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#136 ハマらなかったんだなの喜び。【Vo.Mochida】

これは趣味ですと言えるほどのものでもないけれど、映画を観るのが好きだ。

『これは趣味ですと~』と前置きする理由としては、最新の映画を追えていないとか、名作を観れていないとか、いくつかあるけれど、まあそこは趣味。というか自分にとっては遊びの範疇なので、大目に見てほしい。

基本的に映画は一人で観る。誰かと観たとしても往々にして意見が合わないからだ。まあそりゃそうだ。各々おかれている状況も違うわけだし。それまでの自分が培ってきたフィルター越しに観るんだから。
とは言え、まだ同居してた時代に弟と観て感想が全然違ったのは驚いた。割と同じもの見て育ったはずなんだけどなあと、興味深かった覚えがある。

それと、その人のすごく好きな映画に自分がハマらなかった時もキツい。熱量や感じ方のギャップを許容してくれる相手ならよいのだけど。がっかりされることもしばしばあった。もう少し熱量高く詰められたことも幾度か、まあ自覚はあるけど。

さてそんな自分ですが、今は差異を楽しみたいモードが強く出ている時期で、よく他人に映画を勧めている。とにかく感想が聞きたいのだ。映画の内容は、特に自分が絶賛レベルまでハマったものでなくてもよい。それを観てどう感じたのかの跳ね返りで遊びたいのだ。なんとなくのリアクションで、あんまりハマらなかったんだなと思ってもそれはそれ。想像通りバウンドしないことの方にむしろ面白味を感じている。

先日、『岸部露伴ルーヴルへ行く』を観た。この手のマンガ原作もので、自分がマンガを読んだ側だった場合、そこまで原作を読んでいない人の意見の方が聞きたくなる。友人のうち、フランス文化に詳しい人物が興味を持ったので勧めておいた。マンガは未読だそうだ。好都合だ。

しばらくして連絡があり、号泣したとのこと。感動するような映画でもない気がして、不思議に思い理由を聞くと、フランス文化への配慮が丁寧。コロナ前には自分もよく渡仏していたのでまた行きたくなった。フランス人向けに見ても日本文化側の扱いもよい。パリのカフェのシーン(一般的に見れば全然普通のシーン)で号泣したとのことだ。

そうそう、そういうこと。

自分では三回死んでもその目線では見ないだろうことが、ポンポーンと返ってくる感じ。ちょっと鼻をぶつけちゃうレベルの見事なイレギュラーバウンドである。しばらくはボールを投げ返してみて、無軌道に動く跳ね返りを楽しんだ。実に楽しい時間だった。これだよこれ。

余談だけれど、そのあと、気をよくして更に勧めてみたたマジカルガールという映画については見事に黙殺された。これもハマらなかったんだなの喜びだなと、最近の僕は思う。

まあそんな感じです。

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