ディスコグラフィの調べ方（国内ポピュラー編）

2020年6月3日 02:28

How to look up a discography (in Japan)

ここでいうディスコグラフィとは、音楽家が発表した作品を時系列に並べたリストのことです。ディスク（レコード、CD）のグラフィ（記述方法）という意味ですが、最近は配信だけで物理的な盤がないケースも多いですね。ただ、それらの時代に生まれたアルバムやシングルという概念はまだ有効なので、アルバムを発表順に、シングルを発表順に並べるのが、ディスコグラフィの主要な作業となります。おおよそ「形式別」と「媒体別」のどちらかで作られています。

・形式別（シングル、ミニアルバム、オリジナルアルバム、コンピレーションアルバム、映像作品……）
・媒体別（LP、EP、12inch、CD、MD、Beta、VHD、VHS、DVD、Blu-ray……）

ディスコグラフィ作成の作業はつきつめれば2つだけです。

（1）どんな作品が出ていたのかを調べる（タイトル、形式、媒体、品番＝レコード番号、レコード会社）
（2）いつ出た作品なのかを調べる（発売日）

これ以外に「収録曲目」「スタッフクレジット」「収録時間」などを細かく転記する作業もあるにはありますが、それは必須ではありませんし、現物を見るしかないので、ここでは上記2つについて解説していきましょう。

これは「考える」ではなく「調べる」作業のトレーニングです。ビートルズのデビュー日についていくら考えてもおそらく正解にはたどり着けません。調べる必要があります。ビートルズの曲を聴いて心に抱いた感情は、いくら調べてもわかりません。考える必要があります。ディスコグラフィを作るというのは、「調べればわかること」と「調べてもわからないこと」の区別をつける訓練だと思ってください。

（1）どんな作品が出ていたのかを調べる

（1-1）公式情報にあたる

今どきインターネットがありますので、まずは公式サイトを見ましょう。アーティスト本人の公式サイトか、レコード会社の専門ページがあると思います。そこの「DISCOGRAPHY」というリンクをクリックしましょう。だいたい出てきます。

しかし残念ながら、最近の作品しか載せてない、移籍する前の作品が載ってない、解散済のバンドで公式サイトがない、ネットに弱い音楽家なのでSNSもやってない、現在アルバムの販売を行っているレコード会社のサイトにもアーティスト情報ページなどがない、といったナイナイづくしの場合があります。そういうときのための本記事です。

また、公式サイトに「DISCOGRAPHY」ページがあったとしても、スピッツ『RECYCLE Greatest Hits of SPITZ』のように、メンバーが認めていないベスト盤を公式サイトに載せていないケースがまれにあります。そうしたCDを載せるかどうかは判断が必要になりますが、そもそもそういう作品の存在に気付けるかの問題もあるので、結局は公式サイト以外でも調べなくてはなりません。

（1-2）非公式情報にもあたる

信頼度は落ちるものの、「Wikipedia」「Discogs」「Rate Your Music」といったデータサイトの情報も確認しておくべきでしょう。即座に信用はしないまでも、あとで信頼できるソースを探すリストに入れておき、未確認情報として手元に記しておくべきです。こうしたサイトに載っているディスコグラフィには、これから説明する情報ソースではなかなか調べられない限定盤の話が出てくることがあるからです。

また、マニアックなファンサイトの情報や、アーティストの研究本なども、可能ならチェックしておきましょう。見逃しがちなリリースの情報が出てくることがあります。ただし必ず、そのまま転機せずに、情報が本当なのか自分で確認してください。確認できない情報は絶対に自分のデータには記載しないようにしましょう。どうしても載せたければ出典元を示しましょう。「ディスコグラフィに載ってるコレってどうやって確認したの？」と聞かれたらどう答えるのか、常に準備しておきましょう。

（1-3）国内メジャー会社から出ているCD→「CDジャーナル」を見る

国内盤CDの場合、ありがたいことに「CDジャーナル」がほぼ網羅しています。メジャー会社から出た作品であれば「CDジャーナル」さえ見ればCDのディスコグラフィがだいたい作れます。インディでも、インナーディレクツや原楽器などの比較的大きな流通に卸したCDは「CDジャーナル」にデータがあります。とはいえ、完全には網羅できないことに注意してください。また、レコードやテープ作品は含まれていないことにも注意してください。くり返しますがCDだけです。