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ばるぼらさんの全記事アーカイヴ

2001年以降に雑誌等に書いた記事を全部ここで読めるようにする予定です(インタビューは相手の許可が必要なので後回し)。テキストを発掘次第追加します。あとnoteの有料記事もここに… もっと読む
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「下北系」という言葉の初出を探す(暫定)

※写真はWikipediaより 現在の使用例における「下北系」と言うと、なんとなくポップすぎず、ディストーションの効いたざらついた音のギターをノイジーに掻き鳴らしてそうな、ギター中心のロックバンド。そんなイメージです。多分ソロじゃない。そういう印象ないですか? 渋谷系がカラフルでポップでクールな、多様な音楽性を示していたのに対して、下北系はもっと潔く絞って、英米のインディロックに共鳴した洋楽っぽいロックを狙っていたように思います。その「英米インディっぽさ」「洋楽っぽさ」とい

調査中:「二次創作」の初出を探す

「二次創作」という言葉がオタク文化の中に現れたのはいつか、はなかなか難しい調査です。かつては「アニパロ」「エロパロ」「やおい」などと呼ばれていて、それはアニメキャラを使った漫画同人誌を作る人達の多くは「パロディ」という意識を持っていたからで、しかしそのうちアニメに限らないしパロディとも言いがたい、という作品が増えはじめ、しっくり来る言葉がない……と皆が困っていたところに登場した救世主、それが「二次創作」。 法律上の言葉では「二次的著作物」と言い、創作者の許諾が必要ですが、そ

調査中:メロディック・ハードコア周辺のジャンル名

メロディック・ハードコア(melodic hardcore)。日本では「メロコア」と略され、その4文字はめちゃくちゃ嫌われたジャンル名ですが、はたして原義となる英語の方の言葉はいつ頃からあるのか……は気になっていて、データが色々充実してきたのでもう一回検索くん。初出確定は多分できないのであくまで登場した時期の雰囲気だけで。 「クラストって何? メロコアって何? ハードコアとどう違うの?」というタイトルがついたオムニバス『What Is Crust? What Is Melo

ジャンル名の起源:ブラコン/ブラック・コンテンポラリーは誰が言い始めたのか

今はすっかり言わなくなった「ブラコン」というジャンル。ブラック・コンテンポラリー(Black Contemporary)の略です。日本ではかなり人気がありました。同時に、ものすごくバカにされていたジャンルという記憶があります。この言葉がいつ使われ始めたのか? まず先に正解から書いておきますと、イギリスのエンタメ情報/ヒットチャート誌『CashBox』が発祥とされます。 ではまず、1978年9月2日号のチャートを御覧ください。

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雑談:岡田徹が「打ち込み」という言葉を初めて用いた人物、って本当?

(追記あり) 日本のWikipediaは参考資料一覧のところ以外の記述はすべて眉唾なことで有名ですが、ムーンライダーズの岡田徹の項目にこんなことが書いてある。 シーケンサーやドラムマシンに予め演奏情報を入力しておく作業を意味する用語「打ち込み」を、岡田徹さんが初めて使った、だと!? えー本当? 打ち込み音楽愛好家としては気になってしょうがない。 ご丁寧に出典情報が書いてあるから、まあそれを読めばわかるじゃろ、というわけで読んだぞ、『キーボード・マガジン』1996年6月号

「ジャパニメーション」という言葉の初出を探す

1995~1997年頃の日本で多く流通し、今ではすっかり聞かなくなった「ジャパニメーション」という言葉は、誰が最初に使ったのでしょうか? ワタシが当時の海外アニメ受容シーンについて詳しく知るよしもないので、素直に海外文献に頼って解説します。ということでフレッド・パッテン(Fred Patten)の『Watching Anime, Reading Manga: 25 Years of Essays and Reviews』(2004)。

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「ゴスロリ」の初出を探す

いや、初出はわかってたんですが、ソースとして入手困難だったのでずっとぼんやりしていました。入手したのでまとめます。 ゴスロリというのはゴシック&ロリータの略です。主にファッション分野で使われる言葉です。ロリータファッションのゴス版。ゴシックファッションのロリ版。どちらとも取れますね。 まあ細かい定義の話は今回いいとして、ざっくりと、ここでは黒いロリータファッションをゴスロリとしましょう。このゴスロリという美学はどこから来たのか、そして言葉の初出はどこか?です。

ジャンル名の起源:パンクロックは誰が最初に言い始めたのか

通説のまんま書いてるので、あんま「へ~」感はないと思いますが、わざわざ調べたことのない人のために。 「パンク」を説明するなら「反体制・反権威」というところだと思います。そういう人のことをパンクスと呼んだり、そういう人達がやるロックをパンクロックと呼んだりします。 みんな好きですよね、パンク。まあ正確には、多くの人にとっては音楽ジャンルとしてのパンクはそんなでもなくて、パンクの姿勢や精神みたいなものが好きなんだと思います。かつて「それってロックだね」が褒め言葉だったように、

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ジャンル名の起源:ニューミュージック(1970年編)(※未確定)

「ニューミュージック」というジャンル名については未だに気になっています。前に記事にしたこともありましたが、そちらは日本の1970年代の邦楽についてのニューミュージックではなく、『ニューミュージックマガジン』に到るような、1960年代の新しい音楽=ロック/前衛ジャズについてのニューミュージックでした。そっちを読んだことを前提としたうえで、今回は邦楽についての話です。 ここでいうニューミュージックがどんな音楽を表すのか、まずは辞書でも引いてみましょう、ネットで。 フォークやロ

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ジャンル名の起源:グラウンド・ビート

まずグラウンド・ビートがどういうものか、というサンプルとして代表曲をあげておくので知らなかったら聴きましょう。1989年3月リリース、ソウルIIソウルの「キープ・オン・ムーヴィン」。

「エモい」の初出を探す

「エモい」は現代日本を生きている人ならばどこかで耳にしている言葉だと思います。エモーショナルの略がエモで、何かを見たり聞いたりした際に感情が動いた時に「エモい」と表現します。おおよそポジティブな気持ちの際に使います。2018年に10代女子向けメディア「マイナビティーンズ」が実施したアンケートでは「流行ったコトバ」の1位が「エモい」だったそうです。 ということは比較的最近の言葉なんだろうな、と普通は思いますよね。おそらく皆さんが初めて聞いたのは2010年代に入ってからではない

ジャンル名の起源:ネオGSは誰が最初に言い始めたのか(未解決事件)

注意:これだ!と断言はできませんが、これでは?というところまでは辿っています。 ネオGSというのは1987年前後に盛り上がったムーブメントです。日本のインディバンドに1960年代のグループサウンズ(GS)をカバーする若いバンドがいる! 古いGSみたいなことをしている新しいバンドがいる! という現象でした。 代表バンドはザ・ファントム・ギフト、ヒッピー・ヒッピー・シェイクス、ザ・ストライクス、ザ・トゥエンティー・ヒッツなどです。ワウワウ・ヒッピーズ、レッド・カーテン、コレク

「ミニコミ」という言葉の初出を探す(2016年『アイデア』372号)

ローカル新聞とミニコミ誌の誕生「ミニコミ」という単語はどのように生まれたのだろうか。もちろん先に「マスコミ」があった。敗戦後の日本がアメリカの占領から解かれたのはサンフランシスコ講和条約が公布された1952年4月28日。それ以前からマスコミは言葉だけ先に輸入され,『世界評論』1950年1月号の座談会「二十世紀思想の性格と展開」で鶴見俊輔が「マス・コミュニケイション」を議題に出し,井口一郎が『マス・コミュニケイション どんなふうに大衆へはたらきかけるか その理論とその実証』(光

「タウン誌」という言葉の初出を探す

「タウン誌」とは、1970年代に爆発的に流行したミニコミの一種ですが、昨今はせいぜい街の情報誌といった程度の意味で使われる言葉です。goo辞書で検索したら〈都市の一定地域での催し物や生活情報などを掲載した雑誌〉とありました(デジタル大辞泉)。 ミニコミとかZINEの研究をするうえでこの言葉の初出をずっと探していました。いや、初出が載っている媒体はわかっていたのですが、それがどうしても現物が見つからなくて、常にあやふやに書いてきました。それが今検索したら出てきた!!のでここに