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【小売業×IT】リテールテックとは?小売業のデジタルトランスフォーメーション(DX)

小売業界にもデジタルトランスフォーメーションの波が押し寄せており、店舗オペレーションや販売チャネルやマーケティングでデジタル化やIT化が進んでいます。
小売業に関するIT化のことをReteilTech(リテールテック)と呼び、小売業の最新テクノロジーとして注目を集めています。
しかし、リテールテックに関するテクノロジーやサービスは幅が広いため、リテールテックの定義やあり方が曖昧になっています。

この記事ではリテールテックの全てについて紹介します。

【小売業×IT】リテールテックとは

リテールテックとは、小売事業にITやIoTなどのデジタルテクノロジーを取り入れることです。

小売業においてはPOSシステムでクラウドでデータの管理などを行なっていましたが、2010年前後からタブレットやスマホの普及やSNSの浸透により、消費者の購買活動が変わり、産業構造やサプライチェーンに大きな変化が生まれています。

同時に企画、生産、流通、消費、販売に関するデータがビッグデータとして蓄積・統合し、活用することで、商品開発や出店計画やマーケティングなど多岐に渡り活用されています。

小売業だけでなく、あらゆる産業でIT化やデジタル化が進んでいるため、テクノロジーは我々の仕事や生活の一部になっています。

リテールテックのメリットは

消費者の利便性の向上
事業者の効率化の向上
データの活用
消費者の購買情報を分析・活用、店舗オペレーションの数値化や分析などをすることで、店舗運営や顧客情報など、小売業の経営に関する情報を正しく把握できます。
そうすると、フードロスや衣類ロスなどの問題を解決できたり、マーケティング活動に活用や顧客の体験価値の向上に繋げることができます。
リテールテックは消費者と事業者の双方にメリットがあります。

リテールテックのデメリット

導入コスト
雇用縮小
導入コストとは費用面だけでなく、従業員の教育や反発勢力への交渉なども含みます。
費用面では新たなデバイスや機械の購入、SaaS型モデルへの毎月の支払いなどがあります。
加えて、小売業はITリテラシーが低い業界ですので、経営者や店長への導入の交渉や説明、従業員の教育など、時間と労力がかかります。

今後、多くの小売店で発注業務や在庫管理は、人ではなく機械に任されようになり、コールセンターではAIチャットが導入されています。
その結果、企業は人件費削減はできる反面、労働者は職を失う可能性もあります。

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リテールテックの市場規模

リテールテックの市場規模は2020年で約6,000億円、2023年には約9,000億円と予想されています。
ここでいうリテールテックはPOSや接客ロボットやAI行動認識など小売業に関連するIT技術のため広義です。

その中で、「RFID(Radio Frequency Identification)タグ」の市場はバーコードの代替として、レジの決算時間の短縮や商品管理や荷受け発送業の簡易化など多方面での効果が期待されています。
「RFIDタグ」の市場だけで、2030年には2018年の8倍の540億円になると予測されています。「RFIDタグ」は既にユニクロが導入していることもあり、今後多くの小売業で開始されることが予想されます。

「セルフレジ(レジロボット)」が2025年以降に拡大し、2030年には2018年の12倍の250億円まで伸びると予測されています。

続いて注目されているのが行動認識でセンサーやカメラを利用し、顧客の行動を分析します。無人店舗の実現や防犯対策として活用される技術で、2030年には1億3000万円の市場規模になると予測されています。
AIを活用してデータ分析や需要予測ができるシステムやサービスは来店客や店内の画像解析や、基幹データの活用の展開が進み、2030年には83億円と予測されています。小売業にもAIが活用されており、「ABEJA」「PKSHA」「Trax」が注目を浴びています。

続いて、リテールテックの主要な種類について説明します。

リテールテックの種類①:接客

小売業でも接客に関するIT化は「ロボット」「リモート」に区分できます。
「ロボット」接客では、店頭の入り口などでお出迎えして、店内の案内やスタッフの紹介などを行なってくれます。
ロボットは音声認識もできるため、話しかけると内容を理解して回答してくれます。
ソフトバンクが開発したペッパー君は多くの小売店で導入されている接客ロボットとして有名です。

続いて、「リモート」接客で、「チャット式」と「電話式」に区分できます。「チャット式」は俗にいう「チャットボット」で質問などをメールやLINEや専用チャットボットで問い合わせると回答がもらえます。
「チャットボット」には「AIタイプ」「有人タイプ」「シナリオタイプ」に分かれます。

「AIタイプ」は過去の質問などを全てデータ化し、質問の内容に合わせて機械が回答します。「有人タイプ」は質問をサポートセンターなどで人が対応しています。「シナリオタイプ」は選択式の質問をし、回答によって次の質問を進めて問題を抽出して、回答する形式です。
どのタイプも一長一短があり、顧客層や取扱商品によっても適切なタイプが異なってきます。

近年、注目を集めている「VTuber」(ブイチューバー)で、VTuberを“店員”として、画面上に接客することができます。演技者の動きや表情を忠実に再現しており、あたかも人間が動いているかのような表現力豊かな反応が人気を呼んでいます。

リテールテックの種類②:POS・レジ
店舗運営において、全ての業務やデータの中心になるのがPOSシステムです。消費者視点ではPOSシステムは決済や支払いをする時には用いるシステムですが、店舗運営をする事業者視点では在庫管理や売上管理などをするためのもっとも重要な情報が詰まったシステムです。

POSシステムは日々進化しており、「セルフレジ」や「モバイルPOS」などが有名です。「セルフレジ」では、スーパーマーケットやコンビニでも導入されていますが、消費者が自らスキャンをして支払いを行います。
レジの機械によって、現金の支払いができるかどうかなども異なってきます。


事業者側にとっては万引きなどの防犯のリスクはありますが、人件費削減や店舗効率改善に繋がります。
日本は高齢化が進んでおり、セルフレジがなかなか消費者に対して浸透しないことが課題として挙げられます。

モバイルPOSはタブレット型のPOSでコンパクトで場所がいらず、安いコストで導入できるため人気です。
また、データをクラウド管理しているため、リアルタイムに情報を更新することができます。

レジを導入や変更する際に比較や相談できる「レジチョイス」「POS一括システム.com」に問い合わせてみるのも選択肢の一つです。


リテールテックの種類③:キャッシュレス
2018年ごろにQR決済のサービスが続々とローンチされ、キャッシュバックキャンペーンなどを積極的に行なっています。
「PayPay」「メルペイ」「LINE PAY」などがあり、大手企業が激しい競争を繰り広げています。QR決済の消費者側のメリットは現金を持たなくていいことで、あらゆる支払いもQR決済で行うことができます。


また、参入企業の競争が激しく、各キャンペーンがあり、割引やクーポンもあるためお得です。一方で事業者・店舗側のメリットは顧客満足度の向上が期待できます。現在、QR決済のユーザーは日本で2,000万人と言われており、約6人に1人です。


そのため、QR決済で支払いたい消費者が多く、店選びもQR決済ができるかどうかが要素になってきます。また、店舗オペレーションの改善にも繋がります。QR決済ではレジの決済スピードの改善やレジ締めなども早く実施することができるようになります。


リテールテックの種類④:販促物
販促物のデジタル化も進んでいます。
デジタルサイネージではモニターに広告や告知を写し、ポスターとして活用しています。髪のポスターと違い、映像の綺麗さ、動的な画像、複数枚の画像の切り替えなど訴求力が高まります。
ブランディングや商品説明に活用することもでき、とても便利な販促物です。

続いて、電子POPや電子値札です。
電子POPはタブレットやスマホを商品棚に置き、商品特徴を紹介します。タブレットをタッチすることで追加情報の収集や他の商品の確認もできます。
また、多言語対応しているものもあり、インバウンドへの対応にも役立ちます。電子値札では、データベースに商品名と値段を登録するだけで、自動で棚に設置されている電子値札に反映されるので、管理が簡単です。
電子POPに参入している企業は多くあり、有名なサービスは「エイミックス」「ImpactTV」「ブラビア」です。

これまでは販促物自体をデジタル化していましたが、企画や生産工程をIT化するケースもあります。ラクスルという会社はポスターやPOPなどを簡単に発注できるプラットフォームで多くの小売店が利用しています。


リテールテックの種類⑤:無人店舗
小売業の最終形と言われているのが「無人店舗」です。
現在、日本では高輪ゲートウエイ駅に無人店舗がオープンしたり、アメリカではAmazonGoがあります。

活用している技術は若干異なりますが、店内に設置されている大量のカメラや圧力センサー、重力センサー、商品棚に設置されているマイクの音声などの情報をAIがリアルタイムで解析することで、誰がどの商品を手に取ったか認識し、店を出るだけで支払いが完了します。
セルフレジ同様に消費者のリテラシー向上が必要です。

これらは無人店舗ですが、厳密には「レジが無人」であり、掃除をしたり、商品を並べる人は働いています。
次のフェーズとして、このような業務もロボット化することで、完全無人店舗の実現を目指しています。


リテールテックの種類⑥:EC
今までは実店舗のデジタルトランスフォーメーションについて説明していましたが、今では買い物はインターネットでもできる時代になりました。

アマゾンや楽天市場などのECマーケットプレイスや自社ECなどあらゆる方法で販売することができます。
ECはサイトに商品を登録して完了ではなく、支払い状況の確認、物流、カスタマーサポートなど業務フローは長く複雑です。

加えて、SNSマーケティングやCRM施策など消費者への広告やコミュニケーションが複雑化してきています。


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