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薬物中毒者の物語

色ちんやで。
これから内容を書いて行くけど、“薬物中毒者”というのは相手の言動を見た上での仮定になる。
という事をご了承ください。

事細かに知りすぎてますが、本当に時間がめっちゃ被るんです。

治安の悪い地域

私の住む家は警察24時で定期的に取り上げられるような治安は決して良いとは言えない場所にある。

そしてその地で、
初めてヤク中おじさんと出会った話を書く。

仕事終わり、スーパーに向かう私は彼の少し後ろを歩いていた。

おじさんは挙動不審な動きと、何度も後ろを振り返り、私の姿を確認しては恐怖を抑える為なのか、やたら震える手でタバコに火をつける。

焦点の合わない目、カリカリに痩せた身体でブツブツ呟きながら歩く不審者に、恐怖した思い出。


奇行が目立つ様になる

その一件から、彼とは活動時間が重なる様で、ほぼ毎日会うようになった。

相変わらず血走った目、タバコ、酒を飲みながら謎の挙動で歩いている。

相手は私を認知したのか、声まで掛けてくる様になったが。無視。

そんな中、私が“薬中おじさん”というあだ名で確定する出来事があった。


発狂周期

彼は時期によって、落ち着き期→ソワソワ期→不安期→暴走期がある。

それは彼の歩き方や、店内での店員への対応等を見ていると理解できる。

見た目や挙動。
店員への対応も時期によって変化している様で、クレーマーの様になっている日もあった。

流石にヤバいだろと思っていたりすると、その次の週にはパタリと落ち着いていたりするのだ。

姿を消す

彼を見る度に、道を踏み外す恐ろしさを感じながら、変わらぬ生活を続けて2ヶ月が経った頃。

ぱったりヤク中の姿を見なくなった事に気がついた。

そういえば…。
捕まったか?

普段から挙動不審だったので、警察にバレたら絶対職質をされる。

それでも、一度薬物に手を出すと自力抜け出すのは難しいと聞くので、今回をキッカケとして施設の力を借りて脱させるのであれば良かったのではないか。と勝手に考えたりしていた。

再会

それから3ヶ月くらいが経った。
相変わらず私は同じ生活をしていて、仕事終わりにいつもの店で買い物をしていた。

あれ?



ヤク中おじさんじゃね?


そこには、静かに会計を済ます彼のヤク中の姿があった。
同一人物なのに、その雰囲気は全くの別人になっていて。

以前より健康的な肌に脂肪もついている気がする。

何より私が驚いたのは、目の焦点があっている事だ。
挙動不審な様子もなく店員に絡む様子もない彼は、誰が見ても普通の人だった。

本当の姿

特に声も掛けずに店を出たが、多分私の予想通り、薬物依存症回復支援施設に入っていたのだろう。

それにしても、あれが本当のヤク中おじさんだった事に本当に驚いた。

強い言葉を言われたら、ビクッとなってしまいそうなのな意志の弱い目と、肩を内に寄せる猫背の姿は、余りにも気の弱そうな男性だった。

以前の突然何をするか分からない様な狂人具合と、老若男女問わずにどんな人間にも声をかける突拍子のなさ。

彼の精神的な時期によっては異常に怯えている事もあったが、一貫して攻撃性の強いイメージとの差に、脳みそが混乱した。

薬は全てを壊す

あの男性は、薬をやっていた記憶は無いんじゃないかと思う。

そして彼の眼には、希望も感じられなかった。透き通ったガラスの様な瞳には、虚無が広がっていると感じる。

私は、薬物というのは刺激の前借りだと思っているから、乱用しすぎると、通常の生活で得られる刺激は全て感じる事は難しくなんじゃないかと思う。

全ての刺激は無となり、それは息絶えるまで変わる事はない。という事を身を持って体験していたのかな。

だからドラッグ中毒者というのは、常に物足りない刺激を求めて、また再犯してしまうのかもしれない。

最後に

日常生活の中に、常に紛れ込んだ人間の弱さに付け入る麻薬

あのおじさんにとって、耐えられない何かを体験し、絶望に追い込まれてしまって、それで助けの手として、麻薬が差し出された。

それを
彼は手に取っただけだ。

運というのは本当に残酷だ。

あの人は元々は普通の人間。
その時に差し出される救済が、別の物だったらどうだったのだろう。

彼の人生今よりは幸せだったんじゃないかと、そう思ってしまう。

そしてそれ以上に、
闇の世界というのは自分たちの近くにある物なのだと改めて再確認させられた一件だった。

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