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M1-2 モダニズムの外野から(2010年12月『モダニズムのナード・コア』)

モダニズムから考える

●モダニズムという言葉が何を示しているのか、漠然とは認識できるけども、人やジャンルによって言ってる内容が違うでしょう。モダニズムとは何かを簡単に説明してほしいんです。

○簡単に言うけどそれってすごく難しいよ(笑)。まあ大抵どのジャンルでも一九世紀後半から二〇世紀前半にモダニズム運動は起こってる。モダニズム以前との比較、つまりプレモダン(前近代)とモダン(近代)は何が違うのかを見ていくとわかりやすいのかな。プレモダンというのは伝統の時代。昔から続いているものを継承していくのがよしとされてる。対して、モダンは進歩の時代。円環を嫌って、常に新しいものを求めて前進する精神が正しいとされてる。一九世紀までずっと続いてきたあれこれを、新しい価値観で急速に古びさせた時代がモダン。この新しい価値観がまとめてモダニズムと呼ばれるね。大まかには戦前が前期モダン、戦後が後期モダンって感じ。

●ちなみによく聞くポストモダンは?

○モダンは進歩史観で、歴史が一本道であることを疑っていない。だから前衛/アヴァンギャルドって言葉があったわけ。けど、もう進歩が正しいわけじゃない、前とか後みたいな価値観を疑えと言ってるのがポストモダン(近代以後)。なんだろ、家でちまちま編み物してないで機械で大量生産すればいいだろ、ってのがモダンで、環境問題もあるし編み物楽しいし価値観は人それぞれでしょって言いはじめたのがポストモダンかな(笑)。

●なるほど。じゃあ現在はポストモダンなんですか?

○そう思うけど、そうじゃないと言う人もいる。初期のポストモダンは反モダンのニュアンスが強くて、モダニズムが強力な存在感を示してたからこそ存在できてた感じだけど、今はもうモダニズムなんて知らないことが当たり前だよね。こうなると言葉通りの意味でポストモダンではある。けど、逆に中心的な存在がなくて不安だから、強い価値のあるものを求めてしまう心性もあって、それはモダニズム的ですな。つまりモダニズムが選択肢の一つにすぎなくなってるのが現在のポストモダンかな。

美術におけるモダニズム

●なんとなくわかりました。では、美術におけるモダニズムとは何かからお願いします。

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2001年以降に雑誌等に書いた記事を全部ここで読めるようにする予定の定額マガジン(インタビューは相手の許可が必要なので後回し)。あとnoteの有料記事はここに登録すれば単体で買わなくても全部読めます(※登録月以降のことです!登録前のは読めない)。『教科書には載らないニッポンのインターネットの歴史教科書』も全部ある。

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