くなります。

エスキスは頭がよくセンスのずば抜けた人たちだけの特別なものではなく、再現可能な技術です。

このnoteでは、エスキスの手順とプランを組み立てていく一連の流れを通じて、案にまとめていく過程を理解できるよう努めました。

エスキスの手順とはいったい何か。

ざっくり言うと、へり空きを設定して建物のグリッドとボリュームを浮き上がらせてから、要求された部屋を課題文の条件とセオリーに従って、設定したボリュームの中にまとめるという流れで進みます。

へり空きの設定、建物のグリッドとボリュームを導き出せたら、あとは割とすんなり部屋が納まっていくのです。

あなたにとって3歳向けの50ピースのパズルは容易で、一瞬で完成してしまうものだと思います。一級建築士製図試験の部屋数は20程度ですので、幼児向けのパズルより少ないです。

当然一級建築士製図試験の方が難しいですが、解けないのは案外エスキスの流れを言葉にできておらず、不安定だからなのかもしれません。

予めお伝えしておきますが、このnoteに載せてあるのは簡単なプランのみです。設備のシャフト類は記入していませんし、断面もありません。

というのは、設備系のシャフトは、部屋の位置があれば考えられるからです。(ただし、DSは部屋位置検討時に検討します。)また、断面は天井に入るダクトや二重床、大空間の検討にあたっては有効ですが、部屋の配置を考えるにあたって同時に考えていくと検討事項が多くなり、エスキスに要する時間が長くなってしまうため、あまり有効ではありません。

本課題の案ですが、課題文の読みも含めて約55分ほどでまとめました。これが正解というわけではなく、以前上げた記事の内容を踏まえて解くとこうなりますという例です。

【エスキスをまとめるための方法】

アプローチについての検討は以下の記事に記載させて頂いています。

ではH27の過去問の案をまとめるにあたり、どんな風に考えたか、さよきす的思考プロセスを順に説明していきます。

私はエスキスをする際は、以下の流れで進めています。

Ⅰ.準備

Ⅱ.アプローチ決め(前回の記事で解説済み)

Ⅲ.へり空き確認と外構施設に必要な寸法の過程

Ⅳ.建物のグリッド出し

Ⅴ.ボリュームだし(「ウツワ」という名称を使って指導されているところもありますね)

Ⅵ.ゾーニング

Ⅶ.要求室の割り振り

です。

解説の前に、まず試験元が事前にHPで発表していた課題の内容を見ておきましょう。

「市街地に建つデイサービス付き高齢者向け集合住宅」
(基礎免震構造を採用した建築物である。)
要求図書
●1階平面図兼配置図(縮尺1/200)
●2階平面図(縮尺1/200)
●基準階平面図(縮尺1/200)
●断面図(縮尺1/200:基礎免震部分を含む。)
●面積表
●計画の要点等
(注)要求図面に、図示または記入するもの
・主要寸法、室名、床面積
・設備スペース、設備シャフトの位置
・避難階段に至る歩行距離・歩行経路   等

昨今発表される課題と比べると、記載される内容がかなり少ないですね。
上記に加えて、課題文も合わせて準備しながら読み進めてください。

このnoteは、自分だったらどう判断して絞り込んでいくか考えながら読み進めていくと良いかと思います。

そして、読み終えた後は、書かれていた手順や内容を思い出しながら、実際に過去問を解いてみることをオススメします。

解いてみたら、あなたの考えたプロセスと照らし合わせてみて、違った個所を確認してみましょう。

それでは、解説してきます。

Ⅰ.準備-利用者確認、建築面積算出

1.まず確認することは、利用者がだれか
①近隣の高齢者
②住宅に住む高齢者
③地域住民
が考えられます。メインの利用者は誰かと問われたら、素直に①と②が主とほぼ全員が答えるかと思います。

2.建築面積の確認
50m×35mで、建ぺい率:90%ですので

建築面積:50×35×0.9=1,575㎡

となります。

ここまでは問題ないかと思いますが、万一わからない場合は法規を今一度復習してください。

Ⅱ.アプローチ決め

前回記事で記載していますので、省略します。

Ⅲ.へり空き確認と外構施設に必要な寸法の仮定

1.本課題の敷地内に設ける外構施設
外構に何が出てくるか、寸法もあわせて確認しておきます。
①車寄せ ⇒ 最小の回転半径7m
②送迎用福祉車両用 駐車場 1台 ⇒ 確保する幅 3m
③車椅子使用者用 〃 1台 ⇒ 確保する幅 4m
④サービス用 〃 1台 ⇒ 確保する幅 3m
⑤駐輪場 〃 10台 ⇒ 確保する幅 4m
⑥建物が動きを吸収するエキスパンジョイント⇒確保する幅2m
※H27の課題発表時に「基礎免振構造」である条件の指定がありました。この免振構造のエキスパンジョイントに必要な寸法は2mです。

また②、③の寸法については、過去記事を参照してください。学校では串刺し駐車もOKとしていますが、原則、串刺し駐車ありきで考えないで下さい。

2.建物まわりのへり空きの確認
上述のアプローチも踏まえ、へり空きを確認していきます。
まず「西側」、「南側」から考えましょう。理由は、エキスパンジョイント以外に特段設けるものがないからです。

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