大観音寺 「努力は人を裏切らない」

 三重県津市にある大観音寺さんには、お寺のお名前の通りに大きな観音様がいらっしゃると知り、伺いました。

 門前の山肌には、カエルのオーケストラがいて、参拝者を迎えていました。一体毎にポーズや楽器が違っていて、相棒がカエルの私は、嬉しくなって何枚も写真を撮ってしまいました。

 本尊の観音様は、秋の日差しを受けて、境内の一番奥で眩く輝いておられました。30メートル以上もあるそうです。黄金色にキラキラと輝く観音様を見上げながら、写真でしか見たことのないタイやミャンマーの黄金の大仏様にも、いつかお会いしたいなぁと、思いました。

 境内には、他にも、たくさんの仏様や、四国八十八ヶ所のお砂ふみ場や、西国、秩父、坂東の観音霊場巡り等が有りました。

 しかし、なんと言っても衝撃的だったのは、お寺に美術館が併設されていることでした。

 ルーブル彫刻美術館という名でした。

 ルーブル美術館のガラスのピラミッドを模した建物の外には、10メートルはあろうかと思える、ミロのビーナスや自由の女神が立っています。

 どうしてルーブル美術館が三重県に?

 どうしてお寺に美術館が?

 そして、混乱したまま中に入り、この美術館が洒落でも冗談でもなく、フランスのルーブル美術館から正式に姉妹館として承認されていると聞き、再度ビックリしてしまいました。

 館内には、ルーブル美術館の彫刻作品が1000点以上も展示されていました。それらは全て、本物から型取りした原寸大の物なので、大きさがよく分かり、写真とは違って、作品の方から見る者に訴えかけて来る迫力を感じました。

 有名な「サモトラケのニケ」を目の前にして、本物ではないとはいえ、翼や衣の表現の、あまりの素晴らしさに、ため息が出ました。


 
 説明文を読むと、先代の御住職がこの美術館の創設を思い立たれ、ルーブル美術館に17度も足を運び交渉された結果、ルーブル美術館が姉妹館の開設を了承して下さったのだそうです。

 単なるレプリカではなく、ルーブル美術館のスタッフの協力があって作られたものなので、色彩はもとより、作品の傷までもが忠実に再現されているそうです。

 それにしても先代の御住職の熱意に感心しました。単なる思い付きなどではなく、固い決意を持たれた上で、御尽力されたんだろうと思いました。

  努力は人を裏切らない。 

 ふと、この言葉を思い起こしました。

 観音様の拝観に伺って、思いがけず、フランスの芸術作品に触れられたのも、御住職の努力のお陰だと思いました。

 そして、今、困難な状況の中で、ウイルスと闘って下さっている医療関係者の方々、感染の危険をおして、社会生活維持の為に働いて下さっている方々、さらに、感染防止の為に日々苦労されておられる全ての人々の御努力も、決して裏切られないと信じています。