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6 掃除の時間

掃除の時間の生徒の会話が好きです。黙って掃除をする、というメソッドもあるそうですが、僕はわちゃわちゃと生徒がにぎやかにやるほうが好きです。そして僕もいっしょに掃除をします。

「昨日塾でさー、塾長に呼び出しくらってん」
「またー? おまえやめさせられんちゃうん」

「今日の○○の授業、死ぬほど眠かったわ」
「あんた先生の真ん前で寝てたやん」

こんな会話。たまに流れ弾がくる。

「先生! 長距離走って学校でやる意味ありますか?」
「あるよ、しんどいこともみんななら頑張れるやん」
「それをあえてなぜ授業でするのかって」
「体育の先生に言いに行ったら?」
「いや、そういうことじゃないんです!」

どういうことかわからんのやけど、生徒の素が出る時間だと僕は思います。黙って僕は好きなところを掃除。合間、合間の会話を楽しんでいます。

「昨日お母さんとケンカしたんですよねえ」

こういう際どい会話もすっと出てきます。たぶん、学校の中の非日常。こういうのが次の声かけにつながっていきます。

掃除をしない子。やっぱりいます。でも僕は「しなくていいよ」と言います。茶化して「また遊んでる!」と言うときもありますが、この子はしないなと思ったら「しなくていいよ」と言います。「しなさい」より「しなくていいよ」になぜか困ってしまうようです。それをわかっていて、わざと困らせているのですが。

ひとりで黙ってずっと丁寧にしてくれる子には「いつもありがとうね」とよく声をかけています。地味な声かけですが、これもなかなかいいようです。悪い気はしませんよね。

僕も黙って掃除。そういうのがウチのクラスの掃除の時間です。

スギモト