省エネ基準の計算方法:準備編
いよいよ4月から省エネ性能の説明義務制度が始まります。
説明義務制度の対応に苦慮されている建築士の方は多いかもしれません。
説明義務制度では省エネ基準の外皮平均熱貫流率(UA値)、冷房期の平均日射熱取得率(ηAC値)、一次エネルギー消費量の計算が必要です。
そこで簡単ではありますが、省エネ基準の計算方法について順を追って説明していきたいと思います。
省エネ基準計算について一度で説明することはできませんので分けてご説明していきます。
なお、ここでは標準計算ルートの説明になります。
今回は準備編です。
設計図書
まず寸法を確認できる図面を用意します。
そして、断熱材の種類や厚さ、窓・ドアの種類や大きさが書かれた資料を用意します。
熱的境界の確認
省エネ基準を計算するために熱的境界を確認します。
熱的境界とは住宅の中と外を分ける境界です。
通常は断熱材が入っている場所、窓・ドアがある場所が熱的境界になります。
たとえば、天井断熱の場合は、天井より上部の屋根などは存在しないものとして扱います。
また、住宅に組み込み型の車庫がある場合、通常車庫は存在しないものとして扱います。
省エネ基準では熱的境界を元に寸法を確認し面積などを計算します。
部位分け
省エネ基準では部位によって係数や計算式が変わることがあるため、計算方法の違いにより部位を分けなければなりません。
まず大きく分けると以下のようになります。
・外壁
・窓
・ドア
・屋根(屋根断熱の場合)
・天井(天井断熱の場合)
・床(床断熱の場合)
・土間床(床断熱の場合)
・基礎断熱
熱的境界よりも外側は存在しないものとして扱います。
なお、同じ部位でも断熱仕様が異なる場合は、さらに分ける必要があります。
たとえば、場所によって断熱材の厚さや種類が異なる場合は、その場所は分けておきます。
また、基礎断熱や土間床の場合、基礎天端が0.4mを越える場合は、越える部分を外壁として扱います。
また、出窓の場合、壁面よりも0.5m以上の突出があれば、外壁、屋根、床として考慮しなければなりません。
方位分け
外皮平均熱貫流率(UA値)を計算する場合は方位を分ける必要はありませんが、平均日射熱取得率(ηA値)を計算する場合は方位ごとに計算しなければなりません。
そのため、各部位を方位分けします。
方位は、北、北東、東、南東、南、南西、西、北西の8方位に分けます。
なお、屋根、天井、床に方位はありません。
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