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ギター、良い音が鳴ると楽しい

大学に入学したのが10年前という事実に気づきました。おそろしいですね。つまり、わたしがギターを始めてから10年ということになります。ぞっとしますね。どう考えても10年やってる人のレベルではなく、本当に全く、ギターを始めて2年目あたりから上達していません。

そのくせ、なんだかんだ細々とギターを続けています。同時期に始めた友だちたちは、当時はみんなわたしよりずっと上手だったのですが、この期に及んで弾き続けている人はあんまりいないみたいです。

わたしがギターを始めたのは大学のマンドリンオーケストラのサークルに入ったのがきっかけです。ギターと言っても、バンドでギュインギュインやるようなエレキギターでもなければ、弾き語りでジャカジャカ鳴らすフォークギター(所謂アコギ)でもない、クラシックギターというギターです。ぱっと見はアコギ~って感じなのですが、張ってある弦の素材が違っていて音もフォークギターよりずっとまろやかです。
マンドリンのサークルに入ったのにギターを選んだのは「ソロ曲がたくさんあるから一人でも楽しめるよ」という言葉にそそのかされたぼっち根性と、ワンチャンいつかバンドとか組むようになったらエレキギターとか弾けちゃうかなあという捕らぬ狸の皮算用的な妄想です。
(実際その何年もあとに本当にバンドを組むことになるのですが、クラシックギターが弾けるからと言ってエレキギターが弾けるわけではないという壁にぶち当たっただけでした)

まあそんな話は置いておいて、はい、なんだかんだギターを弾き続けています。本当に、当初そそのかされた通りソロ曲がたくさんあるので、それをじわじわと練習しているのですね。かつて好きで練習していた曲を思い出すように譜読みをし直したり、好きだった作曲家さんの譜面を買ってぽろぽろ適当にさらったり、好きなバンドの曲を弾き語ってみたり、、、まあ一生懸命ではない程度にやっています。

最近ちょっとしたおもちゃ(失礼)をいただいて、それもまた楽しさに拍車をかけています。

国内のマンドリン界隈では知らない人はいないんじゃないかって感じの石橋敬三さん(https://twitter.com/Kzo_Ishibashi)、わたしがTwitterでブイブイ言わせすぎたせいでいつの間にか飲み友だち(?)になっていたのですが、「面白いもの作ったので試してみて~」ということでnatu-reverbという物理リバーブをいただきました(@新橋の飲み屋)。

そのとき食べていた生ハム

物理リバーブって何じゃらほいという感じなのですが、まあ、詳しくは上に貼ったリンクを見てくれ。物理リバーブとしか言いようがないから。

ギターの表面版に引っ付くタイプのアクセサリーで、弦を緩めてサウンドホールに手を突っ込んで磁石で表面版を挟むように装着します。(電池とか電源とか本当に苦手なわたしにとってはありがたい手軽さ)

わしのギターに装着した図

たったこれだけなのですが、変わるんですよね、音・・・

サウンドホールの中がコンサートホールみたいになるんですよ。良いにおいがする香水の瓶の蓋を開けたみたいに、内側から良い音が湧いて出てくるんです。シンプルにただのバネなので、エフェクターでかけるようなバキバキリバーブにはならないのですが、それがまた良い。自分が「良い音で弾こう」と思った意欲に応えて底上げしてくれる感じなのです。

クラシックギターの音にリバーブと言えば(?)、サイレントギターというギターも持っているのですが、これはちゃんとピエゾで拾った音にエフェクトをかける感じです。

ぶっちゃけ下手に弾いても良い感じになるのがこちらサイレントギターです。リバーブ以外にもコーラスがかけられるので遊び甲斐がありますが、まあクラシックギターとしての楽しみ方とは別物かなという気がします。もちろんこれはこれでとても楽しいものですが!!


少し話がそれちゃいましたが・・・上のサイレントギターについているようなエフェクトと違って、natu-reverbには下手なものをマスキングするほどの強大な力はないです。だが、それが良い(2回目)。だからこそ、良い音で弾こうと思えるし、そうしたときの楽器の応答が非常に良いので練習が楽しくなっちゃいます。


え~~~~~誰よりも練習嫌いで有名だったわたしが言っちゃったよ「練習が楽しい」って。
でもなあ、実際これをいただいてから3カ月で3曲ほどさらい終わっちゃったんですよね・・・現役部員時代にこれくらいやっていれば・・・ウッ・・・

まあいいや。あと何より良いのが、さらい終わった後の練習が楽しいことです。もっとこんな表情で弾こうかな、とか、こんな音だとどうかな、というわたしの意図に楽器がノッてきてくれる感じというか、そう、なんか、う、うまく弾けているような気がするんですよね!!すごく俗っぽい語彙に落ち着いてしまい悔しいのですが、そうなんだよな、思った通りに演奏できているような気がするし、その理想に近づくようにもっと努力しようと思える音の良さがあるのです。楽しい。

それから、わたしは元々自分の楽器をなかなかに気に入っていて、もっと良い音鳴るはずだよなあ、もっと良い音で弾いてあげたいなあ~などと、半ばそれを擬人化して共に過ごしていた節があります。大学1年生のときに入学祝いとして買ってもらったそれは、(今はもう亡き)北海道のギター製作家さんによる手工ギターで、もちろん大学生が使うものだからそんなに高いものではないのですが、自分以外のギター上手な人が弾くとやたらと良い音で鳴るヤツでした。自分が弾くと淡泊な音しか鳴らなくて(ただの技術不足なのですが)、もったいないなあとか、わたし以外の人が弾けばいいのにとか思っていました。だから、ウン年越しにこのギターを、このギター本来の音が底上げされた形で、良い音で弾けるのは、うれしいことだなあとしみじみしてしまうのです。

音が良いとうれしい、何を弾いても楽しい。そう、良い音が鳴るとそれだけで楽しい。なんだか人間の根源的な喜びの感情を刺激されている気分です。良い音が鳴ると楽しい。

開発者ご本人のお話、この感想を書き終わってからちゃんと読んだのですが、本人の思った通りにまんまと自分が楽器を楽しんでいて、なんだかちょっと感激してしまいました。もちろん、大体の目的や経緯は新橋で生ハムを食べながらうかがってはいたのですが(忘却)。

自分で弾いた音が良くて楽しいのに加えて、人が弾いているのを聴くのもオツです。音の広がりが増して、部屋の中がひたひたになる感じがします。クラシックギターって良い楽器なんだなあってしみじみ思えます。いや、確実に良い楽器なんですけど、サークルにいたときより今のほうがずっとこの楽器のことを好きになれている気がします。なんかデカい話になってきたな。そう、楽器の良さの原点に立ち返ることができます。

そういえば昔、同じサークルの誰かがうちにお高いギターを置きっぱにしていたことがあったのですが、その時期は(しれっとそのお高いギターを拝借して弾いていて)練習が楽しかったな、と、ふと思い出しました。

とにかくみんな良い音でギターを弾けということです。

余談ですが、最近「マチネの終わりに」を読み返しています。クラシックギターをやっていると、登場曲とか登場人物のモデルが目に浮かびすぎて面白いですよね。あと映画版だとクラシックギターの名曲がBGMに使われていて、ちょっと面白いですよね。あ、そこでアストゥリアスなんだ~みたいな。という地味あるあるを投げかけて終わりにします。

良い音が鳴ると楽しい!!!!

おわり

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