見出し画像

感想:銀座イタリアン アロマフレスカ

こんにちは。

ただでさえ気温が高いのに、最近はそこに雨による湿度が加わって、とても厄介な気候になっています。マスクも同時に辛くなって来ますし、体調には充分お気をつけください。

さて今回は、先日ランチを頂いた銀座アロマフレスカさんの感想を書いていこうと思います。16年連続ミシュラン1つ星という輝かしい実績。銀座一丁目駅8番出口のほぼ目の前にある銀座トレシャスの12階にお店を構え、同系列かつカジュアルよりなサーラ・アマービレさんと階を共有しています。エレベーターを降りれば、待機しているスタッフの方が案内してくれます。また写真は用意できませんでしたが、内装はとても高級感があり、部屋の中央に立つ観葉植物が目を惹きます。

最初にアロマフレスカさんを知ったのは、『ジョブチューン』というテレビ番組に出演していた原田シェフを見たのがきっかけです。その後も何度かお店の名前を見聞きすることがあり興味を持ったので、この休みの機会に行くことにしました。

以下コースの具体的な説明と感想に移ります。

コース構成

Menu Profumo
・オリーブ2粒
・縞鯵とカラスミの冷たいカペッリーニ
・真蛸のインパデッラ 根セロリのピューレと香草オイル
・時不知鮭の温かいカルパッチョ仕立て
・ムール貝とブロッコリーの自家製オレキエッテ
・経産牛と焼きとうもろこしのスパゲッティ
・鰻 くりから焼き 赤ワイン風味
・柑橘のシャーベット
・蝦夷豚 黒ビール ヤングコーン
・本日のドルチェ
・紅茶・茶菓子
+パン3種・グリッシーニ

お値段はサービス料、パン・ミネラルウォーター代、消費税含め¥13,915、+¥1,815でメイン料理を和牛に変更化。

1品目:オリーブ&縞鯵とカラスミの冷たいカペッリーニ

鯵は予め、おそらく塩などでマリネ済み。パスタの弾力が心地良い。量がとても少ないのでそれほど気にはなりませんでしたが、料理が冷たいのもあってか鯵とカラスミの塩味が思ったより強かった。

2品目:真蛸のインパデッラ 根セロリのピューレと香草オイル

カメラ近くてすみません

インパデッラとは「フライパンの中で」と言う意味のイタリア語らしいです。タコの香ばしさが良かった。香草オイルはイタリアンパセリやディルなど。ディルの印象が強い。泡は何かの貝からとった出汁で作られています。オイルの清涼感(?)とタコの香ばしさにねっとりと甘いピューレの組み合わせ。素材1つ1つの主張がしっかりと感じられます。

3品目:時不知鮭の温かいカルパッチョ仕立て

時不知鮭(トキシラズ)とは、通常の秋鮭と異なり5〜7月という早い時期に水揚げされた鮭のことで、腹に卵を抱えていないため身に栄養が行き渡り、油の量が通常のそれよりも格段に多いそうです。前2皿が弾力のあるお料理だったのに対し、このカルパッチョはほぐれるような軽い食感で、変化が楽しい。名前の通り皮を炙って温かい状態。ソースには主にトマト、そしてアーティチョーク。トマトのさっぱりとした酸味・甘味、アーティチョークのコリコリとした食感と仄かな苦味、そこに鮭の柔らかい食感と甘さの組み合わせ。

個人的に、身の甘味が炙った皮の苦味に若干負けている気がしたので、炙って温かくしなくても良かったのかなとは感じました。温度という点でも、1品目のカペッリーニ以降は口直しのシャーベットを除き全て温かいお料理なので、カルパッチョが冷製か若しくは冷たいスープが入ると更に良かった気もします。

4品目:ムール貝とブロッコリーの自家製オレキエッテ

オレキエッテという耳たぶの形をしたパスタ。ニンニクが強く効いていて自分好み。味として何か特別という訳ではありませんが、自家製ならではのパスタのモチモチとした食感はとても良い。それと、意外性という点でお皿の雰囲気が和風(?)になったのも面白い。

5品目:経産牛と焼きとうもろこしのスパゲッティ

恥ずかしながらこれまで経産牛という言葉は聞いたことはあったものの意味がよく分かっていなかったのですが、「お産を経験した牛」という意味だったのですね。出産を重ねると体力の低下に伴って肉の味が落ちると一般的には言われていて、もしそうならばレストランとしては使用優先度は高くないでしょうが、近年の環境問題への関心の高まりなどもあって、段々と経産牛を使う動きが広まっている、というところでしょうか。

この牛のソース(ラグーソース?)に焼きとうもろこし(品種はゴールドラッシュ)、イタリアンパセリ。とうもろこしのシャキシャキとした食感に柔らかくほぐれたお肉の旨味が合わさって、比較的重みのあるパスタ。とうもろこしに焦げ目をつけているのが地味だが大切な作業か。

6品目:鰻 くりから焼き 赤ワイン風味

今回のコースの中ではこのお料理が一番気に入りました。串焼きといういかにも和食な見た目でありながら、赤ワインソース+マッシュポテトという王道の洋食要素を合わせています。演出が良いですね。皮目のパリパリ感と身のモチモチ感は食べていて楽しいですし、甘さのあるソースも良い相性。帰り際サービススタッフさんに聞いたところ、蒲焼きをイメージして赤ワインソースを甘めに仕上げたそう。その発想は出てこなかったです。あと名前がわからないんですが、上に乗っている薬味の苦さ(?)が周りの甘さに対して良い効果を持っています。

7品目:柑橘のシャーベット

口直しのシャーベット、柚子とパッションフルーツだった気がします。かなり酸っぱい。おそらくパッションフルーツの種が入っていて、プチプチとした食感が良いアクセント。

8品目:蝦夷豚 黒ビール ヤングコーン

メイン料理。北海道のブランド豚、蝦夷豚を塩麹でマリネした後ローズマリーで香りをつけながら焼いたもの。ソースは黒ビールを中心として苦味・酸味のある仕上げに、右側に乗っている緑色の物はケイパー、オリーブ、香草類を使ったペースト。付け合わせは香り付けに使われたローズマリーとベビーコーン、その下に何かのチーズを溶かしてバターと合わせたソース。お肉自体の味は勿論ですが、口に近づけると伝わってくるローズマリーの香りがとても良い。

9品目:本日のドルチェ

デザートは3種類から選択:マンゴープリン、コーヒーゼリー、梅を使ったスイーツ。最後の梅を使ったスイーツの構成は忘れてしまったのですが、そのようなスイーツは聞いたことがなかったので興味深かったです。ただ私自身が酸味のある食品が得意ではないので、マンゴープリンを選びました。

プリンの周りには白ワインのジュレとオレンジ。上に乗っていたものははっきりと覚えていませんが、マンゴーの果肉と柑橘系の皮だったかな。それとパッションフルーツの種…?プリン自体は普通に美味しいです。ただこれも個人的な見解ですが、オレンジを合わせる必要はなかったかなあ。白ワインのジュレもそこまで必要性は感じませんでした。もし上に乗っているのが本当にパッションフルーツの種なら、白ワインの代わりにその要素が入るともっと美味しい、かもしれません。

お茶菓子

左上からZの順に、マシュマロ、ココナッツのメレンゲ菓子、フロランタン、チョコレート菓子、スノーボール。

まとめの感想

流石ミシュランで星を取り続けているだけあって、お料理はどれも綺麗にまとまっています。特に2、4、6品目のお料理はシンプルな構成かつそれぞれの素材が力強く感じられて、イタリア料理の醍醐味とも言えるのではないでしょうか。少なくとも私の現時点でのイタリア料理のイメージはそんな感じです。

イタリア料理らしさといえば、矛盾するようですが、今回のコースは全体的にイタリアン感が無かったようにも思います。それにはオリーブオイルの存在が大きく関係していて、というのも今まで訪れたいくつかのお店ではオリーブオイルの存在感が強いお料理がいくつかあったのです。また『亡命ロシア料理』という本の中では、各民族料理を特徴付ける要素の1つとして「潤滑油」を挙げ、イタリア人及びスペイン人のそれをオリーブオイルだとしています。あくまで筆者が考える、という前提ではありますが。原田シェフはフレンチの要素も盛り込んでいるとどこかで読んだ気がしますが、というより2つ以上の料理のエッセンスを交えるのは珍しいことではないというかむしろ当然ではあるのですが、それが今回のコースにも表れていると言えるでしょう。なるほどこういう形もあるのだと勉強になりました。

また4皿目でお皿に言及しましたが、その洋風らしくないお皿が(必ずしも和ではないかもしれないが)、完全に同じではないとはいえ、今回9つのお料理のうち4つに使われているんですよね。最初は新鮮さもありましたが、何度も似たようなお皿だと少し違和感はありますね。お店の雰囲気にもそこまで合ってるとは思えませんし… 理由が気になります。

気になっていたお店に少し背伸びをして来てみましたが、良い経験になりました。ご馳走様でした。今後もイタリアン含め様々なお料理・スタイルに触れていきたいです。

今回は以上です。ここまで読んでくださった方がいらっしゃれば、感謝します。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?