あと

一握り掬い上げた砂が
さらさらとこぼれ落ちる

私が生きている時間も
同時代を生きる人々の記憶も

この砂のように
少しの形を留めて

それからさらさらと
元いた場所へと帰っていく

この夏の日に少しの楽しい時間を過ごしたのも
幸せな香りだけを残して消えていく



日が落ちて夜が冷えて
人は眠って

老いて、いつの間にか死んで

そのとき諦めはつくのだろうか

2023/07/30
22:59 中央線豊田行き車内

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