1980～1985研究者のためのノート〈一〉（岡崎京子の研究）

1980～1985研究者のためのノート〈一〉

＊最古のイラスト＊

●　ここではマンガはいくつか読んだけど岡崎京子という人物がどんな活動をしてきたのかはあまり知らないって人のために時系列でいろいろ解説していこうと思うんだけど。とりあえず『バージン』が出る一九八五年くらいまでを追っていこうか。
○　よろしくお願いします。
●　まず岡崎京子って名前が一番最初に出たメディアってわかる？
○　いきなり難しいですね。短大時代に同人誌にマンガを描いてたんでしたっけ？
●　それより古いの。
○　わかりました、『ポンプ』って雑誌じゃないですか？　高校時代の岡崎先生も読者としてイラストを投稿してたって聞いたことがあります。
●　もっと古いの。中学時代。
○　そんなのありましたっけ？
●　これ。『音楽専科』っていう洋楽中心の音楽誌なんだけど、それの七七年八月号の読者投稿欄を見てみて。
○　え……〈都内世田谷区北沢きょうこ・おかざきサン〉！
●　クイーンのやおい風イラストを投稿してるの。多分これが最初だと思う。六三年生まれだからこの時まだ中学二年生。十三歳だね。
○　本人も忘れてると思いますよ、これ（笑）。
●　いやいや、当時の岡崎さんはクイーンの追っかけをしてたそうだから、青春の一ページとして忘れてるわけない！　実は九一年にフレディ・マーキュリーが亡くなった時に追悼記事を書いてて、そこに〈私は中一、中二のつぼみの青春を彼のバンド〝QUEEN〟に捧げていたのであった。よく似顔を描いて『音楽専科』の〝読者らん〟に投稿したなぁ。載ったのは2cm×3cmぐらいのが一回きり……。でもそれを見つけた時は心臓がはりさけそうだったです〉（『朝日ジャーナル』九一年一二月二七日号、朝日新聞社）ってあったの。だからこれ一枚だけだろうけど。
○　探せば見つかるものですねえ。
●　重要なのはこの絵柄で、その後につながるものではないよね。まだ七〇年代の少女マンガ風。ニューウェイヴの影響を受ける前の岡崎京子がどんな女の子だったのかに具体性を与えてくれる一枚じゃないかと思う。

＊ポンプ＊