見出し画像

新型コロナ(COVID-19)治療薬開発状況と治験情報まとめ(3月26日UPDATE)


新型コロナ(COVID-19の治療薬やワクチンの情報が、かなり出てきたので各候補治療薬はどんな状況なの??を今わかる範囲の情報でまとめてみました。全てが最新版というわけではないので最新情報は各機関のHPなどご確認いただくようお願いします。


①ファビピラビル(富士フイルム富山化学の「アビガン」)

富士フイルムlogo_181109

安倍首相が3/28の記者会見で正式承認に向けた手続きに移ると公言した。治験後は早期承認対象薬となる可能性が大きい。既に生産能力拡大のため、他者への生産委託まで検討している。

政府も後押しするhttps://www3.nhk.or.jp/news/html/20200330/k10012356761000.html

富士フイルム富山化学はこの薬で新型コロナウイルスを治療する臨床試験を始めたと発表しました。この治験は約100人の患者に投与し、治療効果や安全性を確認する臨床試験を開始しました。期間は6月末までを予定していて、有効性が証明され治療薬として国の承認が受けられれば、全国の医療機関で処方できるようになります。 「アビガン」については政府が200万人分を備蓄していますが、富士フイルム富山化学は試験と並行して「国内外のパートナーとの連携体制を構築し、増産を加速させる」としています。

【臨床試験情報】                           試験名:非重篤な肺炎を有するCOVID-19患者を対象としたファビピラビルの臨床第3相試験                           対象:COVID-19の患者で20歳から74歳が対象             目標症例数:96例                          承認見込み:2020年6月末に試験終了、速やかに承認に進め見込み

https://www.clinicaltrials.jp/cti-user/trial/ShowDirect.jsp?clinicalTrialId=30264

https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/p1/20/04/01/06763/

〜どんなくすり?〜

ファビピラビルは2014年に日本で承認された抗インフルエンザウイルス薬。新型インフルエンザが発生した場合にしか使用できないため、市場には流通していませんが、新型インフルエンザに備えて国が200万人分を備蓄しています。ファビピラビルは、インフルエンザウイルスの遺伝子複製酵素であるRNAポリメラーゼを阻害することでウイルスの増殖を抑制する薬剤。COVID-19を引き起こす新型コロナウイルスもインフルエンザウイルスと同じRNAウイルスであることから、効果を示す可能性があると期待されています。ただし、動物実験で催奇形性が確認されているため、妊婦や妊娠している可能性がある人には使うことができず、妊娠する可能性がある場合は男女ともに避妊を確実に行う必要があります。


②シクレソニド(帝人ファーマの「オルベスコ」)

帝人logo

〜どんなくすり?〜

シクレソニドは、日本では2007年に気管支喘息治療薬として承認された吸入ステロイド薬。国立感染症研究所による実験で強いウイルス活性を持つことが示され、実際に患者に投与したところ肺炎が改善した症例も報告されています。

国内では日本感染症学会が主導する観察研究が行われており、全国の医療機関から報告を集めて有効性の評価を進めています。帝人ファーマは厚生労働省からの要請を受け、この研究のためにシクレソニドの供給体制を確保。国立国際医療研究センターも臨床研究を計画しています。

【臨床試験情報】                           準備中(近く臨床研究開始予定)

スクリーンショット 2020-04-03 12.21.16

帝人ファーマによるプレスリリース            https://www.teijin-pharma.co.jp/pressrelease/2020/20200310.html

https://www.yakuji.co.jp/entry77953.html

③レムデシビル(米ギリアド)

ギリあどlogo

ギリアド・サイエンシズ CEO ダニエル・オデイによる公開状

〜どんなくすり?〜

レムデシビルはもともとエボラ出血熱の治療薬として開発されていた抗ウイルス薬。コロナウイルスを含む一本鎖RNAウイルスに対して抗ウイルス活性を示すことが明らかになっており、現在、COVID-19の治療薬として最も有望視されている薬剤です。

現在、中国(中日友好医院主導)と米国(国立アレルギー・感染症研究所=NIAID主導)で医師主導臨床試験が行われており、国立国際医療研究センターは3月23日、NIAID主導の臨床試験に参加する形で国アイでもレムデシビルの臨床試験を開始すると発表しました。

これとは別に、ギリアドが日本を含む世界各国で臨床第3相(P3)試験を行っています。ギリアドの試験は中国と米国で行われている医師主導臨床試験のデータを補完するものになるとみられ、ギリアドによると中国での医師主導臨床試験の結果は4月に結果が得られる見通し。

新型コロナ治療薬、レムデシビルの治験は「4月に結果が得られる」
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/p1/20/02/28/06623/

【臨床試験情報】                           

日本を含む世界各国で臨床第3相(P3)試験実施中

④ロピナビル/リトナビル配合剤(米アッヴィの「カレトラ」)

アッヴィ

中国での臨床試験結果情報 

〜どんなくすり?〜

ロピナビルはウイルスの増殖を抑えるプロテアーゼ阻害薬で、リトナビルはその血中濃度を保ち、効果を増強する役割を果たします。これらの配合剤であるカレトラは、日本では2000年にHIV感染症に対する治療薬として承認されています。

In vitroや動物モデルを使った研究でMERSへの有効性が示されており、COVID-19に対してもバーチャルスクリーニングで有効である可能性が示唆されました。CrinicalTrials.govによると、中国を中心にCOVID-19患者を対象とした臨床試験が複数行われていますが、中国の研究グループは3月18日付の米医学誌「ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」に、カレトラを投与しない群と比べて臨床的な改善までの時間に差はなかったとの結果を発表しました。


⑤Johnson & Johnson(ワクチン)

スクリーンショット 2020-04-03 14.46.05

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンのリード候補を決定したと発表した。また、傘下のJanssen Pharmaceutical Companies部門と米保健福祉省(HHS)生物医学先端研究開発局(BARDA)との現在のパートナーシップを拡大したこと、10億回分以上を供給可能なワクチンの製造設備を速やかに整えることも明らかにした。

ヤンセンファーマプレスリリース     https://www.janssen.com/japan/press-release/20200331

J&J社は決定したワクチン候補について、遅くとも2020年9月までの第1相試験開始を目指し、同年末までに出てくる安全性と有効性の臨床データ次第では、2021年初めまでに最初の製造バッチを使用した製品化を実現するとしている。


⑥Novartis社などヘルスケア企業・製薬企業15社(ワクチン、診断薬、治療薬の開発と製造、流通)

スクリーンショット 2020-04-03 14.50.00

スイスNovartis社などヘルスケア領域の企業15社が、Bill & Melinda Gates Foundationなどから支援を受け、共同で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大に対応する。Novartis社などが2020年3月26日に、COVID-19に対するワクチン、診断薬、治療薬の開発と製造、流通を加速するための新たな取り組みの概要を公表した。

このプロジェクトへの参加を決めた15社は、協力の第一歩として、COVID-19に対する活性と安全性に関する情報が既に得られている、各社専有の化合物ライブラリを共有することに同意した。プロジェクトの一環として行われる、スクリーニングによる有望な化合物の選出が成功裏に進めば、その後2カ月以内にin vivo試験に移行できる可能性があるという。


⑦武田薬品「血漿分画製剤」(開発番号:TAK-888)

ダウンロード

武田薬品工業は3月4日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬として血漿分画製剤(開発番号:TAK-888)の開発に着手すると発表。(同日、米国議会に情報提供)

同社が開発を目指しているのは、ハイリスク患者を対象とした抗SARS-CoV-2ポリクローナル高免疫グロブリン。TAK-888の開発を進めるには、COVID-19から回復した患者から得た原料血漿にアクセスできなければならず、同社は研究を迅速に進めるため、すでに米国、アジア、欧州における複数の国の規制当局や医療関連パートナーと協議を進めている。

最短で9カ月後の上市を目指すとしている。

https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=14247


その他:NCGM 国立国際医療研究センター 国際感染症センターより     ※下記はNCGMの安全性検討のデータ。アビガンなど既に治験フェイズに移っているものもあります。

スクリーンショット 2020-04-03 12.14.06

その他COVID-19の治療薬まとめ

https://answers.ten-navi.com/pharmanews/17853/


その他:エムスリー(遠隔による画像診断支援サービス)

ダウンロード

エムスリー,聖マリアンナ医科大学病院と新型コロナウィルス感染疑い症例への遠隔による画像診断支援サービスの無償開始
-アリババ,NOBORIとの共同支援プロジェクト-

エムスリー(株)は,聖マリアンナ医科大学病院による新型コロナウィルス感染症疑い症例の診断を支援するため遠隔による胸部CT検査画像の無償画像診断支援サービスの運営を開始する。

本サービスについては,聖マリアンナ医科大学病院が読影体制を構築・提供する。尚,アリババグループのデータインテリジェンスの中核であるアリババクラウド,同グループの先端技術研究機関であるアリババDAMOアカデミー,同グループのヘルスケア・プラットフォームであるアリババヘルス,医療情報クラウドサービスを提供する(株)NOBORI,インターネットを利用した医療情報発信プラットフォームを手掛けるエムスリーが本サービスを支援している。

https://www.innervision.co.jp/products/release/20200525


新型コロナウイルス対策ダッシュボード(2020/4/1現在)

新型コロナウイルス感染症の患者数や、感染者用の病床数などを都道府県ごとに表示した「新型コロナウイルス対策ダッシュボード」「病床の使用率が一目瞭然」「都市部の病床数がギリギリなのが分かる」

スクリーンショット 2020-04-02 23.18.17

https://www.stopcovid19.jp/(リアルタイムはこちら)


⑧その他(登録されている関連臨床研究でも14件が該当)

UMIN(大学病院医療情報ネットワーク)JRCT(臨床研究実施計画・研究概要公開システム)

https://rctportal.niph.go.jp/s/result?q=%E3%82%B3%E3%83%AD%E3%83%8A&ageunit=week&s=0&disop=or&l=10&disname=&phase=none&status=none&gender=none