1989-1992岡崎京子の中期(岡崎京子の研究)
岡崎京子の中期
一九八九年一月、昭和が終わり、平成が始まった。末期『平凡パンチ』の核だったヌードとカルチャー情報をまるまる捨ててリニューアルし、マンガ誌『NEWパンチザウルス』が創刊したのは八九年二月。岡崎はここで代表作となる「pink」を連載した。他の執筆陣は蛭子能収、根本敬、渡辺和博、みうらじゅん、天久聖一、日野日出志、湯村タラ、山上たつひこ、原律子、桜沢エリカなど。『ガロ』や『宝島』で活躍する作家を集めた人選は悪くないものの、あまりの変貌に旧『平凡パンチ』の読者がついてこなかったせいか、四ヶ月ほどで休刊という短命に終わってしまう。ここでは「pink」が連載された雑誌として言及するに留めるが、岡崎なりに思い入れはあったようだ。
さて、「pink」はそれまであまり描いてこなかった「暴力」が意識的に選ばれた。バットでぶん殴るような直接的表現の他、マスコミがインタビュイーに下衆な質問を投げかける悪意や、感情が浅い主人公が他人に投げかける視線の暴力性も含めて、九〇年代の岡崎に特徴的な暴力表現は「pink」から始まったものだ。本作は大きな評判を呼び、「リバーズ・エッジ」を描くまで岡崎の代表作欄には常に「pink」があった。
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