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きじまさん【2ちゃんねるの怖い話】

※本記事はYouTubeに投稿している動画のテキスト版です。※
※動画・音声付きで視聴されたい方はYouTubeでぜひご視聴ください※


きじまさんという、あるチームの創立メンバーの友人がいた。この人がひき逃げによる交通事故にあったことから、すべては始まった。

リーダーを含めたメンバーが病院に駆けつけた時は、面会謝絶の札がドアから外されたところだった。

廊下には両親がいて、母親は泣き崩れていたが、父親は息子が喜ぶだろうからと彼らを通してくれた。
病室に入った彼らが見たものは、全身に包帯を巻かれたきじまさんが、ベッドに横たわる姿だった。

四肢がなくなっていた。
両腕も両脚も切断され、しかし点滴や酸素吸入などは無く、ただ心電図のモニターが規則的な音を立てていた。
手遅れだった。打つ手がなかったのだ。

包帯から覗いた片方の眼だけが、ぐるりと動いて彼らを見た。
そして低く包帯にくぐもった声がぶつぶつと何かをつぶやいた。
リーダーが耳を寄せると、

「俺をこんなにした犯人を捜し出してくれ…」

わかった、とリーダーは答えた。
「必ず犯人を捜し出して仇を討ってやる!」

直後、心電図の波形が平坦になった。

彼らは犯人探しに奔走した。しかし、しょせん素人なので犯人を
見つけ捕らえる事もできずに一年が過ぎた。

きじまさんの一周忌がきた。
彼らは墓前に集まった。連絡を取り合ったのではなく、「約束を果たせなかった」と全員が詫びるために来たのであった。

彼らは墓前に手を合わせ、中には嗚咽する者までいた。
誰もが「すまん、許してくれ、成仏してくれ」と祈った。

どこからか、ぼそぼそとつぶやく声が聞こえる。
背後からだった。
彼らは見た。
後ろの墓石にきじまさんが座っていた。
腕も脚も無く、全身包帯に巻かれて片方の眼だけを覗かせ…

「俺を殺したンは、お前やろ!」

と、唸るように言った。
大の男達が悲鳴を上げた。
口々に、叫び、わめいた。

「違う! 俺らと違う!」

きじまさんは現れた時と同じ唐突さですうっと消えた。

誰にも言うな。
リーダーの一言で、全員が自分達の胸の中にしまっておくことにした。

そして、数年後…。
ある夏のこと、そのメンバーのひとりが、
怪談できじまさんの幽霊のことを話してしまった。
その場の友人は震え上がって喜んだ。

ところが…である。
帰宅して数日、その友人から電話があった。
友人は震える声でこう言った。

「きじまさんを見た。」

自宅で入浴中、洗髪している背後で「ぼそぼそ」と声がしたので振り返ると、

「俺を殺したンは、お前やろ!」

気のせいだよ、と彼は友人に言った。

しかし、電話を切った数分後、別の友人が「きじまさんを見た。」と…。
自宅マンションのエレベーターにひとりで乗っていて、誰もいないのに「ぼそぼそ」と声がする。
振り返っても当然誰もいない。だが視線の下の方に四肢のない体をぐるぐると包帯に巻かれた片方の眼が睨んでいた。

「俺を殺したンは、お前やろ!」

結局彼はその夜、何本もの電話を友人たちから受けることになった。
「きじまさんを見た。」と。

話はここまでです。
きじまさんはいまだに犯人を探しているらしい。
話を聞いた人は「きじまさん」に訪問される恐るべき伝言ゲームなのだ。

この話を聞いた数日のうちに、あなたもきじまさんを見るかもしれない。もし、聞かれたら…

「違う!」

と答え、そしてその体験を誰かに話すこと。
きじまさんが犯人にたどり着けるように……。

と言いつつ、この怪談が「最恐」と呼ばれるのはここからです。
実はこの話、作り話なんだそうです。

そのチームの人が友達に

「なんだ、まだ信じとったんか? あれなあ、実話とちゃうねん。」

と、言ったそうです。
きじまさんと言う人は存在しないらしいのです。

なあーんだ、と思いましたか?
本当に奇怪で奇妙なのはこの事ではなかったのです。

説明しましょう。
きじまさんが存在する可能性はないとしても、

「両腕両脚が切断され、全身が包帯で覆われて、片方の眼だけが露出している。」

と言う情報がありましたが、「片方の眼」とは言ったものの、左右どちらの眼かは、その時点では明らかにされていませんでした。

もう目撃証言が誤認や錯覚の場合、その「片方の眼」がどちらなのか、偶然に正解と一致する確率は50%です。
が、寄せられた目撃証言は一件の例外もなく一致していたのです。

「左目に睨まれた。」と…

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