見出し画像

【ネタバレ有】アニメ・虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会第5話「今しかできないことを」感想


今(1−4話)までの感想はこちらから


 2020年10月31日、22時30分。ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会のアニメ第5話が放送されました。

 エマさんの回で、エマさんの良いところ、優しさと強さと熱さががたくさん詰まって、そして朝香果林の頑なで意地っ張りな心を溶かした回、という感じでした。
 下記で少し触れますが、MVにある要素もとても好きです。

 この記事はアニメ感想ですが、若干スクスタのキズナエピソードのネタバレ(中核とかではない部分)を含む可能性があります。
 アニメの内容についてはネタバレし散らかすのでご注意ください。

 では以下より、限界乱文をしたためます。
 なおこれは感想であって、考察や解説とは全く異なります。

「きっともう始まってるんだと思う」──エマと果林とお互いの夢

 いきなりBパートの最後の話をします。

果林「スクールアイドル、できるかしら、私に」
エマ「やりたいと思ったときから、きっともう始まってるんだと思う
果林「……うん」

 エマさんの声と果林さんの最後の間の取りかたと笑顔が最高でした。お互いの声が優しくて柔らかすぎてもうダメだ。

 今話の主軸はこのふたりで進むのですが、今までの話で積み重ねながら描かれてきた果林との関係性が合わさり綺麗に昇華されていたと思います。


 スクールアイドルの映像を見てスイスからやってきた彼女が、同じように自分の歌で目の前の親友の背中を押す。
 ただこの背を押す関係は、エマさんから果林さんにという一方向のものではなくて、その逆もきちんとある双方向のものだと感じました。

 そもそも今までのサポートで果林さんはかなり頑張ってくれていたのですが、今話のみでも受け止められるものとして。
 アバンではこのふたりの出会った直後か、少し経ったときくらいの会話が出ていました。

エマ「私ね、スクールアイドルになりたくて日本に来たの」
果林「スクールアイドル?」

(中略。ここで果林さんのファンの生徒が声をかけてくる)
エマ「モデル……してるの?」
果林「ええ。読者モデルだけどね」
エマ「すごーい!」
果林「アイドルだってすごいじゃない! お互い頑張りましょ
エマ「……! うん!」

 単身、大きな夢を追うエマさん。
 激励の言葉をかける彼女もまた(明言されるのはCパートですが)トップモデルという大きな夢、目標を持っています。

 エマさんの夢を否定したり疑問を投げたりしないのはもちろん、「きっとなれるわ」だとかも言わずごく自然に「お互い頑張りましょ」と言う果林さんが良すぎて好き。
 既に読者モデルとして活動している彼女からの、夢を持つ対等な人間としての言葉に思えます。

 この会話の時点でエマさんが同好会に入っていたかは定かではありませんが、きっと入部前だったとしても、果林さんにとっては既に彼女は「スクールアイドル」だったのかもしれません。

 ちょっと半分ほど脱線しかけました。
 つまるところ、この会話の最後のエマさんの笑顔とBパートラストの果林さんの笑顔が対になっているように思え、両方とも互いの背を押しているような関係の描き方が……とても好き……という話です。


「心を聞かせて」──PVと果林が見たもの

 ソロ曲披露時の固有結界は、作中ではどうやら璃奈の動画技術侑のアイデアによってPVとして扱われているようです(映像系の学科じゃないのに……璃奈……やはり天才か……)。

 ですが少なくとも初披露段階で見えるあの風景は、作中世界でもPVではなく「観測者の見た心象風景」なのではないかなと思っています。
 1話の爆炎みたく、見ている人間の感受性が見せるもの。

初披露時の固有結界(受信側の感受性で見るもの)→それを目にした侑がアイデア出しに協力→璃奈がPVとして映像に具現化

 の順でできているのではないかと思いました。

 今話のソロはどうか。
 エマさんは果林さんとふたりきりの場所で、幕開けの前、客席にも見えない舞台で、果林さんのためだけに歌います。ずっと近くにいてくれた彼女ひとりの心を温めるために。

 果林さんの視界の中で、自分と初めて出会ったときの帽子を着け、自分が「エマに似合うと思う」と選んであげていた衣装を着て。
 途中のカットで大きく写るエマさんの瞳には、果林さんただひとりの姿が映っていました。

 1−4話のライブシーンには全て観測者としての侑が立ち合っているので、この4曲の映像作成に関われるのは分かります。
 でも今回の観測者は果林さんだけです。侑はあの風景を見ていない。
 だからこそ、Cパートの最後でエマさんのPVを撮ったのが果林さんだと明かされるのかなと思いました。

 これまでの流れに沿うと、撮影と演出のアイデア出しが果林さんで、編集が璃奈なのかもしれません。
 今までの曲で侑が案出ししていたところを彼女が担当している。

 長々書いてなんですが、要するになにを思ったかというと、果林さんがあのPVみたいな光景を自分の感受性を通して確かに見ていた、というのが好き〜〜〜! ということです。

「キャラ」と「心」

果林「エマのために、同好会のこと手伝うようになって。そしたら、楽しかった
エマ「……!」
果林「みんなでひとつのことに向かって、悩んだり言い合いしたり、笑ったり。くだらないと思ってずっと遠ざけてきたことが、全部、楽しかった」

 エマさんを支える中で同好会やスクールアイドルと関わり、楽しいと感じていた果林さん。
 けれどそれは「クールで大人というキャラの自分には今更手が出せないものだと、右手で左腕を握り、体をこわばらせます。

 ここでただ「笑ったり」だけじゃなく、悩みや言い合いも含めているところからも果林さんの心情が伝わってくるように感じます。
 Aパートの食堂でも最初はひとりでいましたし、今までもひとりで敷地内をトコトコしている姿は何度もありました。
 とにかく、近しい誰かと本気でぶつかり合う機会というものに巡り合って来なかったのかもしれません(彼女自身はそれを「自分から遠ざけてきた」と言っていますが)。その感情の正負どちらにしても。

 ある種の諦観とともにこぼれ続ける果林さんの言葉を、エマさんのハグが止めます。

エマ「良いんだよ、果林ちゃん」
エマ「どんな果林ちゃんでも、笑顔でいられれば、それが一番だよ。だから、きっと大丈夫

 クールで大人ぶっている果林でも、悩んだり言い合ったり、笑ったりしていい。
 心をしまい込んで「キャラ」を演じ続けるより、あなたが笑顔でいられる方がいい。「キャラを作るな」ではなくて、それで心をしまい込んでしまうなら、そこにこだわり過ぎないで、という寄り添った願いです。

 少し3話の終盤を思い出します。共通しているのは「あなたに幸せでいてほしい」という気持ち。


 ハグした瞬間、こわばっていた果林さんの腕から力が抜けてほどけていく無言の動きがウオーー!!っとなってしまうポイントです。
 まずはアンケートに書いていた「休日に友達とぶらぶら遊ぶ」を叶え、次にスクールアイドルの話に踏み込んで、頑なだった心をぽかぽかと温め溶かしていく。
 心と言葉のやりとり以外にも、こうした小さな仕草からもその様子が分かる演出が良すぎでした。


 以降のソロ披露のシチュエーション、「たったひとりのために歌う」部分は1話と似ており、けれど立ち位置(高さ)という部分で異なっています。
 それは部内の立場にも表れていて、階段の上(高所・ステージ)で歌った歩夢はスクールアイドルその下(客席)で聞いていた侑は彼女(達)を支えるファン、サポーターです。

 今回は、同じ高さ。
 スクールアイドルを始めたエマさんが、同じ立場──このときの彼女から見れば、親友もきっともう「始まっている」はず──から、あなたの心を聞かせてほしいと、歌を通して語りかけます。

(4話の愛さんも同様に同じ高さではあるのですが、彼女の場合は「聞いてくれる人も自分も一緒にこのパフォーマンスを楽しむ!」というスタイルの発露だと思っているので、今回とはニュアンスが異なるかなと考えています)

 
 たぶん、果林さんに対しては3話のせつ菜と違い、「ファン」の立場からの言葉では核心に迫れないのかなとちょっと考えていました。

 この時点の果林さんだと、Aパート冒頭のくだりのように「ファン」に対しては「クールで大人な朝香果林」として、壁というか一種の戦闘態勢で応じてくる可能性があるんじゃないかなと思います。
 だからこの場合、声を届かせるのは「親友」として無防備な心へ触れられるエマさんじゃなければいけなかったのかなと。

 軽く上でも述べましたが、1ー4話でこのふたりの関係がきちんと積み重ねられてきていたので、そういった心の近しい距離感であるというのも素直に入ってきます。

 1話ごとに話が完結しつつ、話をまたいだ心のつながりや描写も張り巡らされているので、見やすさと周回で噛み締める良さの両方が……とても……すばらしい……


 あとソロ披露直前のやりとり。超デカい地球儀オブジェの周辺は薄暗い空間で、話すふたりにも影がずっと差しているのですが。
 「きっと大丈夫」(ここの2人の顔アップカットも神々しすぎる)の後にエマさんが離れ、振り返って目を合わせた瞬間にようやくここで果林さんの顔に光が差すのがめちゃめちゃ良くて好きです。

 光と影の演出はたぶん王道だと思うのですが、だからこそこうバッチリはめてくれると最高の気持ちになれます。


ほか、ここすきポイントなど雑記


・エマ「来て」「今日1日、私に付き合って。お願い」

 すき。かっこいい。
 キリッとしてる顔と真剣な声と行動の大胆さ、最&高。

・すやぴしつつ周りを見ている彼方ちゃん

 エマさんの膝枕でネーヴェちゃん(ヴェルデ家で飼われてる子ヤギ)のように愛でられてるの可愛い〜〜〜!!
 でも彼方が「ゴロニャーン」って言ってるのに子ヤギの例えされてるの、エマさんの育ちからすればわかるんですけどなんだか面白かったです。

 あと3年生のそれぞれの距離感がとても好き。
 彼方も今話でエマの様子がおかしいことに感づいていましたし(おねむなのかな? と勘違いはしていましたが)、果林さんに対しては4話段階でおや〜? となっていそうでした。
 ほかだと同学年相手ではありませんが、2話の分裂時の回想でも「詰め込み過ぎはよくない」とせつ菜をなだめようとしていましたし、4話で兼部勢のしずくに声かけをしていたこともあります。
 眠たげにしていても状況はきちんと見ている、というのが彼女らしく思えました。


・上原歩夢さんの様子

 今話の端々で高咲侑の言う「応援」が「『みんなの』応援」になっており、そういった発言に対して歩夢がところどころ小さなリアクションを取っています。

 2話からずーっとなにかが降り積もってる気がするんですが気のせいでしょうか。
 「みんなを応援したいな」という侑の発言にすごくナチュラルな「え?」が出ていて、そのどこか本気でキョトンとしていそうな声がちょっとなんだかあるのかな、という気がします。
 1話は確かに歩夢のソロ新曲が出た回であり、話タイトルの文字もイメージカラーのライトピンクでしたが、もうひとつ担当回を示す冒頭モノローグが来ていないという点も気になっています。


・高咲侑、そのジャージの着方はどうした

 なぜそんな海賊王みたいな……?
 冷房が思ったより効いてて寒いと暑いの境目をいったりきたりしてるのかなとか思いましたが、それなら腕まくるなりなんなり方法があります。
 なにがしかテレビやネットや漫画で影響を受けたのでしょうか。Cパートではちゃんと着てますし。
 これがもし何かの影響だとしたら、Cパートであっさりそれをやめているのがなんか怖さ出てくる気がします。いやさすがに無いとは思っていますが。

・めちゃめちゃご飯おいしそう

 卵かけご飯の卵黄がやけにプリップリしてるのと、リアタイ視聴だとちょうど絶妙にこれくらいの夜食が食べたくなるので飯テロでした。でもお米との比率がすごい。
 アバン直後のおにぎりとパンを同時に食べてるのは流石だ……剛のもの……となります。
 おいしそうにご飯を食べるエマさんがたいへんかわいい。


・エマさんのPVと璃奈ちゃん

 果林さんが撮影したエマさんのPVを見ながらなにかを考え込るような表情。
 そこですぐに愛さんが気づき声をかけるものの「……なんでもない」と答えます。

 4話のスクールアイドル概論でも言っていたように、どうやら「心のつながり」を大事に思っていそうな璃奈。

 いわば果林さんーエマさん間の「つながり」を表すPV。
 それを視聴したであろう人たちのコメントや再生回数、そしてエマさんの満面の笑顔を見て、ぎこちなく顔をかすかに伏せる彼女はなにを思っているのでしょう。
(あと「果林ちゃんの笑顔、久しぶりに見たよ!?」というくらいにはクールな表情ばかりだった果林さんが、入部しに来たときにはあの調子で笑顔になっているのも、「つながり」によるものだ、とも言えそうだなと書きながら思いました)

 ……というか、親友の前でも久しぶりレベルで笑ってなかった果林さん、クールキャラ云々の前になにかしらあったようにしか思えないような……。


・サブリミナル初代部長(せつ菜)と2代目部長(かすみ)

 4話ほどのシリアスさはありませんが、ところどころにこのふたりの関係性が覗きます。

 PV撮影のくだり、彼方の「こんなに近くで応援してくれる人がいるなら張り切っちゃう」という発言を受けた

せつ菜「ですね、私も頑張らなきゃって思います」
かすみ「せつ菜先輩はそれ以上頑張らなくても良いですよぉ!」
せつ菜「いえ! まだまだ頑張らないと!」
かすみ「えぇ〜! それ以上頑張られると、かすみんの人気に影響が出ちゃうんですぅ!」

 という会話。
 熱く上を目指すせつ菜と、自分は一番可愛いとは言いつつもせつ菜のことを凄いとはっきり認めているかすみの関係が、2話と内実自体は変わらず、けれど方向は良好な形で保たれているのが伝わりました。

 あとここで、3話では同好会分裂を止められなかったことを悔いていた3年生ふたりが、かすみとせつ菜を静かに微笑んで見守っているのが良きでした。

 Cパート、堂々とモデルでもスクールアイドルでもトップを目指すと言う果林さんにぐぬぬとなるかすみを見て微笑んだりと、2話、あるいはそれ以前から培われてきた人間関係も細かく描かれているのが好きです。


 以上、5話を見たオタクの感想です。

 スクールアイドルの動画を見て憧れ、ただ「やりたい」と海の向こうからやってきた少女が、心を押し込めていた少女の「やりたい」を解放する話のように思えました。
 ただ優しく見守るお姉さんなだけなのではなくて、芯があり、強くて、とても熱い。でもやっぱり心に寄り添う温かさに満ちている。そういうエマさんの良さがグングン伝わってきた回だと思います。


 本筋にほぼ関係ない部分だと、メイドエマさんのスカートが膝下丈なのが最高でした。服飾同好会はよく分かっている……。
 クマヴェルデも超キュートでした。


 次回は「笑顔のカタチ」。今話で固有結界じみた超絶動画編集技術を持つことが明らかになった璃奈ちゃん回のようです。
 タイトルコール、なにやら声がこもっているように聞こえます。そういえば未だアニメ本編ではOP等で見せていた記号的な顔の描かれたアレが出てきていませんが……。
 ところで上記の次回タイトルは正確ではないのですが、顔文字が出せず&作れずに敗北しました。どうやって書くんだろう。

 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?