見出し画像

批判ばかりの思考停止状態を治癒「ドラッグ語り」のフロンティア本(『サイゾー』2010年1月号)

押尾学と酒井法子が連日世間を賑わせたおかげで、女性週刊誌に炙り(ドラッグの摂取方法の一種)の解説まで載った09年は、日本のドラッグ史において一際動きのあった年だったといえるだろう。アメリカのマリファナ雑誌の草分け『ハイ・タイムス』が09年11月号で創刊35周年をむかえた一方で、日本のマリファナ雑誌の革命児『バースト・ハイ』が09年に入って休刊の報が流れたのは象徴的だった。これまで体験談か資料集が中心だった日本に、マリファナのカラー写真をひたすら載せ、ビジュアルで魅せる新しい流れを持ちこんだ、00年代のドラッグ・メディアが『バースト・ハイ』だった。懇切丁寧な栽培ハウツーは人気が高く別冊も出ており、マリファナが「情報」から「体験」へステップアップしていく時代をサポートした。「社会情勢の変化」が休刊理由だそうだが、大学生の相次ぐ大麻取締法違反で風当りが強くなったと見られる。2010年代はそうした快楽至上主義的な傾向に一旦ブレーキをかけ、ドラッグとは何かを再考する時期が改めてやってくるはずだ。その時に、感情論でない発展的な議論を行っていくための、思索の助けになりそうな本をピックアップしていこう。

ここから先は

2,850字 / 6画像
2001年以降に雑誌等に書いた記事を全部ここで読めるようにする予定の定額マガジン(インタビューは相手の許可が必要なので後回し)。あとnoteの有料記事はここに登録すれば単体で買わなくても全部読めます(※登録月以降のことです!登録前のは読めない)。『教科書には載らないニッポンのインターネットの歴史教科書』も全部ある。

2001年以降に雑誌等に書いた記事を全部ここで読めるようにする予定です(インタビューは相手の許可が必要なので後回し)。テキストを発掘次第追…

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?