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#107 昨今の縦社会と新しい仕組み【Gt.Fu-ki】

 先月、先々月と縦社会の話をして、良し悪しどちらもある程度は出揃ったかなと(罪の比率は高いが)
 この12月のコラムでは、昭和の仕組みとその需要を紐解き、縦ではない新しい仕組みをざっくり思うまま書いて、今年の〆にしようと思います。
 
 まず現代において、縦社会って必要とされてねぇ。縦割りの組織としては現存しているし必要だけど、昭和的な縦社会の関係性を学ぶメリット、それを合理的に説明できない(笑)
 鉄板ネタの武勇伝だとか先輩風を吹かせるってシチュエーション。これは上下を決めたり関係性を見せる為の自己開示に類する何かで、コミュニケーションコストを削りつつ受け答えで関係性を学ぶ、一種の見習い期間のようなものだった。
 これは基本的に様式美であって、漫才やプロレス的な一種のお約束であると理解をして頂きたいのだが、そもそもカビの生えた様式が必要な時代ではないってのが、全ての答えになってしまう。
 
 昔の縦社会は勉強でもスポーツでも日の目を見る事のない、はみ出し者の集団で唯一守られる規律だったように思う。
 学校に代表される小さな社会に上手く混じれない、けれども落伍者として扱われたくない。そんな理由から規律に則って生きるのが当たり前だったし、それ以外は知らなかった。これさえも出来なければ負け犬だと蔑まれる風潮も関係しているだろう。
 現代でも社会に出れば、その仕組みで生きていた人々が上司になっていることは珍しくない。であれば、礼儀作法をかじる程度に知っていても損はないのではないか?なんて考えた事もあった。
 
 しかし、それこそ当時は居場所を守る為の必要悪だったが、現代の真っ当な会社であればコンプライアンスがしっかりしている。そんな昭和の縦社会は不要だし、選べる会社も多ければ、所属しない選択肢も潤沢だ。
 仕事以外、学校やバンド界隈といったコミュニティでもそれは変わらないので、古い仕組みが好きであったり、必要に迫られているのでなければ、今更この時代に旧態依然とした仕組みを覚えるメリットは見当たらない。
 残念ながら現代の多様性を前にして、処世術としての縦社会やその戒律に需要はなく、役目を終えたのだなぁと(苦笑)
 
 さて、未来の上下関係や仕組みはどうなるのか?
 今現在の若年層の縦社会。分かりやすい先輩後輩に代表されるような仕組みは、昔よりも非常に緩い形で繋がっている(ように見える)
 年齢差が絶対ではなく、兄弟とか従弟とかそのくらいの距離感で、所属や立場よりも個の価値観を尊重し、協調性よりもその場の一体感が是とされ、過分な干渉を避ける嗅覚が求められる。
 
 時代の流れに逆らわず多様性を認め、付かず離れずの関係性。SNSでなんとなく繋がっている感覚が現実にフィードバックされてるのか、インターネットが拡張現実として確立しつつあるのか。
 踏み込み過ぎない、パーソナルスペースを侵さない。僕らの世代からしてみれば少し臆病に思えてしまうが、若年層の(肌感覚として)半数以上はそのくらいの強度が適当のようだ。
 そんな気遣いベースの距離が個々の価値感を否定しないからこそ、昔ながらの縦社会に連なる考え方の少数派と、いかにも現代的なマイノリティに分類される自由奔放な人が混じり、ルールを押し付け合うことなく共存共栄している。
 
 さて、第3回まで広げた昭和オジサンのコラム、そろそろ畳みましょう。
 基本的に昭和の縦社会に最早必然性は見当たらず、数寄者の趣味か、流れを汲んだ何かに変化していく過渡期です。
 一方で若年層の人間関係や上下関係とは。学生時代のヲタクとヤンキーが、エロ本で瞬間だけ仲良くなれる奇跡、それが常態化している……(笑)
 昭和の縦社会が消えゆく切なさと共に、境目がなくなって行くのだなと思えば、割と明るい未来であると纏められるかな、と。
 
 本年最後のコラムは存外に治安の良い形で終わります。来年は何を垂れ流すか、自分でもワクワクしてますが、皆様どうぞお楽しみに♪

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