これくらいの気温がちょうどいいね、と言える間柄
夜は肌寒くてTシャツ1枚の昼間との寒暖差が愛おしい。
この短くてあっというまのちょうどいい気温が、ずっと続いてほしくて、ずっとは続いてほしくないと思う。
車のボンネットに木の葉と電灯が反射して、キラキラした影が映った。
アイスを食べながら夜道を散歩するのは少し肌寒くて、きみが上着を貸してくれた。
僕がアイスを迷っていたら、夏はまだ終わらないと言った。
夜中、大学1.2年生くらいの男女が、
「歯ブラシほしい〜」といいながらコンビニに入ってゆく。
夏がくる匂い、大学生、ふしだらな恋愛。
典型的なエモに囚われた彼らを見て、自分はきっと特別なんだと、なんの根拠もなく思う。
きみとの何気ない会話に、満足したり腹を立てたりする。
やっぱりきみは、ぼくと違う世界を生きている。
違う世界ということが、切なくなって、寂しくなっていらいらした。
気づいていたけど別に僕たちは運命で出会っていない。
いらいらしていることに気づいたきみは、僕の頭を撫でた。
きみの部屋の窓をあけて夜風を感じることは、自分の部屋の窓を全開にするよりも、心地よかった。
ここから煙草を吸ったりするのかな、なんて
普段は滅多に吸わないのにかっこつけたことを考える。
熱帯夜になるその前に、この気温を噛み締めていようよ。
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