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考察:ハンバーグに使うパン粉、何故牛乳に浸すの?

こんにちは。タイトルのような問いやそれに準じた疑問を持ったことある方は多いと思います。この記事を書いている私もその1人です。以下では「何故ハンバーグにパン粉を入れるのか」、そして私にとってより重要な「何故パン粉を牛乳に浸す必要があるのか」という問いについて考えていることを書こうと思います(科学的根拠および経験は薄め)。

パン粉の役割

パン粉を入れる主な理由は油・水分を吸収してハンバーグをジューシーに保つことだと一般的に言われています。これについては賛成です。なのでこの観点から言えば、風味の違うお麩など他の材料を使っても全く問題ないことになります。ちなみに、パン粉よりお麩の方が吸収量が多いらしいです。

パン粉はつなぎとして理解されていることが度々ありますが、これに関しては疑問が残ります。というのも、タネを接着させるのはタンパク質です(肉をこねてタンパク質の変性を利用する、加熱されたタンパク質の凝固作用を利用する)。なので加熱しても固まらないパン粉が入っても接着力は変わらないし、むしろ弱まると考えるからです。接着力を増やしたいなら卵を入れます。

よって、ここからはジューシーさを保つためにパン粉、もしくはそれに準ずる材料が必要という前提に立ち、具体的に何を吸わせるべきかに焦点を当てます。

牛乳の役割

この記事の本題です。ただまず初めに、牛乳についての疑問は次の2つに分けなければいけません。「何故ハンバーグに牛乳を入れるのか」「何故パン粉を牛乳に浸しておくのか」。2つ目の疑問は牛乳を入れることを前提にした上でその活用法を問題にしているので両者は全く質の違う疑問ですが、ほとんどのレシピで予め牛乳とパン粉を合わせているので、この記事では2つの疑問を同質のものとして答えていく方式を取ることにします(つまり牛乳は入れるけどパン粉に浸す必要はあるの?ということは今回考えません)。ちなみにその理由もネットでいくつか調べましたが、あまり説得力はないように感じました。

牛乳を入れる理由として見受けられるのは1. 肉の臭みをとるため、2. タネの硬さ調節、の2つです。まず牛乳が臭み消し効果を持っていることは広く受け入れられている事実です。その理由は牛乳がコロイド状態にあるからで〜、という詳細は省略します。ただ通常ハンバーグに使われる牛乳の量はパン粉に浸る程度です。なのでその程度の量の牛乳で遥に多い肉の臭みを消すことができるのか、既にパン粉に吸われている牛乳が如何にして肉の臭み消しに関与できるのか、というのが1個目。どうしても牛乳で肉の臭みを取りたいというのなら沢山の牛乳に肉を漬け込んでしばらく置いた方がより大きな効果が期待できます。そもそも、肉にしろ魚にしろ相当品質が落ちていない限り嫌な匂いは出ないと思うのです。なので、ある一定のレベル以上は食材が持つ個性的な風味を消す行為になってしまうのではないかという懸念があります。あまりに風味・香りがなくなってしまってはその食材を使う必要性がないですよね。そういう意味では、匂いを消してしまう牛乳より、ニンニクや玉ねぎ、スパイスなどで香りを補う方が良いのかな、とも感じます。

また、もし水分を吸ったパン粉が焼き上がりのハンバーグをふっくらさせるのに役立っているというなら、牛乳を加えずとも肉から出たそれを吸えば同じことなのではないか、というのが2個目。焼く前の生地に関してはより柔らかくする必要はありません。また、焼く前の生地に余分な水分が含まれていると、焼き色が付きにくくなって返って加熱時間が延び、より多くの水分流出に繋がってしまうのではないか、という恐れもあります(これに対しては焼く前に小麦粉を塗すことによって対処できます)。

パン粉に何を吸わせるか

パン粉に牛乳を吸わせたとします。すると、その分パン粉は他の水分・油分を吸うことができなくなります。従って、肉から出る旨味の含まれた水分と油が外に出てしまいます。表面を素早く焼き固めた上で弱火でじっくり加熱すれば見かけ上水分流出は抑えられるかもしれませんが、切り分けたときに流れ出るのなら、つまり口に運ぶときまでに流れ出るのなら、同じことです。要するに肉とパン粉が抱え込むことのできる水分量は決まっていて、牛乳を入れればその分肉の成分を無駄にすることになります(ソースにしたり煮込みハンバーグにすることで多少は補完できる)。

つまり牛乳を使う上で考えるべきことは、その臭み消し効果を求めるかどうかということです。
私は牛乳の臭み消しパワーはハンバーグ作りにおいては必要でないと考えているので、牛乳を入れずにその分肉から出る水分・油を吸わせた方がこの料理にとってはより良い結果が得られるという論に落ち着きます。

結論

これまでの内容をまとめると、私が(頭の中で)ベストだと思うハンバーグの作り方は以下の通りです(ただし牛乳とパン粉に関する事項のみ)。

・なるべく鮮度が良く赤みの多い肉を使う。
・臭み対策として牛乳ではなくニンニク、ショウガ、胡椒、クミン等のスパイスを使う。
・吸収効率を上げるため、パン粉は細かくして表面積を大きくしておく。
・もし玉ねぎを使うのであれば、よく炒めて出来るだけ水分を飛ばしておく。

長々と書いてきましたが、牛乳を使うべきかという問題は結局「人の好みによる」という一言で片付けることができます。しかし、それは私の見解が科学的に正しい場合のみです。しかも恥ずかしながら私は実際に自分で作って検証した訳ではありません。なので、私の意見に間違いがあるならば、是非とも指摘していただきたいと思います。また「我が家ではこう作る」、「自分はこっちの方が好き」と言った個人的なご意見も歓迎します。

今回は以上です。ここまで読んでくださった方がいらっしゃれば、感謝します。






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