駆け込みで36協定結び直しの動き

1年間、960時間の上限適用されず


 4月からトラックドライバーの時間外労働の960時間上限規制と改正改善基準告示が適用されるが、関係者によると、規制前に36協定を結びなおし、労働基準監督署に駆け込む動きが活発化しているという。

 労働基準法では「労働時間は1日8時間・週40時間まで」と定められており、社員にこれを超える労働を命じる場合は、社員と「時間外労働及び休日労働に関する労使協定」(36協定)を締結し、労働基準監督署に届け出る必要がある。 
 働き方改革関連法により、一般の会社では36協定を締結した際の時間外労働について、月45時間・年360時間の上限が設けられているが、運送会社では、これについて特に上限は定められていなかった。
 2024年4月以降は運送会社にも36協定で定める時間外労働について、月80時間・年960時間の上限が適用される。上限を超えると法令違反になり「6か月以下の懲役または30万円以下の罰金」となる。
 36協定について、大阪の運送会社A社の社長は、「4月1日以降、ドライバーの残業が年960時間を超えたら罰金30万円が科されるが、  それ以前に上限960時間を超える36協定を結んでおけば、協定の有効期間1年間は従来通りに仕事ができる。そのため、社会保険労務士と相談しながら協定を結び直しているところだ」と話す。

 大阪の運送会社B社の社長は、「36協定は営業所単位で締結しており、それぞれ契約期間が異なるため、1年の期限を迎えた営業所から順次協定を結び直している。
一方、4月以降に協定を結び直す営業所については、見直しの内容を社労士に相談しているところ。法令に準拠した内容になるのは間違いないが、協定を見直した営業所が仕事に支障をきたすような事態になるのは避けたい」と話す。
実質的に、36協定の結び直しは、「2024年問題」が1年先送りになるようなことだが、36協定の結び直しについて北大阪労働基準監督署の担当者は、「2024年3月末までに協定を結んだ分に関しては、向こう1年間、年960時間の上限は適用されない。従って、こうした形で36協定を結び直すことは、実質的に上限規制の適用を1年間先延ばしにすることと同じ」と回答する。(2月5日号)

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