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オランダで骨を折りまして2【入院〜手術編】

※この話は一部ショッキングでグロテスクな表現が含まれます。苦手な方はご注意ください。
今後海外で怪我等をされた際に、少しでも参考になれたら幸いと思い記録を残したいと思います。

(前回のお話↑の続き)
病院に着くと救急治療室的な所へ。
レントゲンを撮るので脚を固定しているハイテク座布団を取り外す。写りやすいように脚を引っ張ったりして調整する。

「んあああああああああ!!!」

いっそ気絶して欲しい。
痛がるので鎮痛剤的なお薬を追加投与されるけど余裕で痛みが貫通してくる。
『もっと打って…もっとモルヒネを…』
心の中で祈る。戦争映画で負傷した兵士みたいな気分。
こんな状況でも指輪だけは外してポーチに入れた。レントゲンに支障が出るかもとうい思いと、どさくさに紛れて無くしそうだと感じたからだった。

ひでまるとHさんも合流。
レントゲン写真をみんなで見ると…
折れてる。
素人でもすぐに分かるくらい折れちゃってる。しかも2カ所。
手術が必要とのことだけど、ここで選択を迫られる。

  1. 車椅子とかで運べるよう仮にギブスで固定して帰国し日本で治療する?

  2. うちで手術すれば翌日には松葉杖で歩けるし問題無ければ退院出来るよ!

手術後翌日退院???
骨折経験が無いのでコレが普通なのか分からない。普通ひと月くらい入院しませんでしたっけ?日本が手厚過ぎるだけかな?
協議の結果、治療せずに移動はキツそう&すぐに帰りの便が取れるか分からないので、オランダでの手術を選択。
クレジットカードに海外傷病保険が付いているので、お金は問題無いと思われる。アメリカだったらヤバかったかもしれないが…

Hさんとひでまるはカード会社への連絡と入院の手続き等を。とりあえずデポジットとして€250を支払い足りない分は後日請求になった。余ったら戻ってくるらしいけど余る事はまず無いだろう。
Mさんと私は仮で固定するギブスを取り付ける為に再び処置を開始。

お医者さん?がお薬の説明をする。
この薬を打つと全身麻酔ほどじゃないけど一時的に寝ちゃうとのこと。
ギブス取り付け時に引っ張ったりするので痛くて暴れないように寝かしてくれるだね多分。助かります。
左手から薬が伝わってくる。
痛くは無いけど、この感覚は何度やっても凄く不快だ。
次の瞬間、右足にギブスが巻かれていた。
主治医のお姉さんがやって来た。

主治医ネキ「手術したら直ぐに歩けるようになるから、いっぱい歩こう!残りのオランダ楽しもうぜ!!(意訳)」

恐るべきヨーロッパスタイル。
後日、ドイツ在住で骨折経験のあるTさんに聞いたところ、骨折に限らず出産とかもこんな感じが一般的らしい。
緊急の手術が無ければ今日にでも行う
予定だったが、今日は無理になったので病室へ移動に。それだけ重篤じゃないって事なので良かった。

病室は相部屋だったけどとても広くてキレイで、カーテンを閉めれば全く周りが気にならない感じだった。もしかして凄く良い病院なのでは?
麻酔医がやってきて今度は麻酔について選択を迫る。

  1. 局部麻酔(何パターンがあった気がするけど割愛)

  2. 全身麻酔

  3. 全身麻酔 + 局部麻酔(局部麻酔が24時間効くので術後一番痛いタイミングを回避出来るとのこと)

3以外選ぶ人居るのかと思いつつ3を選択。
手術中の音とか気が狂いそうなので
流石に聞きたく無いです。
全身麻酔に決まると20項目以上ありそうな麻酔についてのチェックシートを翻訳してもらいながら埋めて行く。
麻酔についてはやたら厳重。
よくあるアレルギーとか薬を飲んでるかとかのチェックで特に問題は無かったが、持病で今はほぼ問題無くて通院もしてないけど喘息があるので、そこだけは確認してもらった。問題無いとのこと。

今日の24時までは飲み食いして良いとの事で夕食が出ることに。初病院食!

カリフラワーとジャガイモとステーキと私

カリフラワーとジャガイモとビーフステーキ…
めちゃくちゃガッツリ肉!しかも柔らかくて美味しい!!
恐るべきヨーロッパスタイル。
でも味付けは控えめでちゃんと病院食な感じ。
普通に自分で食べられそうだったけど、せっかくなのでひでまるに食べさせて貰った。
面会時間が16時〜20時なので、夕食を食べたら皆んなにお礼を言ってお別れした。

数時間おきに看護師さんが来て確認する。

看護師「痛い?」
私「ノー」
看護師「はいコレ痛み止め(Pain killer)」

でっかい海外サイズの錠剤を渡されて飲む。
24時間ずっと鎮痛剤と思われる点滴を打たれているので、痛みは全く無かった。
5,6時間おきくらいにこの点滴が切れてブザーがなるのでナースコールして取り替えてもらう。
深夜だろうとピーピー鳴りまくる。他の人のも鳴りまくる。
あと一日一回、血栓症(Thrombosia)予防の注射を打たれる。トロンボーンにしか聞こえなくてGoogle Translatorに助けられた。

看護師「腹と尻どっちが良い?」

お腹は怖すぎたのでお尻を選択。痛くは無かった。
退院まではずっとコレの繰り返し。
24時前に最後のお水を飲んで寝ることに。
ずっと朦朧としているせいか、すんなり眠れて助かった。


翌日。

世界の病窓から in オランダ

ぼーっと窓を眺めたりスマホを見たりして過ごす。土砂降りかと思ってたらめちゃくちゃ晴れたりを繰り返して面白い。
薬のせいなのか不思議と不安感…というか感情が湧いてこない。退院するくらいまでずっとこんな感じだった。
主治医のお姉さんが現れる…昨日と違う人!?
色々話した後、手術は何時からか確認する。

主治医ネキ2「多分午後だけど何時か分かんない。今日なのは間違いないわー」

恐るべきヨーロッパs(略)
再びぼーっとしていると13時過ぎた頃に看護師がやって来た。

看護師「手術の時間よー」

あっ…ハイ。
直ぐに移動を開始する。
準備室みたいな所で最終確認を行う。
麻酔打つ部屋に移動して局部麻酔を打とうとするが、ギブスが長過ぎて太ももの太い血管に刺せないトラブルが発生。
仕方ないので超音波エコーを見ながらお尻から刺すことに。またお尻か…
今までは色々観察してたけど流石に痛そうで怖くてエコー画面は見なかった。結果全然痛く無かったが。

手術室に通される。
執刀医のこの病院初のメンズが現れる。
あれ主治医とはまた別の人なのね。よく分かんないけどヨシ!
ドラマでしか見たことないTHE手術室って感じの場所に仰向けになってる。
流石に緊張してきた。
執刀医と麻酔医がスマホを持ってGoogle Translatorを使って会話をする。
すごくシュール。
まさかこんな直前までスマホを使うとは。
助かりますGoogle様。
せっかくだから全身麻酔の瞬間を観察しようと身構える。

麻酔医「麻酔入れるねー」

あっ…よくあるカウントダウン的なのとか無い感じなんですね。
左手に麻酔を打たれるのを感じる。
冷たく無いけど身体中が凍りついて行くような感じがする。
首から頭の周りまで凍りついた後、ゆっくりと頭の中まで浸食してくる…

次の瞬間、病室に戻っていた。

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