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書評『無限の歓喜 今野雄二音楽評論集』(2012年『DU』2号)

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メンバーは「メムバー」。テンポは「テムポ」。その表記の差異に宿る精神を表現することに重きを置いていた評論家だった。音楽の感動を第三者に伝えようとする時、顕微鏡で覗き込むように機材やクレジットから正体を探って行くタイプではなかった。出会ったシチュエーション、周縁エピソードを交えながら、図像/映像的な比喩を駆使し、できる限りの美しい文章に置き換えることで、「音楽はあくまでも音のもたらす楽しさが第一」であることに着地していく。音楽を楽典的に読み解くよりも、自分の受けた印象を記すことが、音楽そのものの楽しさを伝えるであろうことを信じている。そういう姿勢が文章の端々から表れていた。

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1,049字
2001年以降に雑誌等に書いた記事を全部ここで読めるようにする予定の定額マガジン(インタビューは相手の許可が必要なので後回し)。あとnoteの有料記事はここに登録すれば単体で買わなくても全部読めます(※登録月以降のことです!登録前のは読めない)。『教科書には載らないニッポンのインターネットの歴史教科書』も全部ある。

2001年以降に雑誌等に書いた記事を全部ここで読めるようにする予定です(インタビューは相手の許可が必要なので後回し)。テキストを発掘次第追…

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