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ロシアの伝統料理①:パスチラ(пастила)

パスチラとは:概要とその歴史

こんにちは。今回はロシアの伝統的な料理パスチラを紹介したいと思います。可能ならシリーズ化したい。何を持って「伝統」とするかは議論の余地がありますが、ここではひとまずピョートル1世統治以前、つまり18世紀より前から存在していたものを伝統料理と呼ぶことにします。

パスチラは基本的に果物をピューレにしたものを薄く伸ばして乾燥させた飴のようなものです。ピューレにする際卵白を入れるものと入れないものの2パターン存在し、入れるものは後から出来たものと思われます。りんごを使うものが一般的ですが、果物のピューレもしくは果汁を用いていればパスチラと呼ぶことはできるよう。いちごや杏、ベリー類のパスチラのレシピも確認できます。

調べたところ、«Подарок молодым хозяйкам, или Средство к уменьшению расходов в домашнем хозяйстве» (『若い主婦への贈り物』, エレーナ・モロホヴェツ, 20/5/1861初版)には掲載されています。ただし既に19世紀。«Новая полная поваренная книга» (初版1736)にも掲載されているようですが、自分ではまだ確認できていません。しかし仮にあったとしても、これも18世紀なのですが。

またあまり信用の置けない上記2つのサイトによると、パスチラは14世紀から知られていて、«Домострой» (ドモストロイ、16世紀の家庭訓)にもそのレシピが記されているといいますが、これも未だ未確認なので、はっきりしたことは言えません。

なので、シリーズ最初の料理なのにも関わらず、自分で設定した「伝統料理」の枠に当てはまっているか不明という支離滅裂な感じが否めませんが、ドモストロイにあると信じて記事を続けたいと思います。

2023/5/27制作の具体的なレシピと調理工程

材料
りんご:540g
グラニュー糖:152g
蜂蜜:80g

ロシアではアントノフカという酸味の強い品種がよく使われるそうなので、今回は酸味があってよくお菓子作りに使われる紅玉を選びました。

ピューレにするため果物を柔らかくするのですが、今回はりんごをカットし鍋で炒める?蒸し煮する?方法を取ります。丸のままオーブンで焼く方法もあります。

砂糖(蜂蜜)はりんご重量の40%にしました。蜂蜜は元々含まれている水分量を加味しています。在庫の関係で今回のような半端な量になりました。

蜂蜜を使った理由はまずりんごとの相性が良いこと、そして蜂蜜は今のような精製糖がなかった古代から甘味料として使われており、同じく砂糖が希少だった時代から作られてきたというこのお菓子の歴史を踏まえたことです。

砂糖類を入れて30分ほど置くとりんごから水分が出てくるので、ここから弱火〜中火で加熱していきます。ジャムを作るときにも使われる手法ですね。新たに水分を加えないので余計な時間がかからなくて済みますし、水の沸点がかなり上がるので加熱時間も短縮できます。

時折かき混ぜながら30〜40分加熱して、りんごが柔らかくなったらピューレにします。自分はブレンダーを使いましたが、代わりにフードプロセッサー、ミキサーを使ったり、ざるで漉したりも勿論できます。

ピューレをクッキングシートを敷いたオーブントレーに流し入れ、薄く伸ばします。ほぼ全量入れましたが、少し厚すぎました。特に左上、右側、左下。おそらく最低限下が透けて見えるくらいが良いと思います。ただ1cmを超えるパスチラもあり、正直厚さ・形は個々人の好みなので、今回は単純に自分の完成形イメージと違ったというだけの話です。

オーブンは100°で乾燥させます。今回2つのyoutubeの動画を参考にしましたが、それぞれ「100°を超えない温度で」、「80°で」乾燥させていました。自分のオーブンでは100°が最低温度でした。

まず3h、裏返して2h、計5h乾燥させました。色付きが甘い気がしてかなり長い時間乾燥させましたが、youtubeは温度が低いのにより短い時間で色付いているんですよね…何故でしょう。使うオーブンの違いやピューレの水分量等も関係してくるでしょうから一概には言えません。

出来上がりは触るとペタペタするけれどもくっ付いてはこない状態。正解が分からない。

今回は動画のように丸めてから切りました。冷蔵庫に入れておいたら恥の方がひび割れました。数日なら常温保存でも問題なさそうです。りんごの保存方法の1つとして作られてきたのでしょうが、それにしては水分量が多いかもしれない。

味の感想

嫌な甘ったるさがある。かなり甘い。沢山はとてもじゃないが食べられない。食感はモニュモニュ、ねっちり。歯に吸い付くような感触があって好き嫌いがかなり分かれる気がします。ただ食味に関してはもっと酸味のあるりんごを使うか、砂糖の量を減らすことで改善することができそうです。ただ慣れれば中々行けます。お茶と一緒に食べれば良い感じ。

参考動画


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