見出し画像

資生堂、東芝、サントリー、竹中工務店……自社商品を買わせる気がない!? ぶっ飛んだ「企業広報誌」の真意(『サイゾー』2018年3月号)

雑誌がなくなっている。

もちろんコンビニや本屋の雑誌棚に雑誌のようなものは並んでいる。しかしそれは、メーカーが売りたい商品を広告費順に載せた商品カタログか、今やってる展覧会や映画に便乗した特集を組むガイドブックか、漫画家や音楽家の人気にあてこんだファンブックか、インターネットで集めた情報を書き直したネットの二次創作本だったりしないだろうか?

そうした経済を回すためだけに作られる紙束を雑誌だと思っている編集者たちを尻目に、さまざまな記事をまとめて特色を出す「雑誌らしい雑誌」として相対的に浮上してきたのが、企業が発行するPR誌だ。PRというと近年の日本ではなぜか広告のことになってしまっているが、本来はパブリック・リレーションズの略で、自分たちの意見や情報を、対象に(好意的に)受容してもらおうとする活動のことである。広告は即物的に「この商品を買ってください」、PRは理念的に「私たちの取り組みを理解してください」とする違いがある。

自分たちの姿勢を表明しイメージアップを図りたいPR誌は、ときに日本の社会問題へ意見をし、ときに大衆文化を嗜む親しみやすさを見せ、ときに最新テクノロジーに柔軟な態度をとることが多い。まずは自分たちの味方を増やし、結果として商品が売れればいいという態度で編集されている。単純な売上が目的でないぶん、時事ネタに追われ、タイアップ記事が溢れた「雑誌」よりも、よほど純粋な編集方針があると言っていいだろう。そんなPR誌には大きく分けて社内報と社外報の二種類があり、ここでは後者、社外報=企業広報誌の過去から現在について取り上げていきたい。

消費者を啓蒙する手段/企業広報誌の黎明期

ここから先は

5,896字 / 2画像
2001年以降に雑誌等に書いた記事を全部ここで読めるようにする予定の定額マガジン(インタビューは相手の許可が必要なので後回し)。あとnoteの有料記事はここに登録すれば単体で買わなくても全部読めます(※登録月以降のことです!登録前のは読めない)。『教科書には載らないニッポンのインターネットの歴史教科書』も全部ある。

2001年以降に雑誌等に書いた記事を全部ここで読めるようにする予定です(インタビューは相手の許可が必要なので後回し)。テキストを発掘次第追…

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?