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2024.2.9.夜明けのすべて

ネタバレ…になるようなものがない映画のような気がするけど…

これはたぶん何度か見なければならない映画
原作以上に何も起こらない
みんな何かしら抱えているけれどおおっぴらにはしない

どうやったって贔屓目なしに見ることはできないので
私は山添くんを見守る視点だったけれど
その眼差しは周囲の大人たちも同様だった

山添くんが頑なに着ていなかった作業着を着た瞬間に泣けてしまったし
あのときの栗田科学みんなの眼差しが優しかった

渋川さん(辻本)と同じタイミングで泣いた

頑なに必死で感情を隠そうとしている藤沢さんの表情が圧巻だった

誰だって抱えている事情があって、別にオープンにしなきゃいけないわけではない
でも、知ってる人は知ってるしなんとなく「そうなんだな」とわかることもある
映画だから見せてるわけではなくて
ただ、日常を淡々と送っているうちに伝わってくるものを垣間見ているような視点
三宅唱作品には、もしかして共通した距離感のようなものがあるのかな

ずっと彼(三宅監督)を「観察者」と思ってきたけれど、彼は“街”なのかもしれない
街、すなわち土地神のような存在
人の子に干渉することなく、
本当は少し気にかけているけれど、深く関わることはない
ただ、見守る

観客もたぶん同じ視点で見守り、感情移入する

そんな映画だった



考えてみたら
山添くんが作業着を着たあの瞬間
私にとっては大事件だったな

あと、靴
ピカピカの革靴
アイロンかけて着るワイシャツ
彼にとっての矜持というか、それ以外持ってないというか絶対に失いたくないものの象徴だと思った

藤沢さんのお母さんが神経難病というオリジナル設定も効いてるよね
最初の描写でキャリアウーマン然と現れたお母さん
どうしたって抗えないものは、誰にでも起こり得るという事実と現実の話

季節が冬〜春の始まり(立春くらい?)なのもいい
冬の終わり1月下旬〜2月はいちばん冬が厳しい時期
春になる少し前は夜明け前に似ている

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