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カラスの行水 #99 辞書の生き物

カラスの行水

 「カラスの行水」は、お風呂に入る時間が短いことのたとえとして使われる表現です。どちらかというと、その短さを揶揄して用いられるイメージがあります。

行水

 行水は、たらいに水やお湯を入れ、身体を洗う行為で、今のようなお風呂が普及する前は、汗や汚れを落とすために庭先で行われていました。
 江戸時代の庭先での女性の行水にはのぞきがつきものだったそうですが、覗かれる方もおおらかであまり気にしていなかったとも。

 カラスはイメージと違い、きれい好きで、ほこりや寄生虫を落とすためによく水浴びをします。警戒心もあり、水浴びの時間はさほど長くありません。その様子からできた慣用句だとされています。

八咫烏:やたがらす

 一方、行水には、神仏に祈る前に、水を浴びて身を清める行為という意味もあります。カラスが身を清めているイメージもあったでしょうか。

 不吉な印象のカラスですが、神武天皇の東征の際には、3本足のカラス「八咫烏:やたがらす」が道案内をしたという神話があり、八咫烏をまつる神社もありますし、日本サッカー連盟のマークにもなるほど神聖でパワーを持ったシンボルにもなっています。

 カラスは短く行水をしながら身を清めているのかもしれません。




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