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風が吹けば桶屋が儲かる:かぜがふけばおけやがもうかる #163 辞書の生き物

風が吹けば桶屋が儲かる

 一見まったく関係なさそうなことから想定外の影響がでることを指す慣用句です。
 江戸時代の文献にでてくる表現です。
風が吹いてほこりが舞うと目に入って盲人が増え、三味線を弾くようになり、その皮に使うためネコが捕まえられ数が減ると、ネズミが増えて桶をかじるようになるので桶屋が儲かるとして、風が吹くことで桶屋の商売に影響がでるという因果関係を示したものです。
 現代ですと、コロナが流行すると段ボール屋がもうかる、ホットケーキミックスが売れるなどでしょうか。それぞれの関係を考えてみましょう。

 また別の物語として、風が吹いたので借金して桶屋を開いたが儲からなかったという失敗談から、単なる思い込みや、無理やりなこじつけという意味で使われることもあります。

バタフライエフェクト

 似た意味の表現として「バタフライエフェクト」があります。チョウチョの羽ばたきくらいの小さな風が、地球の裏側での大風になるほどの大きな影響を与えるという意味の慣用句です。
 風が吹けばの方は、こじつけっぽく聞こえはしますが因果関係があります。一方のバタフライ効果は、途中のつながりがはっきりしない場合でも、結果としての影響が見えているということで、因果関係を推測できるかどうかの違いがあります。
 NHKが放送していた「映像の世紀」でドイツの前首相メルケル氏を特集しましたが、彼女は退任式でニナ・ハーゲンのヒット曲「カラーフィルムを忘れたのね」をリクエストしていました。この曲はカラーフィルムさえ手に入らなかった東ドイツの体制批判のロックです。メルイケル氏は東ドイツ出身で彼女の青春時代の思い出の曲だそうで、50年近く前の曲がEUをリードする大政治家の思考に影響したのだとすると、まさにバタフライ効果でしょうが、どの程度のものだったかは具体的には説明できませんね。

 アップル創業者のスティーブ・ジョブズがスタンフォード大学で行ったスピーチで有名になった言葉「Stay hungry, Stay foolish」も、彼が座右の書的に持っていた全地球カタログの最終号の最後のページに掲載されたものでした。この言葉がジョブズの人生に影響していたのかもしれません。

 家族や恩師のほんの一言が人生の糧になることがあるかもしれません。





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