2001年以降に雑誌等に書いた記事を全部ここで読めるようにする予定です(インタビューは相手の許可が必要なので後回し)。テキストを発掘次第追加します。あとnoteの有料記事もここに…
¥980 / 月
- 運営しているクリエイター
2020年5月の記事一覧
漫画レビュー:panpanya『THE PERFECT SUNDAY』(2013年4月『Quick Japan』107号)
喜怒哀楽のうち、真ん中の「怒」と「哀」をマンガで表現する手段は、長い時間をかけて発達し効率化が進んできた。一番最後の「楽」がギャグのことなら、それも日々開発が続けられてきた。でも一番最初の「喜」の表現については、いまいち進化のスピードが鈍かった気がする。幸せなだけじゃお話にならないからとか、苦難を乗り越えてこそのドラマだとか、理由はともかくとして、思いもよらなかったこんな喜び、気づかなかったあんな喜びというバリエーションがさほど追求されてこなかった。このことに気づいた「空気系
漫画レビュー:hana to yume『フワフワ・アチチ・ケーキ・大爆発』(2009年2月『Quick Japan』82号)
幾重にも練られ積み上げられた設定と伏線が回収され一つの線となり大団円を迎える。これが「物語」の定番の面白さではあるが、しかしマンガの面白さとはそれとイコールではない。たとえば杉浦茂を読む時のワクワク・ドキドキがそこに由来しないことは明らかだ。つまりマンガの面白さには物語以外の「発想」という軸があり、吉田華子の『フワフワ・アチチ・ケーキ・大爆発』はそちら側のマンガである。この作品にはキャラクターはいるが物語がない。もちろん女の子と動物が旅をする上での「展開」はあるが、発想と連想