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視座とは|視座の意味視座を養う方法

この記事に辿り着いた人なら、何らかの理由で「視座とは何か?」あるいは「視座を養う方法」に関心があることだろう。

視座といえば「視座を高める」「視座を変える」「視座を広げる」など様々な使い方があるが、視座はあなたがモノを考える際の立脚点を決めてしまう、非常に重要な概念です。

視座とは何か?
あなたは、周囲や上司から、もっと大局的に物事を考えろ、
相手の立場に立って物事を考えろと言われたことはないだろうか?

もしあるとすれば、それは物事を見る上での「視座の違い」に考えが及んでいないからだ。別の言い方をすれば「自分の都合」でしか考えていないともいえる。「視座」とは、言い換えれば「物事をどの位置から捉えるか?」という「物事を見る上での立場」のことを指します。

「物事をどの位置から捉えるか?」という「物事を見る上での立場」
例え同じ事実でも、事実を眺める「立場」によって、その解釈は大きく変わることがある。その際にぜひ意識しておきたいのが「視座の高さ」と「視座の違い」です。

「視座」の使い方の例
・視座の使い方の例-1:視座を高める
「視座の高さ」によって、見える視野は大きく変わる。                               例えば、より高い視座から物事を見る「経営の視座」と、目の前の具体的な業務を見る「現場の視座」では「見える範囲(=視野)」が大きく変わる。

・視座の使い方の例-2:視座を変える
また「視座の違い」によっても、思考の範囲は大きく変わってくる。   例えば「データドリブンなマーケティングを実現する」というテーマも 「マーケティングの視座」「情報システムの視座」など視座の違いによって「見えるポイント(=視点)」が変わってくる。

視座を「高める」メリット

もしあなたの視座が低いままでは、あなたは単に「自分の立場から主張を押し付けるだけの、個別最適の人」になりがちだ。

しかし、もしあなたが視座を高め「相手に視座を合わせる力」を身につけることができれば、相手の視座に立って物事を考えることができるようになる。そうすれば様々な立場やその背景に想いを馳せることが可能になり「全体最適」を意識した考えを持つことができるようになる。

もし、あなたが「自分の考え方と違う人」に出会ったときは、相手の視座に立って物事を捉えるマインドセットを持とう。また、判断に迷ったときは、自分がリーダーや管理職になったつもりで、高い視座から物事を捉えるマインドセットを持つことが重要だ。

視座を「変える」メリット

もし自由自在に視座を変える力を身につけることができれば、あなたが見る景色は広がり、新たなアイデアを生み出しやすくなる。

例えば、誰かの行動を促そうと思ったときに、すぐに思いつくのが「指示」や「命令」だろう。しかし「指示や命令を受ける側」の視座に立てば、それらは「やらされ仕事」となり、いつしか「自分で考える力」を失わせていく。いわゆる「指示待ち状態」だ。

しかし、もしあなたが相手の視座に立つころができれば「強制」をする前に「本人が自発的にやりたくなる気持ちを創るにはどうすればよいか?」という問いに想いが至るようになる。

「視座」は、時に物を見る範囲を狭め、思考の幅を狭くする。しかし視座を自由自在に変える力を持てれば、これまでとは異なる景色が拓け、煮詰まっていた状況を打破するきっかけになる。つまり、ロジカルシンキングでは辿り着けない「前提」そのものを覆すラテラルシンキングが可能になる。

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視座を養う|あなたの視座を養う5つの方法

視座の意味が理解できたところで、ここからはあなたの視座力を向上させる方法を二項対立思考形式を紹介していこう。

あえて二項対立としている理由は以下の2点だ。

①二項対立とすることで、あなたが見逃している「もう片方の着眼点」への気づきを促し、視座の転換を促すため。

②二項対立とすることで、背反する2つの着眼点を高いレベルで両立させる思考を促すため。

物事は「前提の置き方」次第で別の可能性を見出すことができる。ぜひこの二項対立リストを活用することで、自分が無意識に置いている「視座の置き方」に気づき、新しい世界を切り拓くきっかけにしてほしい。

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視座を養う方法-1:「俯瞰」と「ズーム」の視座を変える

物事は、俯瞰的な高い視座で見るか、それともズーム的な低い視座で見るかによってその様相を変える。

例えば、企業の現場社員の視座から見れば「給料」は「毎月当たり前に貰えるもの」だが、経営者の視座から見れば「毎月、資金が流出するコスト」となる。従業員から見れば「たくさん貰えたほうが嬉しい」が、経営者から見れば「与えすぎると経営リスクになる」ものだ。

また、マーケティングの世界でも「市場」という俯瞰的な視座でターゲットを「塊」として捉えるのと、ズームの視座で「実在しそうな1人のペルソナ像」で捉えるのでは、その様相が変わる。

このように、物事は鳥の目の高い視座で見るか?蟻の目の低い視座で見るか?によって結論が変わることがある。もしあなたがその事を事前に理解していれば、単に自分の主張を繰り返すのではなく「双方の主張を取り入れてうまく融合できないか?」など、お互いの視座を合わせた創造的な問題解決ができるようになるはずだ。


視座を養う方法-2:「自責」と「他責」の視座を変える

人は問題が生じると、その原因を自分の外側に求めて、解決を周囲の人に委ねがちだ。そして「他責」が組織にはびこると物事が他人任せとなり、 組織全体が事なかれ主義に陥っていく。

一方で、もしあなたが「自責」の視座を持てれば、これまでは「どうせ無理」と諦めがちだったことに対して、自分が貢献できる部分がわずかながらでも見えてくる。

何か問題が生じたときに「きっと誰かが何とかしてくれるはず」と他人に視座を置くのではなく「今、自分にできることは何か?」「自分がどんなアクションを起こせば、問題を解決する糸口になりえるか?」という「自分中心の視座」にマインドセットを変えることができれば、思わぬ糸口が見つかり成果につながるはずだ。

視座を養う方法-3:「売り手」と「買い手」の視座を変える

マーケティングの世界には「ドリルを売るな、穴を売れ」という言葉がある。

その意味するところは「売り手はドリル(という手段)を売ろうとするが、買い手が真に欲しがっているのは穴(という成果)である」という、売り手と買い手の視座の違いだ。

よく、自社商品の性能やスペックなど「商品価値」をひたすら捲し立てる営業担当者に出くわすが、多くの場合、顧客側の関心は「利用価値」であり、その商品を購入することで得られるメリットや成果だ。

もしあなたが「売り手と買い手の視座」を転換して考えることができれば「ドリルの説明」ではなく「穴の説明」ができるようになるはずだ。

視座を養う方法-4:「強制」と「自発」の視座を変える

前述したように、他人に動いてもらいたい時に「指示や命令で強制する」というのは一方的な視座だ。

昔「ゴミの不法投棄を防ぐためにお地蔵さんを置いたらうまくいった」という記事を読んだことがあるが「ゴミの不法投棄禁止」という立て看板で「指示・命令の視座」に立つより「ここでゴミを捨てるとバチが当たるな」という気持ちを引き出したほうがはるかに効果的であることは、あなたもおわかりになるはずだ。

もしあなたが「相手の視座」に立てれば「強制」をする前に「本人が自発的にやりたくなる気持ちを創るにはどうすればよいか?」という問いに想いが至るようになる。

視座を養う方法-5:「経済」と「社会」の視座を変える

経済的な視座に立てば「正義」と思えることも、社会的な視座に立てば「悪」になることは世の中に数多く存在する。

例えば「ブラック企業」などは、経済的な視座に立てば正義かもしれないが、社会的な視座では「劣悪な労働環境」というレッテルを貼られた「悪」になる。

現在ではSDGsやCSVの台頭に見られるように「経済的な視座」と「社会的な視座」の両方が問われる時代だ。

そしてもし、この両方を視座を高いレベルで両立することができれば「ビジネスの成功を通して社会をよりより良い場所に変える」エクセレントカンパニーへと成長できるはずだ。

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